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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
27/154

垣間見える

ゼロ視点です


なんでこうなった

「さて……皆のもの、よいか」


アーノルドさんが重々しく口を開いた。

アーノルドさんは俺の親父の友達だ。その縁からここに預けられた。親父はたまに帰って来るけれど、その度に傷が増えている。

最近はかなり戦っている魔物が強いらしい。母さんもあんまり帰ってこれなくなった。


俺が最近ずっとやっているのは従者としての仕事よりも、ロキと一緒に合成。ロキはサファイアの日にあるフリーマーケットが気に入ったらしい。

フリーマーケットは基本的に掘り出し物があるかもね、というようなところなので、ロキの物なんかはその掘り出し物にあたることになる。


ちなみに現在、使用人たちが一堂に会してこの応接室にいる。


理由?

簡単だ。


ロキに誰がついて行くかの、決定戦。


ロキは基本身の回りのことは自分で出来てしまうから、メイドも執事も必要はない。

けれど、それじゃ公爵家の名が廃る、とアーノルドさんは言っていた。


ロキは必要最低限、そうですね。2人で結構。ええ、ゼロは必ず連れて行きますから、あと1人ですね、とか言っていた。

俺の耳が拾った情報だと、その1人は別に必要ないそうだが、居てくれると助かる、程度らしい。


学園に行く貴族の子供たちは皆使用人を連れて行く。

使用人の部屋も学園側が用意してくれるが、その為にはお金を結構な額支払わねばならないとのこと。


男になれば同じ部屋で寝泊まりできる、女になればまあそれはそれで、ロキが女になってればいいだけの話だろと言っていたが、表面はそうでも水面下でも同じ動きかというと、それはちょっと。


そも、ロキは家の金は極力使いたくないと言って店を構えるためにわざわざフリーマーケットを選んだような人だ。

参加資格は誰にでもあるし、皆でいろいろ持ち寄れば雑貨屋みたいなことができる。


俺はもうついて行けるのが保証されているので問題ない。

が、皆はそうはいかない。


ちなみに、俺は使用人としてではなく、同級生としての入学対象年齢でもあるので、オールオッケーである。

同じ理由で、俺の横にいるアウルムもこの使用人たちの壮絶な自分アピールの場には加担していない。


「アウルム」

「ん?」

「……お前、ロキと仲、いいんだな」

「んーまあな。前世からの付き合いだし」


あいつの前世ではそんなに関わりなかったんだけどな、と言うから、余計に不思議になる。

じゃあどうして今そんなに親密なの。


「ロキの邪魔に、なってない?」

「俺たちがか?」

「ん」

「どうだろーなぁ」


俺は純粋な疑問をぶつけてみた。

転生者って要するに仲間内だろう?


「誰とダチになるかはその本人次第だ。たまに、断れねーやつもいるにはいるが、ロキ――つーか、涼はそんなやつじゃねえ」


其処だよ、俺がムカつくのは。

何でムカつくのかなんてわかりゃしない。

でも、ロキの周りに、転生者ってやつらがいるとイライラして、アウルム――こいつがいると特にイライラする。

何でだ。

どうしてだ。


「……ははーん、俺、お前みたいなやつ知ってるぜ~?」


顔を覗き込んできたアウルム、金色の目。

同じ色の目を持っているはずで、親父と同じ色の目だと、そう思っていた。


でも、違うことに気付いた。

親父や俺の目の色は光の当たりようによって金色に見えるだけだが――こいつの目、本当に金色だ。


それは、黄金と呼ぶにふさわしい色。室内灯の明かり如きでここまで輝くなら、それは(アウルム)と呼ばれても何もおかしくない。


ふと、銀色の髪のロキと、金色の目のアウルムが並んでいる姿が思い浮かんだ。


なぜかは分からない。

ただ、悔しかった。


「ゲームの攻略対象になるなんざ、ごめんだよなァ。こんなに誰かを好きになってんのに」


見透かしたように言うな。


「知ってんだよ、ずっと見てもらえないと折れそうになるんだ」


何を以ってそんなことを!


