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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部2年生 前期編
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適性と後輩

まだ増える新キャラ



鍛錬場についた俺たちは、練習用に貸し出されている木刀やら木剣やらを借りて鍛錬場に入った。

教官が3人ほどで見ているようだ。

リンダという女性教官と、アランとファイいう男性教官である。

スパルタクス先生はいないようだ。


「お、来たか、バルフォット、フォンブラウ。メタルカとクラッフォンも」

「こんにちは、アラン教官」


リンダ教官とアラン教官はずっとこの学園にいるが、ファイ教官は今年からやって来た新任の教官である。


俺たちはなかなかにこの前者2名に迷惑を掛けている。いや、この人たちも脳筋だから白熱していくのは仕方がないことなのだが、それにしても、な?

リンダ教官に生傷が絶えないってどうよ。


「リンダ教官、その先輩方は」

「ああ、ちょっと話してた子たちだよ。セトは知ってるね。銀髪のがフォンブラウの三男坊、金目がメタルカ、オッドアイがクラッフォンさ」

「ご紹介にあずかりました、ロキ・フォンブラウです」

「アウルム・メタルカだ、よろしくな」

「ゼロ・クラッフォンだ」


セトはしょっちゅうここに顔を出しているらしく、既に知り合いの後輩が多いようだ。

ひとまず俺は木剣を手にした生徒たちと自己紹介をしあって教官に向き直った。


「何かあれば言ってください、お手伝いさせていただきます」

「ん、アンタが吹っ切れたみたいで何よりだよ。じゃあ早速、セトとの手合わせを見せておくれ。今年は刀を選んだ子がいてねえ」

「はい」


この国の主流の武器は剣である。無論、両手剣の類が多いが、ようは両刃の武器がメインである、ということだ。

そんな中俺はイミットの武器である刀を引っ張り出した。


俺は令嬢姿で着たことのある袴も、刀をしっかりを結んで留めてみせれば機能美だのなんだのと服飾関係の人間がうるさくなったのを覚えている。


俺は木刀を手に持っている少年を見た。

名は、ヨシュア・ヴィヴィッド。ヴィヴィッド子爵家の令息だ。


彼は俺と目が合うとすっと目を細めた。

一瞬、背筋を寒気が走った。


「どうした?」

「……いえ、先輩の適性が、視えたので」

「ああ……それは、大変なスキルをお持ちだ」


スキル、と呼ばれるものが、この世界に存在しないわけではない。

でももはや、絶滅危惧種である。


本来は魔術の応用が効かない簡易版がスキルと呼ばれているのだが、これ、簡単に言うと、人間が自由自在に使えるわけではない代わりに、魔法に近い効果を持っているというもの。

彼は俺から習ってもいいかどうかを見るためにスキルを使ったのだろう。

スキルは使うと気付く人間がいるらしい。

さっきの寒気は彼のスキルを受けたためだろう。


「先に言ってくれ、背筋が凍りそうだった」

「! 申し訳ありません」

「今時は気付ける人間も少なくなってるらしいからな」


一通り彼を諫め、ついでなので俺の適性を教えてもらった。


「ロキ先輩の適性は、とにかく刀と斧が高いです。あと魔術適性がとんでもなく高いですね。属性は、よくわかりません。火と水がダントツで高いですが、他の属性も全部適正がふれ切ってるというか。あと、一番高いものは何属性かわかりません」

「ああ、俺、祖だからそのせいだろう。ありがとう」

「い、いえ……」


顔を赤らめた後輩が可愛いです。


「それと……何故こんなに騎乗スキルが高いのですか」

「……だから俺の魔物って皆デカブツばっかりなのかな」

「可能性あるな」


フェンはあまり俺の後を追いかけては来ないので助かっているが、後で会いに行こう。

セトの同意に少しは気遣いってもんはできねーのかとゼロが蹴りを入れていた。


「適性が視れるなら今のうちに鍛えておいて、将来安泰じゃねーか」

「は、はい……」

「よーしやるか、セト!」

「おう」


俺とセトは鍛錬場の中央に歩いていく。

ちなみに、本来は体術を1年時にやってしまうのだが、今年はちょっとやり方を変えたのだろう、羨ましい限りである。


「お前槍も適性あるだろ?」

「スカジ姉上がいる環境じゃ霞んじまうよ」

「ああ、確かに」


スカジ姉上、流石スカジ、というか、スカサハが正しいだろうが、この影の国の女王の名を拝命しているということはそれだけの槍の名手としての未来が約束されているということでもある。


――ハイスペックの塊であるロキ・フォンブラウの能力を如何なく発揮できるこの少年は、実に。

実に、恵まれている。

その分払う代償は大きかったりもするのだろうが。


「始めっ!」


アラン教官の声で俺とセトは同時に駆け出した。

セトは木剣、俺は木刀。

俺は貴族サマの戦い方を学んだ。向こうも同じ。

だが、そんな綺麗な戦い方を皆がするとは思わない方がいい。


俺たちは、既にギルドに所属している身である。

実戦なら、魔物相手くらいならいくらでもやっているのだ。


「おらっ!」

「ふっ!」


勢いよく振り下ろされる木剣を引っ掛け、回して払い除け、そのまま懐に入り込んで柄でかち上げる。とっさにセトは【ウィンドウォール】で身体を守る。


「そこは【障壁(ガード)】だろ!」

「馬鹿言うなお前みたいにいろんな属性一気には使えんわ!」

「はいうるせー【風切り(ブレイク)】!」

「げっ」


魔術を使っちゃいけないなんて規定はないのである。つか、圧倒的に使う頻度の方が多いし。

もちろん暗黙の了解として、防御魔術くらいしか使わないのだが。


【ウィンドウォール】を破られたセトは一旦後ろに飛び退き、すぐにまた突っ込んでくる。アイツの武器はバスタードソードなのだが、まあ、軽々と両手剣を片手で振り回す男なので、武器を落としてやっても体術が面倒である。すべて真剣で一刀両断が最も好ましい厄介者だ。


が、木刀という武器に関しては、切る機能はなく、相手を打ち据えればそれだけで相当な破壊力を持つ。


再び突っ込んで来たセトをいなし、手を打ち据え、絡めて木剣を弾き飛ばし、セトの喉元に先を向けた。


「勝負あり! 勝者、ロキ・フォンブラウ!」


アラン教官の言葉と共に俺は木刀を降ろし、次の瞬間再び構えて何かの衝撃を受け止め、後ろに飛んだ。


「ほう、なかなかの反応速度だ」


どこから降って湧いたのか。

大柄な緑の髪の男が木剣を振り下ろして俺のいた場所にクレーターを作っていらっしゃった。

その人物は、


「……親父?」


騎士団団長、その人だった。


リメイク版もぜひ読んでみてください。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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