ころころしりーず
デルちゃんが話を付けたらしく、ドラゴンは静かに霧散して消えていった。
ちなみに、屋敷の敷地の外にはバレていないそうである。デルちゃんが一瞬で結界を張ったのだとか。こうして聞くと、つくづくチート野郎だな。
「あ」
「お」
ばきり、と音がする。
アウルムの腕の中からだ。
卵が孵ったようである。
何が出てきたんかなと思ってみてみると、なんぞもっちりした球体が出てきた。
「……これ、エレメントだったよな?」
「そう聞いてる」
「……透けてない」
「お前が孵して透けてられると思ったかアホ」
アストの声がした。振り向くとそこにアストがいた。
「ばーかばーか。エレメントの幼生だよ。幼生は透けてないんだ」
「なんだ、そっか」
「俺のせいで異常でも起こしたのかと思った」
俺とアウルムは揃って息を吐いた。
しかし、目も口もないな。
ちょっとかしてとアストが手を伸ばすと、エレメントの幼生は暴れ出した。
「あー、こいつもか」
「アウルムが孵すとマジでアウルムにばっか懐いてるのが出てくるよな」
そんなことを言いながら、俺が手を伸ばすと、それは俺に撫でられた。
「お」
「お前が抱えて俺に預けたの、分かってるんだろうな」
きゅーん、一声鳴いて俺の肩に登って来たエンシェントミミックドラゴンの幼生、名前はミィとなった。
「どした、ミィ」
「構ってほしいんだろ」
「あんまそいつらばっか構ってるとスーとハクがいじけるぞー」
ハク、は、こないだ生まれた鳳凰の雛である。あれからだいぶ大きくなっているが未だにころっとしている。
俺たちがそれぞれの人生を歩んでいるのと同じで、こいつにもこいつの人生があるのだ、と、ふと、そんなことを思った。
「そういやさ……」
「ん?」
「この辺の描写、ゲームにはねーんだよ」
「まあ、必要ないだろうしな」
俺たちはミィとエレメントの幼生を連れてスーたちのいる中庭へと向かう。
「エレメントっていってもなあ。メイでどーだ」
「めいー」
「めいー」
返事はないが、エレメントは声はないので仕方ない。と思っていたらみにょんと手の様に何か伸ばしてきたので握ってやる。
「お、喜んでら」
「楽しそうだな」
嬉しそうで何よりである。
中庭に辿り着いた。
そこでは休憩に入っていたらしいプルトス兄上が読書中だった。
プルトス兄上の魔物であるケットシーのケィが日向ぼっこ中である。
「プルトス兄上」
「ん。ロキ。あ、アウルム、卵孵ったのか」
「ええ」
ホレ、と見せるために近付いたがメイが嫌がってしまった。
「あー、嫌われたか?」
「まーしゃーねーしゃーねー」
中庭にはそれぞれのプライベートスペースに近いものが形成されている。俺の場所はよく月光の当たるところにあるが、スーはそこに繋いである。
ハクも一緒に居るから、仲は悪くなさそう。
ハクがアウルムに気付いて羽をばたつかせながらこちらへやってくる。
そのままアウルムの肩に泊まって、腕の中のメイを覗き込む。
「怪我させんなよ」
そう言いつつそっと近付けて、あっという間に怪我させるハクにアウルムが苦笑した。
なんとか反撃し始めたメイを地面に置くとハクは一旦攻撃をやめた。
守らないよ、という意思表示である。
ついてきたければついてこい、というのがアウルムのスタイルらしい。
まあ、銀河みたいなのの相手を今までずっとし続けてきたという話だったので、仕方ないと思う。
その言い方だと銀河も転生し続けているのかと問えば、銀河はちょっと違うと返ってきた。
転生はしているが、自分の意志でアウルムを追っかけているらしい。どんな執念だ。
ちなみに銀河というのは、俺たちの学校では何かと有名だったイケメンで、これがまたゲームみたいな色の髪で。
赤かっただけだが。
そしてこいつが有名な原因が、ゲイ疑惑の浮上である。
当の追われていた本人から聞いた話なので、おそらく事実なのだろうが、すさまじい執着である。
歌よりはるか昔から探され続けているようである。
そんなやつだからほっとけないの、と言われればなんとなくわかってしまう気がした。
俺たちが日向ぼっこを始めると、メイもメイをつついていたハクもアウルムを追っかけてやってきた。メイはあんまりダメージが無いようだが、ハクの方が怪我しているじゃないか。
「物理効きにくいってスゲーな」
「だな」
2匹ともその腕に抱いたアウルムはごろ寝する。スーがそんなアウルムの頬を舐めた。
「くすぐってぇ」
「だろうな」
勉強なんてものはとうに終わらせた。
今日かこれから何の予定もない。
ゆっくり昼寝するとしようじゃあねえか。
一先ずこれで第1章は終了となります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
人物紹介を更新したら溜めてる分を更新を週1回にします。これからもよろしくお願いします。




