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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
18/154

それはきっと

シリアス続いてスミマセン……。


ソル視点

「うわぁあああああん」


ルナの泣き声が聞こえる。

王宮に私たちはいた。


状況説明をロキが終えて爆睡したのを見て、私は心の中で感謝を述べた。

ロキはきっと、いろいろと我慢してくれたのだ。

いろんなことを。


私はルナに何も相談せずに独断で判断を下した。恨まれるかもしれない。それでもいい、というか、この判断はしなくてはならなかったことだと思う。

父様、母様、そうでしょう?


貴族としての誇りを持ちなさいと言ったのは父様と母様だもの。

そしてそれは奢り高ぶるということではなくて、民を守ることに重きを置けということだったでしょう?


もう、答え合わせをしてくれる人は、ここにはいない。


「姉さんも酷いわ、何で教えてくれなかったの、もっと他の方法があったかもしれなかったのに!!」


ルナは泣き叫びながら私を責め立てている。

仕方がないと思う。

だって私だって勝手に決められて両親見殺しにされたら怒るよ。


本当だったなら騎士団団長の領内で起きるはずだった今回のこと。

彼らはたとえ死徒が来ようが来まいが、領内全滅の魔術を使う直前まで行ったことだろう。

私たちの家は平和そのものだったよ。


「それとも何、姉さん、いいえ、ソル!! アンタもロキも転生者でしょ!? 今回のことが無くちゃいけないと思ってやってたのなら最悪だわ!! 助ける方法だってあった、アンタは知ってたんじゃないの!?」

「!」


私は耳を疑った。

ルナも――転生者?


「……」


でも、それ以上に。


「……方法、あったの……?」

「……え?」


ルナが少し表情を歪めた。

方法があった?

いつルナは転生者だってことに気が付いたの?

ラノベによくあるように、突然何かしらがあって前世を思い出しました的なパターン?


いろいろと同時に考えて頭がこんがらがってくる。


私はルナの方を向く。


「ルナ。確かに私は転生者だよ」

「……本当に、知らなかったの? イミドラ2、ロキは知らなかったの……?」

「……は、はは」


イミドラ2ね。

それ、発売される前に私たち死んじゃってたじゃん。


「……ごめん、それ、発売前に私たち死んだ」

「……!」


人生、そう都合よくはいかないもんみたいですよ。


「……逆ギレしてごめん……」

「いえ、いいんですよ。私はただ、他の領の民に被害が行かないようにという判断を下しただけですから。……死徒が絡むって分かってたから、最初から覚悟の上でしたし」


それでは許されないことだってあるモノなのだけれど。


「ロキとは、生前交流があったんですか?」

「双子の弟だったんです。一番プレッシャーがかかるのは彼なんだからって、自分にずっと言い聞かせてましたけど、やっぱりきついですね」


涙がボロボロ零れてきて、止まらなくなった。

ロキの話の後に、セトナとラーと名乗る死徒2人組が状況説明に詳細を付け加えていったのだが、それによると、領民の半分は死徒列強による被害の方が甚大だとか。

ふざけんなって思うことはあったけれど、死徒なんてそんなもんだと他の貴族たちは男爵という低い地位にいた私たちを切り捨てた。


貴族社会ってこんなもんなんだなと思うと同時に、騎士団団長だったらきっともっと酷かったんだろうと思った。

この国の騎士団は完全に実力主義だ。けれど、騎士団団長の爵位は騎士爵で、男爵よりも下なのだ。ゲームでもあっさりと切り捨てられていたんだろう。それで、セト様はそれに納得がいかず、大人の決定に逆らおうとした。


なるなる。

ふむ。


「……ルナ、あなたが転生者なら聞きたいことがいくつかあるわ」

「なんですか?」

「この世界をゲームのように生きるかどうか」

「……はは。馬鹿じゃないですか。できるわけないじゃん、そんなの!!」


ルナはそう言って私の胸倉を掴んできた。


「両親がいなくなっちゃったんだよ!! 実感湧き辛いけどさあ!! この状況で恋愛しろって!? 馬鹿なの!? あれはその傷を他人が負ってるから口出しできるんであって、自分の抱えた傷があんな簡単に治るかあああ!!」


ゲームは所詮ゲーム。

そう思えているのなら、私から言うことは何もない。


「……わかったわ。ロキを殺そうと思ったりはしないってことね」

「……!」


ルナは私の問いの意味を理解したらしく、小さくうなずいた。


「私のお姉ちゃんの友達に、男女の双子が居たんですよ。お姉ちゃん一緒に死んじゃったんです。あなたは、誰ですか。アキラ先輩ですか」

「……うん。あなたは、ミヨちゃんだね」

「はい」


誰なのかの確認も取った。

しばらくはショックが大きくて動けそうにないので、あとのことを学びがてら執事たちにちょっと任せていたら、こんな報告が入った。


フォンブラウ家が後ろ盾になってくれる。


ロキがせめてもの気持ちで提案したことだったのだろう。

はっきり言って、ありがたすぎて言葉が出ない。私はありがとうをロキに伝えるべく準備をすることにした。


それと、もう一つ。


父様、母様。

私、新しく爵位を賜ることになりました。

ルナと一緒に頑張ります。


『逃げられない階段のようなもの』


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