表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
3/154

とある主人公への転生

テストは終了しました←


ただいま帰還しますた(`・ω・´)


今回はロキ視点じゃないです

私の名は、ソル・セーリス。セーリス男爵家の双子の娘の長女である。

正しくは、それに転生したらしい、日本人の女子高生だ。

8歳になった私と妹のルナは、今日、カイゼル伯爵家に御呼ばれしている。私たちを呼んだのはカイゼル伯爵令嬢のクルミという方である。


私の友達の名前なんだよねー。

しかも、私と弟と一緒にトラックに轢かれて死んじゃった可能性がとっても高い子。いい子だったのに……。

3人で買い物に出かけた先でクラスメイトに会って、その子と喋りながら信号待ちしていたら暴走トラックが突っ込んできたとかいう不運。


ちなみに私は、ヒロインだ。


そう、ヒロインなのだ。


この世界観を知るために人間の名をひたすら覚えたり、本を読みこんでみたりしたのだが、結局分かったのは、私が生前にやっていた乙女ゲーム『Imitation/Lovers』と『Imitaton/Lovers2』ひいては弟が気に入っていたシュミレーションRPG『Imitation/Dragons』の世界観であること。


私はそれが分かった瞬間から、ルナを大切に大切に、歪まないように、協力することを教えるというか――ぶっちゃけ、普通の女の子みたいだったので原作のストーリーのように彼女に接した。ここのストーリーを公式が認めてくれていた創作小説を双子の弟が買って来てくれていたのが功を奏した。


男爵家の令嬢でしかない私たちは、それでも貴族で、魔法の才能があるらしい。

私とルナは基本的に同じ色の髪と目をしていた。

元は綺麗な朱色だった。けれどそれが、8年かけてどんどん色が偏っていっている。

この世界の髪や目の色は扱える属性を示しているので、赤くなっていく私は火で、黄色っぽいオレンジになっていくルナは光を扱うのが得意になっていく。


元は火と光を扱えた私は、いつの間にか火しか扱えなくなり、ルナは光しか扱えなくなってしまった。火は壊す力で、光は癒す力だ。水や風、土にも癒す力はあるが、火にはない。私はそれが悲しかった。

それを両親は単純に珍しいと言われる光が使えなくなって悲しいのだと思ったようだったけれど、違う。ルナにだけは言ったのだ。聞いてくれたから。


――どうして泣いてるの、ソル?

――だって、私は治癒が使えなくなっちゃったの!

――うん。それでもソルは火が使えるよ。……なんで?

――ルナのケガを治してあげられなくなっちゃった……! ごめんね、ごめんね……!


あの時は本当に、本気で泣いた。

でもそこではっきりと私は思い出したのだ。


『Imitation/Lovers』――通称イミラブ、これは、最初はダブルヒロイン制だった。

R18Gなゲームだったこともあり、それぞれのエンディングがエグイものが多かったことに思いを馳せた。


ともかく、ヒロインはルナ・セーリスとエリス・イルディという2人の男爵令嬢だった。どちらも男爵令嬢であるという点はかなり珍しかったけれども、選択肢のパターンがかなり違ったのだ。


エリスは金髪でふわふわカール。美しい桃色の瞳をしていて、美女、だった。光属性の典型的な髪と目だった。

彼女の選択肢はゆるふわ系だった。彼女のエンディングはほわほわしていたけれども、弟曰く、「エリスはダメだァ!! アイツにトゥルーエンドなんて耐えられっこねえええ!!」だそうである。


親友も結構「エリスはちょっと、優しすぎてトゥルーエンドはきついかもねー。だってトゥルーだったら戦場で指揮官任されちゃうんだよ? 人っ子一人殺せやしないわ」

戦争には絶対向かないのでむしろルナの方がいいと言っていた。


ルナの方は綺麗なみかん色の髪と瞳の男爵令嬢、光属性を扱うのは同じだけれども、幼い頃は火属性を扱えていたこともあって、魔法で他人を傷つけることの恐ろしさをよく知っている、はきはきとしたしっかりした元気っ子だった。


