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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
19/154

転生者オンパレード

そろそろ更新速度が落ちます。たぶん亀になります。

ゆるふわ設定の弊害が出てきたかもしれません……(;´Д`)

『帝国側から使者が来たそうである。

何でも、今回のことは一農村の少年がやらかしたことであるから許してほしい、とのこと。

こちらの民が死んでいるのにそれで罷り通るものかと、そう、思った』


「あーあー、来たよ、これ」


俺はぶつぶつと部屋で1人、文句を言いつつカル殿下からの手紙を読んでいた。


帝国側が使者を送ってきた。

そして内容は、『平民の子供が頑張っちゃった結果なんだよ、賠償するから殺さなくていいよね?』だ。


「一言文句言ってやらなきゃ気が済まんわボケ!!」

「ならばそうなるように我々が手配してやろうか」

「は!?」


声の主はラーだった。

いくら普段俺が男のカッコだからって無言で入って来るなや。

銀色の瞳が柔らかく笑っていた。


「……死徒の権限で呼び出すのか?」

「無論だ。帝国に乗り込んでもいい。君にはリーヴァの加護もある」


ラーは俺の胸に付けているブローチを指差した。

紫色、ドラゴンを内側に閉じ込めたその特徴的なマークから、一目でリーヴァのモノとわかるようになっている。


「ゲームから外れた。ならば、実際のところどうであるのか? ここは、およそであるとかたぶんだとか、予測や頭の中で組み立てた計算なぞ魔術と魔法であっさり覆る世界だ。計算や論理立てなど、死徒の絡むところではやるだけ無駄というモノだ」


ラーはそう言って既に書いていたらしい文面を俺に寄越した。

中身は簡潔に言えば、平民にもかかわらず死徒を追いかけ回したという活躍を見せた少年に会いたいというもの。ちなみにイミドラではこの文面が届くとその時点でバッドエンドルートに入るかハッピーエンドに入るかの二者択一となる。


向こうも転生者である確率が高いというのが、ラーと俺の同一見解だ。

なぜなら、セーリス男爵領まではぐれ死徒が逃げた原因はおそらく、そこまで追いかけられたためだからだ。


相手はイミドラとイミラブを知っている可能性が高い。

イミドラでは村の人を助けるか、死徒を追いかけるかで運命が変わる。

村の人を助ければ、主人公がいったん別のキャラに変わる。理由は、元の主人公が一度リガルディア王立魔法学園へ入学することになるからだ。ここの大まかなストーリーはすっ飛ばされているが、この学校を無事に卒業した主人公は再び帝国へ戻り、死徒との決戦に向かっていく。


つまり、だ。

彼はこのストーリーからは外れていない。

外れたのは、俺たちの方だ。


追いかけて死徒を殺して終わってたからなぁ……。ソルに連絡を取るか。


俺は念話石(ソル命名、リンクストーン。小型化しました)を机の引き出しから取り出し、ソルに繋いだ。


「ソル」

『――あー、はいはーい。ソルでーす。なーに、ロキ?』


このリンクストーン、水晶なのだが、繋いだ先の相手の魔力を登録しておくことで色が変わる。つまり、別のやつが持っていると別の色が出るということ。

今のところ登録しているのは、ソル、俺、クルミ、セトナ、ラー、ゼロの6人6色。


俺が青紫、ソルが緋色、クルミがまんま胡桃色、セトナはラベンダー、ラーは白と赤の点滅、ゼロは黒だ。


「ちょいと付き合ってほしい。情報のすり合わせをしたい」

『わかった。んじゃ、クルミ呼んでて。こっちもちょっと報告があるから』


俺は次にクルミに繋ぐ。


「クルミ」

『あ、ロキ? どうしたの?』

「ちょっと情報のすり合わせしときたいと思ったんだが」

『あー。実は私もそっちに行こうと思ってたの』


クルミの予定を聞いて、午後から集合ということになり、クルミの家に俺たちは集合することにした。

家、家と言っているが、無論王都にある屋敷の話だ。


ソルにも伝え終わると俺はさっそく動き易い格好に着替えて、中庭に出た。デルちゃんとアストが、今日はお供を連れてくるのだそうである。その為にいったん2人はこの屋敷を離れた。