「何度死んで何度生まれ変わったってこれだけは変わらねえ。きっとお前も分かる日が来る。来てしまう」


だってロキはお前を見ないから。


「なんだと!」

「おいおい、まるで俺がお前と同じ土俵にいるみてーにくってかかってくんな、俺には別に想い人がいるんだよ」

「じゃあなんでお前にそんなこと言われなきゃならない!」

「言ったろ、お前に似たようなやつを知ってるってよォ。お前みたいなタイプは周り巻き込んで皆を傷つける。確証はねえ、でもお前は確実にやるぞ。お前はイミットだからな!!」


自分の種族をそういうことの理由にされたのは初めてだった。

一瞬頭が真っ白になった。そしてそのまま周りの悲鳴も気にせずに半竜化を起こした。


「ゼロ、ゼロ、やめなさい!」

「があああああっ!!」

「きゃあああ!」

「いい度胸だクソガキ! 旦那様、ちょっと庭をお借りしますよ!」


アーノルドさんの声、メイドたちの悲鳴。

半竜化しているのに抑え込まれている。半精霊ってこんなに強いのか?

開け放たれた窓から俺とアウルムは庭へ飛び出した。


「何が、分かル、お前なンか、ニ」

「あーあー、うるせーうるせー! 力のあるヤンデレがどんだけめんどくせーか、涼は分かってねえ! なんでお前みたいなの放し飼いにしてんのか分かんねーわ! さっさと首輪つけて足元に転がしてりゃいいものを!」


一瞬魅力的に思えたのはこの際置いとく。


「お前とロキがそういう立場になったら俺と俺の想い人と同じ轍踏むんでな。お前は嫉妬でソルちゃん殺すぞ。一番がロキから不動のままで、嫉妬の果てにロキ殺すぞテメェ」


そんなことあるわけないと、言いたくて、言えないことに気付いた。


「殺したら自分以外もう映らないもんな」


「殺したらそいつの最後に残るのは自分だもんな」


「逆にロキに殺されてもいいよなあ、強烈に残るもんな」


全部、一瞬頭によぎったことだ。


「ほら、そんな顔する。だからテメーは、アイツの隣じゃなく、アイツの前に立って番犬やってろ」


なら、

取っ組み合ったまま至近距離で話していた俺たちの体勢が崩れる。アイツが力を抜いたのだ。


どうして手を握られているだけなのに抜け出すことすらできない。

ものすごい握力だ。

いいや、握力というよりは――圧力?


「そろそろ俺のパワーの種も分かって来たか?」

「……金属精霊だト言ってたナ」

「ああ」


余裕の笑みを浮かべているアウルム。

種は、分かった。

けれど。


それじゃあ、俺に逃れる術なんてない。


「……理不尽だ」

「ドンマイ、まあ、気にすんな!」


味方なんだからと言ったアウルム。

味方、か。

確かに、今はまだ敵じゃない。


いやそもそも、魔王でもこいつに勝てるかどうか怪しい。


「……そういえば、俺の母さんの知り合いに、居た」

「んー?」

「チートなんてお断りよ、って口癖みたいに言ってる人」


俺が後ろの地面を蹴るとそのままアウルムは地面に尻餅を着いて、俺はアウルムの胸に飛び込む形になった。


「……どーよ」

「……落ち着く……」


手を放して背中に手を回した。ポカポカする。


「でっけー赤ん坊」

「うる、さい……」


眠たくなってきてしまった。

騒ぎを聞きつけたらしい周りの声。


「アウルム、ゼロ!」

「ロキ、しー」


アウルムの言ったとおりになるのは癪だが、でも、確かに。ロキに見てほしいと思ってるのは事実なので、認めてほしいと思ってるのは事実なので。

お前が買った首輪をロキが俺につけてくれるなら、許してやらんこともない。



盛大にヤンデレマゾが出来上がって謎な件(´・ω・)ドウシテコウナッタ

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