エリスの方は余裕で攻略対象を落とせる仕様だが、ルナの方は相手の好感度を上げる選択肢が出てくるイベントが少なかったり、実はちょっとしたことでコツコツと好感度を上げなくてはいけなかったりしていた。

ルナは元気系なのである。ゆっくりと相手の心の傷を癒すような子ではなく、ただ照らしてくれるだけの存在だったのだ。


まさにルナは“火の光”だった。


私はエリスを好きにはなれなかったが、クリアしやすいのは確かだ。エリスはハッピーエンドに、ルナはグッドエンドに進みやすい。

ちなみに、2人をどちらもしっかりクリアすると、もう1人の男爵令嬢が解放される。隠し主人公である。


それが、ルナの双子の姉であるソル・セーリスなのだ。

ソルはルナとエリスが持っていた“希少な光属性”というアドバンテージを既に捨てている。そのため攻略対象との距離を詰めるきっかけをかなり回りくどく辿っていかねばならなかった。さらに、ルナの双子の姉だけあってこちらも元気系お姉さんの雰囲気があった。


が、彼女は最もトゥルーエンドに進みやすかった。トゥルーエンドは弟が一番気に入っていたエンディングだったが、大団円エンディングだ。

トゥルーが一番良いって一体どういう。


まあ、男性陣としてはどうにも、エリスは気持ち悪いらしい。弟曰く「逆ハーとかマジビッチじゃん。そんなやつに惚れたら俺自分が気持ち悪くて死ぬ。無理、ゼロの対応が一番いいわ、良いねハズレキャラに近い攻略対象! 万歳だ! ヒロインざまぁ!」。


すごい嫌われようね。

まあ、エリスに対してだけだったんだけど。

ルナの場合は、いじめがソルに及んだ時点で一旦男性陣の誘いを拒絶する選択肢がある。


「ごめんなさい、今日は姉と予定があるんです」


この選択肢が出て私は度胸あるな!なんて思っていたが、ソルはもっとすごかった。


「お断りさせていただきます。私には想い人が居ります」


誰だコラーって思ってあとでステータス確認したら誰でもないんだよね。

虐めに巻き込まれた妹のために根本からきっちり潰す人だった。

そしてこの選択肢を選ぶと次から2人は攻略対象から離れる選択肢を選べるようになる。


弱みを抱えているからっていう仕様だったみたいね。

まあ、私の場合、弟が悪役令嬢に好意的だったのを見ているから、攻略対象たちが悪役令嬢たちとしっかりと結ばれてほしいくらいだ。


私の場合、攻略対象でこそなかったけれど、ゲームのスチルはなかったけど、隠しキャラで“ハズレ”が2人いた、そのうちの年上の方がソルの想い人だったんじゃないかなって思うのだ。


攻略対象が6人、隠しを入れると8人、ハズレを含めて10人の大所帯だからね。

リガルディア王国第2王子、第3王子、伯爵子息、騎士団団長子息、公爵令嬢の護衛、公爵子息がメインで、リガルディア王国第1王子、隣国の第1王子が隠しキャラ、隣の帝国第1皇子、謎の苗字持ちの平民がハズレだ。


ハズレの2人は、皇子の方はしっかりとしたお堅い人物で、平民の方は幼いというのもあるが、この子が実はかなりの曲者だったりする。

絶対グッドエンド以上がないのだ。ハッピーエンドが存在しない。

言った通り幼いからともいえるが、それだけではない。


イミラブはイミラブ2にデータの引継ぎができる。

もしもイミラブの主人公を、彼の登場するところまでやっていたのなら、イミラブ2ではそのキャラはそこそこ気安く話せるようになったころ女の子の話になると、「媚びを売る人間は気持ちが悪い。君はそんなんじゃなくて安心した」というある意味問題発言をする。


この世界観練ったの誰だ――!!


