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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
33/154

入学パーティⅠ

書きたいように書いていたら、ロキ君が性別不詳状態一歩手前になってました←

公式の場ではあいさつ回りなんかもあるので令嬢姿をすることが求められる可能性に気付き、俺は学校で男装を楽しむことにした。

男の身体でですよ?


「軍服か、カッケーな」

「お前はなんでまたそんなギャルソンみてーなカッコになってんの」

「まともなパーティ用の服なんざ持ってねーよ」

「言えよバカ! 一緒に買ったのに!!」


じゃあなんでギャルソン服持ってんねんというツッコミは置いておく。


仕方ねー、俺今日は令嬢服(ドレス)でいいや。


「え、ちょ、着替えんのか」

「これ貸してやる! 俺はドレスで行く」

「え、ちょ、マジかよ」

「何年令嬢やってると思ってやがる。くそ、汚すんじゃねえぞ、なんか言われても気にすんな!」


それ、フォンブラウの衣装ですから。


「ちょ、んなもん着れるか!」

「安心しやがれ4年以上ここに居る先生以外分からねえから! 家紋の刺繍が無くてよかったな!」

「これ絹じゃねーかどっちにしろよくねえええええ!!」


俺はさっさと服を脱いでアウルムを着付けていく。たぶん自分でも着れるだろうけれど。


「行かねえ、行かねえぞコノヤロウ!」

「あーそうかいじゃあ俺かソルがエスコートされないまま会場に行くわけだな!」

「くっそ、俺に知識があるの知ってて言ってやがるなああああ!!」


攻防を終えてアウルムは軍服仕様の俺の服を着た。似合ってる似合ってる。


「チクショー……」

「似合ってるぞ。ああ、前は崩しといたがいいか。首輪が見えるように」

「……お前たまに発言がサディスティックだわ」

「そうか?( ´∀` )」


襟を詰めるタイプなので開けてしまえばいい。裏側は俺が崩した着方をするのを知っている服屋に頼んでいたのでちょっと刺繍が入っててカッコいい。


黒地に金の刺繍で、ワンポイントのスカーフは青紫だ。うん、やっぱり。


「お前は白黒金赤だな」

「そんなに俺は青が合わねえか」

「うん、全っ然合わねえ( ´∀` )」


金色の目だけで十分なくらいだしな。

さてと、俺は今から着替えですか。間に合うかな。


「パーティ、来いよ」

「へいへい。待っててやるよ」

「談話室でな」

「おう」


俺は一旦女子寮に飛ぶ。ソルはまだ部屋にいた。


「ソル、まだ終わってないのか」

「アンタ半裸で来るもんじゃないわよ」


ソルの服はワインレッドで装飾が華美ではないもの。

って、やべえ。

ソルの髪結ってやれない。


「ソルごめん俺ロキで行くんで」

「あー、やっぱアウルムのやつ服持ってなかったのね」

「ギャルソンやる気だったんかね」

「ばかねー、金目がふらっとしてたら攫われるのに」


貴族としては常識的なことだったらしい、金目と銀目の存在。金目は体力の有り余った半精霊。銀目は魔力の有り余った半精霊だったようである。家庭教師の使っている教科書のだいぶ先の方に書かれていた。

