ボーンドラゴンその後
ボーンドラゴン視点
ボーンドラゴン。
それ、ぼくの種族の名前。
頭以外なかったぼくを、ごしゅじんさまは助けてくれた。
ごしゅじんさまの名前は、スズとか、ロキとかいうらしい。
ごしゅじんさまの魔力はとても温かい。表情はほとんど動かないのに、とっても優しい。
たまにふんわり笑ってくれるのが、とてもうれしい。優しい笑顔。
頭しかないので、何もできない。
そんなぼくも、何度か進化した。
まず最初は、進化したら、身体が新しくなった。
まず、手足はないままだったけれど、身体がちょっと長くなった。
そんなぼくを見て、ごしゅじんさまは笑って「おめでとう」って言ってくれた。
次に進化したのは、長いお休みの時。
ソルとルナっていう、そっくりな人間以外の知り合いには会えない長い時間がつまらなくて、ぼくはスーやミィと一緒にゴロゴロしていた。
ぼくは学校の授業には連れて行ってもらえない。
理由は、ぼくがボーンドラゴンだからだそうだ。
ボーンドラゴンは、不吉なものの象徴なんだって。
そりゃあ、死体だからね。
2回目の進化でさらに身体が長くなった。
3回目の進化で手足が生えた。
リンドヴルムって呼ばれる種族だったらしいぼくの生前の姿。僕は軋む身体でごしゅじんさまに擦り寄った。撫でてもらえるのが分かっていたから。
ごしゅじんさまはぼくの頭を撫でてくれて、それだけでぼくは幸せになれた。
そして、4回目の進化。
今ここ。
骨の身体が崩れ去ってしまった。
ぼくは何か間違ったのだろうかと思っていたけれど、そういうことではないとアウルムっていう精霊が言った。
お前は立派にアストラルボディを手に入れたよ、と言われて、その姿をごしゅじんさまが望んでいると言われたら、ぼくは嬉しくなった。
リオって人とも喋った。
リオはやみりゅうって名乗った。
やみりゅうって何だろう。
空間の神のことだよ、この世界にはそれを表す言葉が無いから、やみりゅうと呼ばれてるんだ。
そう言ったリオは、ぼくを見て笑っていた。
ごしゅじんさまの手紙に出てくるようになったフェンという名前。
フェンリルらしい。
フェンリルって言ったら、ぼくにとっては初めて見る魔物。
毎日ふわふわ過ごしていたぼくに、リーヴァが話しかけてきたりする。
リーヴァはぼくらの一番上の存在の愛し子。
ぼくらも彼のことを大事に思う。
そんな彼からの言葉。
「今日はロキがバハムートに乗っておった」
「余も学校へ行く準備を始めたのだ」
いいなあ、いいなあ、そんな風に思うことばっかりだ。
ぼくがアストラルボディになったことはまだごしゅじんさまには教えないんだよと、ごしゅじんさまのおかあさまが言った。
「だってそっちの方が、あの子も驚くでしょう?」
驚いた顔が見たい、って言うのだ。
ぼくは、ごしゅじんさまが思いっきり笑って、褒めてくれるのを思い浮かべた。
褒めてもらったら、とっても嬉しい。
『ぼく、頑張る!』
ごしゅじんさまの役に立つためにも、もっと強くなるんだ!
こやつはアストラルボディを持つことの何たるかを何も分かってません。
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