盛大に叫びたくなったね私は。制作陣、リアルすぎてこれはヤバいです。

私は弟がプレイしていたから知っていたのだが、このキャラ、実は死徒の腹心と言っていい男である。


イミットという種族なのだ。このゲームのタイトルに関係する種族だから、このキャラにはかなり気が使ってあった。

何せバッドエンドルートのラスボスクラスですよ。

イミラブでもイミラブ2でもバッドエンド、ダークエンドで共にビッチ主人公(逆ハーヒロイン)の前に立ちはだかる絶対的な強者として登場する。


私はイミラブ2に登場するレヴィというキャラが、攻略対象じゃない(ハズレキャラな)のを残念に思いつつ、でも婚約者様と是非お幸せになってくださいという思いを込めて贈り物選択では私側からの決別として黄色のバラを贈った。


このレヴィがイミラブ2のラスボスなんだよねえ。いや、ヒロインざまぁwにはほんとに笑ってしまった。


ちなみに腐腐腐な私には彼のルートにおいてダークエンドで攫われてしまうヒロインの意中の人とのシチュに萌えた。


が、彼は私の関係者ではない。

彼はロキに接触するだけの、おそらく私たちが紡がなきゃいけない物語の3年後のストーリーの関係者に過ぎないのだ。


しかも、弟の悶えっぷりから見て間違いなく彼は死徒だ。

ということで、死徒フラグだけは折っとかなきゃならない。

たとえ私がヒロインだって、いきなりルナが言い出してしまったとしてもだ。


下手に進んだら私たちの代で国が亡ぶ、人類が滅んでしまう。

死徒はRPGで激突したら100パーセント勝てない無理ゲーだったらしい。

ちなみに、チート仕様にしても倒せない――倒したと思ったら復活するらしい。しかも、主人公と同じ、聖なる光を纏って。


無理ゲーですわ。制作陣そこくらいいいじゃん!

抜け道あっていいじゃん!

ゲーム的にはダメだったんだろうけどさ!


ちなみに倒す方法は、闇属性のキャラを最初からずっと支え続けて行ってレベルマにしたら勝てるんだそうで。弟はきゃらきゃら笑ってたなあ。だってそりゃそうでしょうよ。


最後に彼らは言ったらしい。


「愚かな。だがそれが愛おしい。弟が国を託した者たちの子孫たち。余はおぬしらを見守ろう」


そう言って妻と一緒に消えてったのだそうだ。大陸移動しただけっていう後日談には爆笑した。彼らは死ぬことはできないし、封印したら火の魔法が全て使えなくなるらしい。そんな精霊的ポジにいらっしゃったのが、イミラブ2のハズレ攻略対象、レヴィである。


この世界の本に触れてわかったけれど、死徒は相当恐れられているメンツと、そうではないメンツがいる。少なくともレヴィは恐れられてはいない。帝国とかなり仲がいいのだそうだ。それが帝国の奢りにつながったのかもしれないわね。


ま、いっか。

今の私はドレスを選ばなくちゃならないのだ。

ルナも一緒にお着換え中。


だって、ね?

クルミって名前のヨーロッパ風の名前があるなら教えてほしいわよ。


親友の名前はクルミ。

弟の名前はリョウ。


2人はこっちに来てるのかもしれない。

クルミはどっちかっていうと乙女ゲーム本体より悪役令嬢モノを読み漁ってたタイプだったから、こういう時の対応に詳しいはず!


本当にクルミならば、ぜひ会って話がしたい。

私は結局赤い髪に合うような、黒とワインレッドのシックなドレスを選んで、カイゼル伯爵のお屋敷へと向かった。


恋愛#とは


ロキ以外の視点が結構入っていきます。

変わらぬ亀更新でいきます。ゆったりとお付き合いくださいませ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