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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部2年生 前期編
125/154

合宿3

ああ、とうとうブクマ180件達成……ありがとうございます(/・ω・)/

採集と狩りを両立しながら森の中層付近までやってきた俺たちはそこで一旦足を止めた。


「……おい、誰だ魔物に愛されていやがるのは」

「アウルムじゃね?」

「いや、ロキだろ」

「グリフォンに選ばれるようなのが4人いるパーティにその問いは無意味よ」


クルミの的確なツッコミによって俺たちは目の前の現実に目を向けてみた。


昨日の野営地、罠も張っていたから罠にかかっていたアルミラージであるとか、ホーンラビットやらを解体して出発したのが昼頃。


既に空はオレンジに染まっている。

俺たちがこの時間帯に出くわしてしまったのは、何かの巣である。

高い魔力を放っていることから、最低でも上級の魔物の巣。ランクで言ったらSランクからFランクまでの中でAランク辺りが妥当だと思う。


「……グリフォンの巣じゃねえな」

「ドラゴン系でもない」


何を血迷ったかコウが小さな巣を作ったことがある。アレを見ていたから鋼竜の巣は知っているのだが、うん、なんというのかな、コウ、お前が自分が入れないような巣を作っていたのは無駄じゃなかったぞ。帰ったら思いっきり褒めてやらにゃ、とセトが言った。


この巣。

見た感じから行くと、鳥の巣である。


俺たちはひとまずその巣を調べてみることにした。

だって、学生が入れるレベルのところに巣があるなんてありえないはずなのである。


「……カル、書いてるか?」

「ああ」


カルさん仕事早い。

流石天才王子。


俺たちはひとまず調べてみることにした。俺とセトがまずそっと近づいて、巣の中を覗いてみる。

で、後悔するわけでして。


「……ッ」

「……ハァ……」


うん。

量産された皮の剝がれた骨人間が量産されておりまして。

セトが吐きそう、と言って戻っていった。仕方ないと思う。代わりにゼロとアウルムがやってきた。


「うわ」

「ひでぇ……」

「……どう思う。やっぱりこないだのあれと関係あるか」

「あるだろうな。この巣が何の巣なのかとっとと調べねーと」

「カルを危険に晒すのは御免だ。ここを離れるぞ」

「ああ、こればっかりは俺でもお手上げだわ。リオ! これ調べといてくれ! わかり次第全部ロキに報告!」


――了解。


ということで、俺たちは巣を離れてカルの元へ戻った。


「何か分かったのか?」

「セトがそうなってる原因が不明過ぎで危険と判じた。すぐにここを離れるぞ。危険に王族を巻き込む趣味はない」

「こっちだって願い下げだ、俺がいなくなったらそれだけでエリオ派と兄上派の派閥が争う」


一枚岩じゃないんかい。

うん、仕方ないかもしれないけどさ。


「これ」

「エメラルド?」


俺は皆に1つずつエメラルドを渡した。無論、風属性との相性が良いために出しただけだが。これだけで何を俺がしようとしているのかを理解したセスが小さくうなずいてくれた。


「全員魔力をちょいと抑えてくれ。セトもな」

「俺のは量あんまないのに」

「お前が暴風なんつー厄介な神格の加護持ってるからだ」


セトの神格については置いておくとして。

俺は詠唱を行う。


「それは闇を疾く駆るもの。【ヘルメスの俊足】」


風のマナを多量に含んだ魔力がエメラルドに収束し、コードが輝く。1度きりの使い捨てだが、必要ならば使うのが鉄則である。


「こんな高価な石を、いいの?」

「どうせ家でこれらは飯代だけで手に入っちまうんでな。遠慮なく使ってくれ」


俺はそう言ってセスに目配せする。セスは小さくうなずいて行きましょう、と皆に声を掛けて出発する。

俺はその最後尾を行き、巣の主が帰ってくる前にその場を離脱したのだった。





ちなみに、だが。

あの巣から何も持って帰ってこなかったわけではない。

近くにあったものの中で、巣の材料に使われていた細い白いものやら、小さな石やらを持ってきている。無論直接持っているのは怖かったので魔封じの袋に入れているが。


あれだけあったので、魔物側も追いかけてきたりはしないと思う。

とりあえずコードとして組まれていないかとか確かめつつ取って来たんだぞ?


あの巣、やたら魔力が溢れていたことから察するに、何かしらの魔法を固有スキルのような形で持っているタイプである可能性は高い。

ドラゴン系の魔法っぽい固有スキルというと、ブレスになる。

グリフォンだと竜巻を起こす力がそれに該当する。

かなり頻繁に使ってくるので一撃必殺じゃないんですかと言いたいが、何度も使うということはそれだけその術の練度が高いってことである。一撃必殺の練度が高いって相当恐ろしいことなので俺は何も言わない。


「……なんで俺らだけ魔物連れて来ちゃ駄目なんだよう……」

「明らかなる戦力過多だからな。しかも、俺の場合フェンがいるから余計タチ悪い」


走り回らねばならないことをセトが愚痴るのでそう返してやる。

フェンリルなど出て来た日には魔物が皆森の奥へ引っ込んでしまう。それほど、フェンリルは恐ろしい存在なのだ。


俺たちは小川の傍を今日の野営地と決め、夕飯と眠る支度を始めた。


「そう言えば、ナタリアはずっと誰と組んできたの?」


ソルの問いにナタリアは小首を傾げつつ答えた。


「合宿ならほとんどこのメンバーだよ? ロキ様が拾ってくださるの」

「どちみちお前が拾うんだな」

「そりゃそうでしょうよ! ナタリアほっとけねーだろ」

「まあ、確かにな」


そんなことを俺たち男子が言えばソルに思いっきり肩を掴まれた。


「リョウ、今 す ぐ に そ の 攻 略 対 象 思 考 を 捨 て な さ い」

「お、おう……?」


久々に見たぞアキラの威圧。

てか、え?

俺も攻略対象扱いなん?


「馬鹿ね、イミラブは悪役側にも好感度パラメータあったんだから性別変わったらただの攻略対象でしょうが」

「俺何も言ってねーぞ」

「今の表情は読めた」

「ちょ、アキラにそこまで言わすとかどんだけ仕事しなくなったんだ俺の表情筋は?」

「アンタそのせいで無駄に微笑みの破壊力が上がってんのよ。女子の前で笑うの禁止! 卒業まで耐えなさい!」

「無理難題にもほどがある!」


ソルと俺のそんな会話を聞いていた皆が笑っていたのは御愛嬌である。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

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