去年の最後、教科書を終えるときに気付いて、もっと早く知りたかったと愚痴ったのはいい思い出だわ。


「ゼロ」

『ん』


リンクストーンに呼び掛けるとすぐに石が黒く染まった。


「ソルのエスコートを任せる。怪我でもさせたらただじゃおかねえからな」

『ん。談話室で待っていればよろしいので?』

「ああ。俺らが行くまでアウルムの事頼むわ。喧嘩すんなよ」

『了解』


ゼロ、最近変な感じに敬語を覚え始めている気がする。

ゼロとの通信を切って、身体を変化させる。下着を変えてドレスを適当に選ぶ。

向こうが黒青だからな、合わない同士で行くか。


ロキには青が合う。

赤はなかなか似合わない。


黒いストレートのドレスを選び、胸元を多少開けたものであることに気付いた。

何でこれ入ってんだ。

セトナか。

アイツが入れたんか。


「くっそ、セトナのやつ、襟元詰めた黒のドレス全部抜きやがった!」

「エスコートアウルムなら開いてた方がいいんじゃない?」

「ああそうだ、アウルムなんだ……」


アイツのさっきの着崩した姿を思い返し、しぶしぶそのドレスを着た。胸元が大きく開いているわけではないのだが、どうにも慣れない。恥ずかしげ?そんなもんはない。


アクセサリどうしよう。

なんで俺野郎しか連れてきてないんだろ。

まあいいか。


赤のストールを巻くだけでもいいだろう。

ストールを巻いてイヤリングを選ぶ。金細工とシトリン。これでいいか。


「くそ、マジ似合わねー」

「アイツなら馬子にも衣裳とか言い出すわよ」

「想像に難くねー」


ソルの方は髪の赤がかなり強いのでポニーテールを黒いリボンで結ぶことにしたようだ、が。


「時 間 な い」

「談話室に飛ぶぞ」


ぽんと談話室に飛ぶと、ゼロとアウルムが待っていた。


「遅い」

「ロキ、綺麗だ」

「馬子にも衣裳」

「殺すぞ鈍足」

「上等だア゛ァン?」


なんでこいつらこうも喧嘩腰なのだろうか。

いや、今はそれはほっとけ。


「わり、ソルの髪結ってくれ」

「おう」


黒いリボンを手に取ったアウルムが慣れた手つきでてきぱきとソルの髪をポニーテールに結ってリボンで留めた。

ゼロが俺の方をちょっと弄ろうとしてくれたようだが、退け下手糞、とアウルムに言われていた。


「何、俺の方も結んでくれんの」

「お前のそのカッコでポニテはダメだろ。ちょっと引っ張るぞ」


あ、編み込みする気だ。

サクサクときっちり髪を編み込まれ、アウルムが自分のアイテムボックスから黒いリボンと黒い女物の手袋を取り出した。


「お前アイテムボックスあったのか」

「上位世界出身者(俺たち)なら皆持ってる。つーかお前赤似合わねーな」

「分かっててやってんだよ」

「んじゃこれでよくね」


アウルムがスカーフを外して俺からストールを取り上げた。

つまり、逆にされたわけで。


「……まともな女の子にやってやれ」

「俺が右なの忘れたか」

「リアルでやんじゃねーよもー! 飛ぶぞ!」


準備が終わったのでゼロも巻き込んでさっさと会場に飛んだ。

ちなみにゼロは相変わらずの黒い軍服である。





「やっと来た」

「遅れてごめんなさい」


ルナの言葉に対し素直に謝っておく。エリスとルナは入学式中に仲良くなった男爵令息に組んでもらったらしい。見慣れない男子が2人いた。先に2人に連絡してたんだな、アウルム。


「スズはどうなさったの?」

「彼はアウルムに衣装を貸したので来れないと連絡がありましたわ」

「だからアウルムがその服を着てるのね」


ソルとエリスが納得、と呟き苦笑した。


「あら、ごきげんよう、ロキ様」

「ん!」


急に声を掛けられて俺たちは振り返った。

そこには、ロゼがいた。


真っ赤なドレス、胸元の大胆に開いたデザイン。悪役令嬢か( ´∀` )

いや、彼女はマジで悪役令嬢だった。

俺が見た感じ、そんな感じないけど。

ヒロインに対するその行動原理が一貫して“立場をわきまえろこの小娘が!”タイプなので、俺たちはもしも他のシリーズのヒロインが攻略対象に手を出してきても問題なくヒロインを批判できる。


彼女の胸元にはまろやかに光る大粒の琥珀があった。


「ごきげんよう、ロゼ様」

「ごきげんよう、クルミ様」

「ごきげんよう、ロゼ様」


男爵令嬢たちには声を掛けていかないが、それは気にする身分ではないということだろう。ちなみにきっちりとゼロとアウルムはロゼに頭を下げていた。


エスコートしているのは、カル殿下である。カル殿下が俺たちに声を掛けてきた。


「ごきげんよう、ロキ嬢」

「ごきげんよう、カル殿下」


それぞれも声を掛けられ、返事を返した。

ふと、アウルムが口を開いた。


「ロゼ様。ちょっと、」

「……なんですの?」

「お待ちなさいアウルム。お前から声を掛けるとは何事ですか」

「うげ……」


ロキは学級委員長系を高飛車に行くキャラである。

アウルム、もとい明羅が最も苦手とするタイプなのだ。

堅苦しいのを嫌っているから特にな。


「だって、リボン崩れて」

「こっちに先に言いなさい、愚か者」


ちょっとアウルムを叱責して、ロゼの姿に目を走らせ、アウルムが何を言っていたのか理解した。


腰のところでリボンを2つ結んでいるのだが、1つがちょっとバランスが崩れているのだ。

俺はあんま完璧には結べないけど、でもアウルムをロゼに近付けたらロゼの品位が疑われる、だからといってこのまま出すわけにもいかん。


「……アウルム、ちょっと女に成れ」

「正気かお前」

「経験くらいあるでしょう」

「あるけど」


あるんだ。お前もTS転生したのか。


「何の話ですの、結局」

「リボンが少し崩れているのが気になるそうです」

「まあ!」


お?

ロゼの目がキラキラしだした。


「あなた、この微妙な崩れが分かるんですの!?」

「え、あ、はい」

「ちょうどよかった。中等部最初のパーティですもの、完璧な姿で出たいのです。直してくださいまし」


お、おおふっ。

ロゼが意外なところで……いや、分かってはいたことか。

めちゃくちゃ服装にも厳しくて、強烈なのだ。

カル殿下と一緒に来るパーティではよく服装が云々と俺に愚痴っていく人だった。


「では、少々失礼しますよ」


俺が上の空で考えてる間にさっさとアウルムがロゼのリボンを綺麗に整え直した。

こいつコーディネーターでもしてたんかな。

……やってそうだな。


「よくお似合いですよ」

「ありがとう。あなた、名前は?」

「――シド、です」

「そう、シド。……今度お話をいたしましょう。では、これで」


カルが小さく「ありがとう」と言って2人は去っていった。

時間になっちゃったらしい。カル、苦笑してたなー。喋りたかったのかな?

それともロゼが俺たちに声をかけたいと思って声をかけに来ただけか?


「……嵐だったわね」

「つか、今ロゼにアウルムとられそうだと思ったの俺だけ?」

「いや、俺も思った」


アウルムを悪いようにしないならいいかなとも思ったけど、いやこれまさかと思ってルナを見たら、蒼褪めていた。


「なんかあるのか、今の」

「ロゼ様を救いたいと思うなら、回避必須のフラグが建った、かも」


どうやら、気に入ったのでうちのお抱えコーディネーターにならないかというお誘いのイベントの確定イベだったらしい。


「……アウルム、さっきシドって名乗ったのもそのせいかもな」

「デスヨネー」


もうなんかわけわかんなくなってきた。


「とりあえず、パーティ楽しも?」

「だな」


ロキ→女の子

スズ→男の子


でもロキ・フォンブラウに対して死徒からつけられた名前が”スズ”なので、どちらも彼(彼女)の名前ということになります。


次話は別視点からお送りします。

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