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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
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とある悪役令嬢への転生

はい。やりたかったんです。

悪役令嬢モノ読んでて楽しかったから書いちゃおう、くらいの気持ちで書き始めました。

これは1と2とあるので気長に待っててください。

ああ……ぼんやりと俺は空を見上げている。

紫がかった銀髪を俺は無造作に結んだだけ、服は簡素な青いドレスの姿だ。

なんで俺、という一人称かというと、そりゃもちろん俺が男だからなわけですけれども。


ロキ・フォンブラウ。

俺が前世でやっていたシュミレーションRPG『Imitation/Dragons』――通称『イミドラ』というらしい――の中にちょろっと出てくる、とある王国の公爵令嬢であり、イミドラのスピンオフ版として発売された乙女ゲーム『Imitation/Lovers』、通称『イミラブ』の悪役令嬢である。


いやー、女になるとか無いですわー。

俺には双子の姉がいて、アキラといったのだけれども、彼女がイミラブにはまっていたので俺も何故か知っているという状態になってしまったのだ。


アキラは全部のルートを制覇していたし、エンディングもすべて回収したと言っていたから、相当なものだと思う。俺もずっとそれにつき合わされて、結局俺、イミラブの続編の方やっちゃってハマっちまったんだったっけな。


でも俺はロキ・フォンブラウ。

ロキはイミラブの方だ。

イミラブ2の方ではない。


俺、ほとんどこのストーリー知らねえわー。

そんなことを思いながら過ごした8年間だよ畜生。


スピンオフといっても、イミラブとイミラブ2は基本的にイミドラのストーリーの中の10年くらいの間だけを描いたもので、イミドラではガントルヴァ帝国出身の冒険者が仲間を集めて魔物を大量に倒していって最終的に魔王と呼ばれる死徒を封印して終わり、という結構ありきたりな設定だ。


イミドラはシュミレーションRPGなだけあって、馬鹿みたいにエンドが多くて残酷だ。まるで魔界〇記ディ〇ガイア。俺も全部エンドは回収してしまったのだが、トゥルーエンドが設定されているのが特徴的だ。


ハッピーエンドは主人公の周り視点の話で、グッドエンドはまあそこそこ皆幸せかな、程度のエンディングだが、俺はこれら2つのエンドはガキ向けだと思う。


主人公は最後は帝国の代表として他の国の戦士たちと一緒に魔王と戦う。魔王はとある王国の国王だった。帝国をはじめとする帝国連合軍VS魔王の国。

魔王の国は滅ぼされて御終い。

主人公たちは英雄になって幸せに暮らしました、だ。


イミドラの変なところは、いわゆるノーマルエンドであるトゥルーエンドが、極端に見るのが難しいことだ。

俺にとっては特になんて思うことはなかったんだが、最初に普通にトゥルーエンドになった人間だからな。


トゥルーエンドは、魔王側に沢山の死徒がついて大戦争になってしまいそうになる。死徒と人間の価値観の違いで激突しただけだったことが明かされる。ここではドラゴンをまとめている“竜帝”のお気に入りがとある王国の魔法術学校に隠れて入学して、そこで人間たちを見定めて、次代には手を出さないことと、とある一角を形成する死徒たちが中立となることを宣言して、敵の戦力からドラゴンと蟲が消え失せる。これによって形成が不利になった魔王は封印されることを選び、国民に手を出した瞬間全員呪い殺してやるという呪を掛けて大人しく封じられていった。


トゥルーエンドはトゥルー故か、かなり涙ぐまされた記憶がある。こいつらの話小説にしろ、と思っていてマジで手を出した人がいて、その人のをメーカーが公式認定して、コミカライズまでされてた。

ともかく、世界観の作り込みがリアルすぎるのがよくわかるエンドだった。


ここからのエンディングにはいくつも種類があって、でも大体傾向からダークエンドとバッドエンドに分かれる。


ダークエンドは主人公パーティのメンツの最強キャラが抜けて、その後よくわからないうちに主人公たちが皆殺しにされる。

伏線が沢山張ってあって、プレイヤー側からは「あ、これアイツだ」とわかる描写がいくつも出てくるのだが、主人公たちはそれを見落としていたり、よくわからない信頼を寄せていたりして気付かぬまま進んで自滅するのだ。


このエンディングは有名なのは“ムゲンエンド”と“リーヴァエンド”だな。どっちもドラゴン関係で、尚且つダークエンドはただひたすら暗いからろくでもない要素も入っている。R15指定ゲームだったけれど、R18G要素のスチルが入っているバージョンはそのままR18指定だったしな。俺が持ってたのはR18の方だったので全部知ってます。

BL要素が入ってたことも腐向け要素がびっくりするぐらいさらっと乱立してたこともいい思い出だわむしろあそこまでいったらな。

ムゲンが裏切者で、自分が離れている間に息子を殺されて放心、暴走して人類滅亡しかけて、それを止めるためにリーヴァってやつとハドってやつが出てくるか、とある王国の魔術学校がリーヴァに次世代を虐殺されて連合軍の足並みが揃わなくなって崩壊して滅亡か。その違いだけだ。


バッドエンドは救いがない!