「あー、ところでラー」

「何かね」

「デルちゃんとアストって結局何者なん?」

「……さあて。なんといったものかな」


つついても何も話しちゃくれないし、結局リオがくれた情報は彼らがものすごく高位の存在ってことだけ。

いっそのこと神、とか言えるのかもしれないが、俺には理解できない。


「……薄々、彼らが高位の存在であることくらいは気付いているだろう」

「ああ、まーな」

「ではそれが答えだ。お前は竜に会ったことはあるか。竜人でも構わない」

「ああ、竜人ならあるぞ」


リオの特徴を並べ立てるとラーは苦笑した。


「それはそれは。ならば分かるだろうが、そのリオという竜人は上位世界の住人に違いない。闇属性と言いながら物質を扱う者は全て上位世界の者と思え」


やっぱりか。

リオは気配を完全に消したりもするため、なかなか侮れない――もとい、空気みたいなやつである。

気配が消えると普通は気付くのだが、逆なのだ、リオの場合。

リオは、気配があることがおかしい存在なのだと思う。来訪を知らせるために彼は俺たちに合わせて気配をわざと察知できるようにしているだけだろう。


「上位世界の存在は、こちらでは精霊とか呼ばれているみたいだな」

「ああ。それと、薄々感じているだろうが、デルにしろアストにしろ、元の名の簡略形の名だ。あの2人は自分で自身を縛ってあの実力だ。それと、得意属性を魔法の属性で答える存在というのは、よほどの阿呆か、上位世界の者だけだと覚えておくといい。下手な商法に引っかからなくなる」

「どーも」


世話焼きなことだ。

庭に出ると、デルちゃんとアストが転移してきたところだった。

空間魔法を使っているのでまだ個人レベルで展開するのが限界というとんでもない代物だ。

個人レベルで、である。

個人でしか組めないというアホみたいに汎用性の低い術式なのである。

うん、困るなこれ。


赤と青の髪が風に揺れ、その後ろから、黒い髪のやつが姿を現した。


「お帰り」

「おー、ただいま?」

「よーっす」


連れてこられたやつの目は、金色だった。

それはもう、びっくりするくらい綺麗な金色だ。


どこかで見覚えのある髪型、よく見る形なのだけれども、短めの髪を後ろに掻き上げて、一部前髪は爆発している。

目つきが悪いところであるとか、その金色の目であるとか。


「えーっと。どーも、ゴールドっス」

「ああ、ロキだ。ロキ・フォンブラウ」


オイ名前。

いや、待てよ、とふと思う。

ちょっと待てコラ。


こいつも上位の存在じゃね?

なんつーの?

神々しさの片鱗みたいなのがあって、近付こうとしたけれどそれ以上近付けなかった。なんというのか、強烈な太陽の神々しさ的な。そのせいなのか、俺の身体はガッチガチに固まっていた。


「あー、日本人だったっけ?」

「中身はね! 外身は霜の巨人ですわ!」


名前ロキなんだから気付けやコラ。

いや、無理か。無茶は言うもんじゃない。


「で、その、ゴールドが、連れてきたがってたやつ?」

「ああ。俺の同族でな。言っちゃうと、こいつも転生者」

「マジか」


詳しく話を聞くと、どうやらこのゴールドという名は昔の名前らしい。前世、とはっきり言わないところに悪意を感じたぞ俺は。


現世の名はアウルムというそうである。

この国の出身ですなこいつ。

ラテン語の金だろこれ。


「っつーワケで、よろしくな、坊ちゃま?」

「テメー俺が女のカッコしたらお嬢とか言いそう」

「そん時はそん時だ、気にすんな」


チンピラ喋り。なんか、懐かしくなった。

友達に居たんだよな。

そういやあいつの名前金崎明羅だったな。


俺と一緒に死んだのが確定してる奴の横にいたやつ。うん、ちょっと鎌掛けてみるか。


「なーめいちゃーん」

「それで呼ぶなや」

「はい、はい、明羅(めいら)でしたー! 俺、涼!」

「……はァ!? お前ここにも転生したんかい!」

「お前こそ死んだのかよ! つか俺マジ即死だったわ!」

「くっそー、痛かったの俺とクルミちゃんだけかよ? つーか皆転生し過ぎだわ!」


知り合いキター!!

ん?

ちょっと待て。これだけ転生してるってことは、もしかしてもしかしなくても、イミドラの主人公もあの時あの場所にいたうちの誰かの可能性は?


「やべ、知り合いがこんだけいてくれると意思疎通超やりやすそう」

「だな。ちなみに俺に依存しまくってたダチ公が俺の死後自殺したらしいのであしからず」

「銀河だろそれ!! やだもーだからカウンセラーのトコ行けっつったのに!」


なんかヤな情報来たとか思ったけど、そうでもないらしい。


「どゆこと?」

「帝国にいる」

「マジか」

「通信手段とかねーの?」

「お前らの分も作るわ」

「おう」


次にやる事が決まったよ!!




まあ、なんぞこいつの言いまわしがおかしいことに、テンションの上がってしまった俺はよく考えもせずにスルーしてしまったのでした。


精進、シマス……。

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