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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
35/154

公爵令嬢の報告

着々と読んでくださる方が増えていてとてもうれしいです。


キリがいいところまで投稿するという方法に行き当たりました(`・ω・´)

これからも頑張ります。


「簡潔にまとめてしまえば、とりあえず。あのピンクパールは転生者、間違いないわ」


ロゼの告げたその言葉に、やっぱりか、と思った。


「転生者、か。でも、よくわかったな」

「ええ。ちょっと話もしてきたわ。すごくいい子だった」

「マジ?」


話を聞いている面々が皆はてと首を傾げる中、首を傾げていないのはアウルムとロゼのみ。

アウルムは知ってるってことだろう。

視線を合わせても何も答える気はなさそうだったので俺は目を合わせるのをやめた。


「『またやっちゃった』って言ったのよ。なんでこうなるの、ってもね。だからたぶん、あのピンクパールに悪気はないの。アウルムが巻き込まれるのも分かってたみたいよ」


アウルムが何度もいろんな世界を転生し渡っていることを知っているが故に、なるほどと思ってしまう。記憶をすべて持っているというのなら、過去に彼女との邂逅もあったはずだ。


「あと、ピンクパールについてだけど、ケイオス男爵家の養子に入った令嬢よ。もちろんヒロインね」


ルナが静かに頷いた。俺たちにはその令嬢についての知識はないのでルナに任せる他ない。


「ナタリア・ケイオス男爵令嬢よね。強力なチャームを持ってたって聞いたけど」

「呪いみたいなものみたい。本人が言ってたわ」


俺はじきにナタリアというその男爵令嬢と会うことになるだろうなというのが容易に予測できた。


魔法版の【魅了(チャーム)】というのは、おそらくナタリア嬢自体にはなかったものではなかろうか。でなければ、アウルムが引っ掛かるとは思えない。

とりあえず聞いてみるか。


「アウルム、知ってたか?」

「……ああ。知ってたけど、本当はあんな強力じゃなかった」

「シナリオを知ってるの?」

「実体験だ」


アウルムはそう言って俺を見る。


「……皆、ここで聞いたことは他言無用で頼むぞ」

「ええ」


代表してソルがうなずいてくれる。


「……アウルムは、沢山あるパラレルワールドに転生した記憶もすべて持っているそうだ。だから彼は前回の世界のすべてのパラレルワールドで得た知識をもとに俺たちに話をしてくれている」

「……改めて思うけどそれ、頭パンクしそう」

「しないように神々の祝福(ギフト)なら受けてるぞ」


俺ってば大事にされてるからな、とアウルムは言ったが、それでも結構憔悴しているのが見て取れる。


あれ?

よく考えてみる。


アストは言ってなかったっけ?


アストとアウルムの種族に、魔術も魔法も効かないって。


「……アウルム、お前、薬系は効くのか?」

「効かねえよ。それが半分以上通ったからビビってんだよ。補正ってやつか?」

「何その補正怖い」


クルミが本音を零す。これはいよいよ向こうに接触する必要があるけれど、デルちゃんたちが先に接触しに動く可能性もある。


「ナタリア嬢と話がしたいかも……」

「やめといたがいいよ……ケイオス家って結構ヤバい家だよ、めちゃくちゃ古いし」


ソルの言葉にルナがぴしゃりと言い放った。


ケイオス家。

公爵家は皆知っている話なのだが、ケイオス家は家として混沌属性という、流動的な属性を扱うことで知られている。


混沌属性はおそらく、人間に扱える形にまで規模を縮小したリオ達の魔力のことであると思われる。

リオの魔法を見たことはないが、あいつの角は時折がらりと色を変える、あれは属性が一定に固定されていないことの表れであると俺は思う。


だが、そんな特殊な家の血統に養子が入るという事実と、もう一つ。

ケイオス家には、跡取りとなる息子も、娘もいるのだ。

何故養子をとる必要があったのか。


ちょっと考えれば済む話。

そのためにはまず、周囲の公爵家を見なくてはならない。


「ナタリア嬢の属性は?」

「光をメインにしてるわね。でも、闇も持ってる」

「ピンクパールって思いっきりパール効果は闇でしょ? ピンクは光だけど」

「確定だな。ナタリア嬢はクローディの血筋と考えるのが妥当だろう」


ナタリア嬢のことを考えるとあまり接触するのはよくない気がするのだが、でも話を聞かなければお話にならない。


「どうする」

「俺とロゼだけで会おう。でも、話を聞く限りまともそうだな?」

「ナタリア嬢は何度か転生してる。しかもループでだ。俺の記憶にあるナタリア嬢であると考えると、今回も俺に接触してくる可能性がある」


謝罪のためにな、とアウルムは目を伏せて言う。

あまりこの情報は出したくなかったのだろう。


「アウルム、あまり渋らない方がいいと思うけど」

「アウルムにはアウルムの事情がある。でもまあ、大方、俺と立場が似てそうだな、ナタリア嬢は。おそらく俺とナタリア嬢、アウルムとゼロは死徒側にも人間側にもつく可能性があるってことだろうよ」


そうだろう、と確認のために視線を投げかければ、この野郎といったふうな目で俺を見てくるアウルムと目が合った。

苦笑を返しておいてやる。


「まあ、アウルム。いずれ知らせてくれる気だったのでしょう?」

「……はっきり言わせてくれや。お前ら(メインキャラ)に情報与えると碌なことにならねーんだよ。頼むから、俺たちが情報渋ったときはお前らに伝えてお前らが自滅したんだと思っといてくれ。これ以上俺のせいでお前らを生き急がせたくねーんだよ、こちとら大事な主人やら友人やらが皆死地に突っ込んでくんだから気が気じゃねーんだよォ! 自力で調べやがれってんだド畜生!」


アウルムはそのまま膝を着いてしまった。

俺はそんなアウルムの傍に寄る。

俺たちのことを本気で心配してくれるからこそ何も言わないというのは、まああれだよな。


大人の心情というか。

一歩引いて見ているから分かることなのだと。

彼の記憶の中で、俺たちは何度死んだのだろう。


「分かったよアウルム。……その代わり、もし俺たちが死地に突っ込んでいくなんて馬鹿なことをしたら、気絶させてでも止めろ。死なすな」

「……ったく、どこでも我が道を往きやがって……」


今までに会った俺もこうだったのか、まあ、俺だしな。

笑いかけてやればアウルムは苦笑を返してきて、そのまま俺に抱き着いてきた。相当心配させるのが俺らしい。

今は大人しくしておこうと思った。


ルナ「あの、ところでロゼって一体」



評価点200が、夢だったんです。

1人で喜び勇んでおります。

これからもよろしくお願いします。

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