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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部2年生 夏季休暇編
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従兄弟と闇竜と

一先ず、ドラゴンゾンビから派生して出てきやがった問題はネイヴァスが対処することになったようだ。

本日もちゃんとベッドの上ですよ。


起きて着替えると既に起きていたアウルムがまだ寝ているゼロを担いで、一緒に食堂へ向かう。

ゼロ、昨日よく眠れなかったようなのだ。俺がしっかり意識を沈める直前まで不自然に寝返りを打っていた。


今日からレインも交えて本格的にエルカに魔術を習うことになる。

俺はひとまず魔術が撃てるところまで魔力を綿密に選り分けて細分化せねばならない。

それらはとりあえず彼女の指導の下ちょっとやっていたのだが、あまり時間もなかったからな。


朝食の席で末席に座らせられたバルトたちは、そろそろ緊張が解けてきたのか、普通に食事をしていた。


俺たちは食事を終えたらエルカの元へ向かう。レインは半ば強制的にリーフ姉に引っ張ってこられてきていた。





「おはようございます。エルカと申します。見ての通りエルフです。精霊魔法が得意です」

「レイン・メルヴァーチだ」

「クラウド・メルヴァーチです」

「リーフ・メルヴァーチと申します。愚弟共ともども、よろしくお願いします」


エルカの今日の服装はローブ姿。そして手には大粒の緑色の魔晶石のはめられた木製のステッキ。オーク材だと思われる。

一先ず彼らの属性などを確認することにしたエルカは俺の方も見た。


「ロキ様はちょっと魔力で糸を作ってみて。エルフは魔力のコントロールをするとき、魔力で糸を作るんです」

「わかった」


俺は全属性なので関係がない。

大人しく横で魔力を糸にし始めた。ただ一本だけだとやっぱり弱いものなのだろうなと思いつつ片糸の状態にしていく。

結構ムラができる。


「レイン様は水と氷、クラウド様は水のみ、リーフ様は土と水で、植物が得意。フレイ様は火、スカジ様は火と水、スズ様は全属性と変化、トール様は火と水で雷が得意、ですね」


こうしてみると結構戦力過多な気がする。

エルカ的に人間が甘いのは主に魔力操作なので皆に魔力操作をさせることにしたようだ。


「まず、スカジ様は攻撃に偏っておいでですね。さあ、回復魔術の適性があるのですからそちらも伸ばしませんと!」

「うむ。いつまでもロキが私の傷を癒してくれるとは限らぬからな」


こっち見ながら言うなスカジ姉上!

いつでも治してやるからな!

ああでも、彼女は将来帝国へ嫁に行ってしまう。

そしたらもう回復魔術を掛けてあげることはできないのだろう。


一先ず片糸を作り終えて、眺める。

細くなったり太くなったりしている。


「あ、糸できました?」

「片糸ですがね。ムラがあり過ぎてちょっと」

「見せてください」


エルカが俺の魔力で作った片糸を手に取り、固まった。


「……エルカ?」

「あ、はっ、すみません、あまりにも綺麗だったから、固まっちゃいまして!」


絶対理由違うと思うの俺だけ?


「嘘はよくない」

「ふにゃぁー……」


エルカは俺がめっちゃ作ってしまった片糸を弄り始めた。


「私ここまでできるようになるのに20年かかったんですよ……こんなにあっさりと、ううう……」

「……もはや凶器だな、お前のその才能は」

「レイン、これ以上俺の傷を抉ってくれるな」


俺の家庭教師になってくれていたアリエッタもその調子だったのを思い出して逆に苦しくなってきた。

教師側の自信ボッキリ折る人間だったんだよ俺はよォ!!


「エルフは、この魔力糸で刺繍をするんです。……ところで、どう使うと思ってました?」

「……いや、これで服でも作るのかと」

「ううううう……」

「な、泣かないでくれ、エルカっ」


こっちがわたわたする番である。

いや、糸作れって言われたら糸を紡げと言われるもんだと思ってしまったんだよ!!

そんな思考回路は俺だけ?

そうですか(´・ω・`)


「ええ、魔力量はこの際置いておくとして……じゃあ、それで布を作ってみてください。本当は刺繍だけなんですけれどね」

「……頑張ります」


皆が初級魔術で魔力操作を習い始めた横で、俺はまた魔力の糸を作り始めた。ムラがどんどんなくなってきてほっとしたのだが、ムラのある魔力糸はいつの間にかドゥーの髪留めを編むためにヴェンにかっぱらわれていた。


ある程度糸の細さを均一にできるようになったところで、2本同時に作りだしてみる。またムラが多くなった。

が、今度は均一になるのも早かった。


3本にしてみる。またムラが出る。

均一になるのはさらに早かった。


そして、その3本の片糸を縒合わせて糸にしていく。

これを丁寧に、早く、そして、糸紡ぎと同時進行でやってみる。

ガンガン魔力が減るんですけど?


――いいねその方法、布一枚作るだけで今のお前の魔力量ならすっからかんになりそう。


マジか。


――そして俺が既に中に居るからねー、上限突破してやんよー。


それはありがたいことだ。


ドルバロムに上限突破はお任せすることにする。

本来はちょっと保有魔力量が増えていればいいそうなのだが、そこをドルバロムが強制的に5倍くらいずつ上げてくれる。


本来は、魔術的な儀式でもってその負担をかけつつ進めるものらしいが、それ自体が既にドルバロムとの契約で負担が掛かっており条件が整っているのだそうである。


ところで、俺の魔力がいっぱいの状態であった場合、俺の魔力量は上位世界の中の中くらいだそうである。

どんだけ上があるのかと聞けば、掛け算ではなく乗だというからもう何も言わないことにした。


糸を紡いでいき、布にし始める。

眠気が襲ってきた。

無理。

眠い。


「エルカ……」

「はい?」

「眠い……」

「わあああ!? そりゃそうですよ! なんですかこれ繭でも作るんですか!?」


エルカをびっくりさせつつ俺は眠ることにした。

いやー、魔力消費って怖いねー。



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