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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部2年生 夏季休暇編
137/154

全属性

「あのね、闇竜の魔力回路に書き換えられてるかもしれない」

「は?」


ドルバロムは俺の魔力回路を見てそう言った。


魔力回路というのは、いうなれば魔力の通る場所である。

これは人それぞれというより、種族で異なっていると言った方がいい。


「つまり、今までのやり方ではもうロキは魔術が使えないのか?」

「そうなるね。今、たぶん魔法しか撃てないよ」


ドルバロムはそう言って簡単に彼らと俺たちの魔力回路の違いを教えてくれた。


「まあ、簡単に言ってしまえば、目の大きさの違うふるいにかけているようなもの。通らない方が俺たち竜人の魔力で、通っていくのが人間の魔力。魔力は液体によくたとえられるけど、水と水銀って言ってるようなものだ。俺たちの魔力は、人間の組んだコードには重過ぎる」


「なるほど。つまりそこをどうにかしなければならないと」

「そこをどうにかした人間というか、人間に近い魔力回路をしている種族の人を知っているよ。メビウスっていうんだけどね」

「その人は?」


「ヒューマンだったのに俺たちドラゴンと同じ魔法を使える唯一の存在だ」


ドルバロムの言葉に俺たちは顔を見合わせた。

ドルバロム曰く、ドルバロムにはどうも魔術が使い辛いらしく、俺の魔術を扱うことについてはそのメビウスという上位のヒューマンに任せることになったようだった。


「まあ、ほら、次スキルとか称号とか確認したときに『魔創神』関連の何かがあったらメビウスだと思って?」

「そう簡単に加護も称号も増えてたまるか」

「普通はね( ´∀` )」


ドルバロムにちょっと魔術を教えたら魔法になってしまったらしく、【ファイアトルネード】、要は炎の渦なのだが、これが火属性上級魔術の【フレアストーム】の大火力かつ高温版になって青くなっていた。


「……青いね」

「暑いね」

「暑いな」

「熱いねー」

「1000度超えてんだよ消せバカ野郎!!」


ドルバロムをひっぱたいて火を消してもらった。なんてやつだ。

ガスなんてなかったのにガスバーナーのあの青い火になったのである。


「ロキ、今お前防御魔法使ってたよ」

「へ?」

「熱い程度で済むわけないだろ、普通。うわー、ほんとに竜人じみてるぞー無意識に魔法使うなんてー」


全く自分の中で魔力を動かした感覚が無かったので全く気が付けなかった。


「……この調子だと勝手に転身するかもしれないな……」

「転身?」

「変身の上位版だよ。そうだね、変身魔術って、偽装の一種なんだけど、既にスズは魔法を使っている。で、魔法でスズが書き換えたのはスズが女か男かってことだけ、種族は変えていないんだ。だから変身魔法でそれが定着する」


ドルバロムはトールの問いに答えて、ぱちんと指を鳴らした。

姿が人間のものに変わる。つまり、耳が人間のものに、角と鱗は消えた。


「?」

「解析魔術で見てごらん。今俺の種族は竜人のままのはずだよ」


言われて俺たち4人は解析を掛けた。俺だけ解析魔法使っちまったみたいですが。


「あ、ほんとだ」

「竜人だな」

「これが変身魔術の状態、だと思う。魔法しか使わないから分からぬ(´・ω・`)」


そしてまた指をパチンと鳴らすと、竜人の姿に戻る。が、とっさにもう一度解析を掛けて驚いた。


「人間になってるぞ?」

「今のが転身。種族丸ごと変化します、ってやつだよ。上位種への進化と転身はまた別ものだ。人間の上位種は神人、上位世界ではヒューマン。転身は、とにかく自分の身体を別の形でもう1つ構成する感じかな。だから体そのものの入れ替えが起きる。空間属性に高い適性がないと転身は使えない」


その条件が揃っていたので俺には器があったらしい。


「フレイは使えないね。空間属性の容量が小さすぎる」

「そういうものか」

「うん。スカジも使えないね」

「残念だ」

「トールはギリギリだなー……魔術使わずに戦う種族なら転身してもいけそう」

「俺魔術の家に生まれたんですが?」


ドルバロムがあはは、と笑ったのと同時に周りの音が全部消えた。


「……何今の?」

「ごめん、俺本気で笑っちゃいけなかった」

「何今の?」

「一瞬皆の脳をジャックしました。音で」


高周波を発して笑ってしまうらしい。アストが金属叩いたような音で笑うのと同じだ。

デルちゃんも本気で爆笑すると暴風みたいな音がするって話である。


「まあ、普段はきっちり抑えてるんだから問題ないだろう」

「それよりも、ロキがちゃんと魔法の発動を自分の意思で抑えられるようにさせるべきだ。今の調子ではおそらく、殺意を覚えた瞬間に死属性魔法でも発動しかねん」

「うん、そこはここにいる間にいろいろさせてもらうから大丈夫だよ。メビウスに会う前に魔力操作くらいはできるようになっておこう」

「ああ、ご指導鞭撻のほど、よろしくお願いします」





俺自身はあまり動かずに魔力だけをひたすら使い続けて、遊んでいたら身体が浮いた。

面白がってヴェンとドゥーが俺の身体を押して遊ぶのだが、まあついーっと宙を滑っていく。どうやって止まるのかもわからずそのまま壁にぶつかったが、あまり痛くはなかった。

慣性の法則は働いていないのだろうか。


「あー、転身し損ねた感じだね」

「そうなのか」

「今お前精霊に転身してるからね?」

「どうし損ねてるのか教えてほしいなその状況?」


ドルバロムがふわりと俺の横に浮く形で姿を現した。

今の俺はどうやらアウルムと同じく半精霊の形になっているらしく、目が銀色になっている、とのことだった。


「たぶん魔力の消費をもう少し上げれば転身は解けると思う」

「どうすりゃいいんだよ」

「ずっと飛んどくしかないよ?」

「他に何かねーの?」

「いや、飛んでるのが一番魔力消費激しいから」

「あー」


なるほど。

重力に逆らっているうえに自由に動ける状態であるらしい。


「科学的なことを考え始めると推進力云々の話になってきて上手く飛べなくなるよ」

「マジかよ」

「こっちに進みたいな、って思ったら勝手に進むから。ゲームだと思って。今は空が飛べるキャラクターに入ってるんだ、って感じ」

「ふむ」


進み方も止まり方も分かってなかったんだが、今の説明で大分分かった。こっちに行こう、と思って少し体をそちらへ傾けたら動いた。


「おおー」

「上限伸ばすにはこれが一番簡単かもね。いい拾い物」

「拾うのか」

「スキルは生えるもの」

「絶対なんか違う」


スキルが生えるのはステータス表示がされるラノベだけで十分です。


1つ分かったのだが、どうやら物に触れようとするには別に訓練がいるらしくて、俺は磁石の同極同士が反発し合うように、いろんなものに反発された。


魔力が切れるまでその状態のままだったので、皆が食事の時間ずらして待っててくれたんだよ!!

皆大好き!!

冷めたもん食わしてごめんなさい!!


明日からちゃんと魔力切れになってから夕食時間を迎えようと思った。


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