ムゲンの息子はなんか殺しちゃってるしムゲンは暴れるしリーヴァとハドも暴れる上に帝国の第1皇子派がとある王国を攻めるって言いだして人類の足並みが揃わないぐっちゃぐちゃのエンディングだ。


アレはヤバかった。

うん、なんかヤなもの思い出した……。


ともかく、こんなエンディングの乱立したゲームだったものの、シュミレーションRPGとしてのできはとてもよかったと思う。


むしろ、イミラブとイミラブ2の裏舞台までじっくり世界背景まですべて!頭に叩き込んでおりますが何か!!


そんなこんなで悪役令嬢ロキ、もとい俺は、トゥルーエンド以外にならないように、10年間の操作をしたいなと思っているのだ。


……だってさ、ダークエンドでリーヴァエンドとか、マジ死ぬよ?

女は男の蟲使いに、男は女の蟲使いの所に連れていかれてグロテスクエンディングが目に見えてますわー。R18Gだぞ。なめるな。

皆お嫁さんにされるんですよ。そんな無茶な。

俺にそんな趣味はねえ……見るのは好きでしたごめんなさい。


しかも、リーヴァに関してはロキが大々的に関わる年の後――つまり、イミラブ2の時代に来るやつなのでロキは既に上の学年に上がって、大学部に行っているのだ。


リーヴァは後の時代に任せる他ないとして、通称“死徒エンド”と呼ばれる、イミラブにおいて死徒が関係してくるエンディングを持っているキャラが3人いる。

イミラブ2のリーヴァ・イェスタ・ガルガーテと、ハド・ドラクル。こいつらは俺にはどうしようもない。


イミラブに出てくるのはゼロ・クラッフォン。こいつは実はムゲンの息子だ。

そう。

はっきり言って一番エグイエンディングに進みやすい御方なのだ。


ゼロはロキが8歳のころ、ロキの護衛にとムゲンに置いて行かれた過去を持っていた。ロキと遊んでいるうちについ興奮して半竜の姿を見せてしまう。

それに怯えたロキがバケモノと呼ぶようになり、ゼロを虐め抜く。

実際、ドラゴンと人間の間に生まれた者はロクなもんじゃないとロキは習っていたためにこうなってしまった。この人間側の考え方が竜帝の下についている3人の死徒関係者の逆鱗に触れてバッドエンドルートまっしぐらなわけですがね。


俺はもちろんゼロが来ても拒まないし、むしろ半竜カッコいいだろ。ってな思考回路してるので問題ない。


それと、ロキの家族には1人、特殊な人がいる。

母親であるスクルド・ノルン・フォンブラウだ。

彼女は予知能力の持ち主で、俺が生まれてすぐに、俺の未来を案じて、俺を連れて行こうとした宗教の人間たちを追い払ってくれた。


この世界では、銀髪の者は神子と呼ばれる。

神子は世界の理そのものに干渉する力を持っていることからその髪や肌の色素が抜けてしまうのだが、それを以って神子と呼ぶ。

ノベルまで読んじまった俺はこの神子の使う魔法の正確な言い方を知っているんだが、そこまで語ると設定が細かくなりすぎるってことだったのか、ゲームではそこまでなかった。


ロキは原作の方ではかなり教会に揺さぶられていたらしく、宗教系が大嫌いで、そういうイベントには行きたくないと、そこだけはわがままを言うキャラだったらしい。

俺は教会なんて全部両親と側室さんが追い払ってくれてのびのび過ごしてますが。


側室の名がメティス。本名は実際はデメテルなんだが、事情があって偽名を使っている。

息子は1番上の兄プルトス、現在12歳。そして、一番下の妹コレー、現在5歳。

スクルドの子は2番目の兄フレイ、現在12歳。長女のスカジ、現在10歳。次女ロキ、現在8歳。弟トール、現在7歳。


皆仲がいい。ここにこれからゼロが入って来るが、それはそれでいいのだ。

ロキが虐めさえしなければいい。

それと、このロキはもうすぐプチお茶会に出席しなくてはならない。

その辺の調整をいろいろと考えるので俺は忙しかった。


いくら俺が演劇好きだからって、毎日演じてたら疲れる!

俺は何とかアピールしてみることにしていた。

たとえば、ふとした時の一人称をフレイをまねて“俺”にしてみたり、父上、母上、兄上、姉上、というように“上”をつけて男の子っぽくしてみたり。


そんなことしていたらやっぱりスクルドが気付いてくれて、“俺”が男で、しかも精神が既に男のものであることを当ててくれた。

だから俺は男としての振る舞いと女としても振る舞いをきっちり仕込まれている。


悪役令嬢として登場するだけあってロキの外見は悪くない。

だから俺は、あえて男装して過ごすのもいいんじゃないかって思い始めたのだ。

貴族として過ごすよりずっと気楽だ。


それに、髪の色のこともある。銀髪の令嬢が生まれた、というのは既に周りに広がってしまっている。だからあえて、名を変えて、男装して、髪の色も変えてやろうと思っていたわけだ。


俺が男の精神であり、尚且つ精神的には年上であると知ってプルトスとフレイは特に驚いていたが、スカジは何かわかっていたような顔だった。

人前では彼らに敬意をもって接したり、年上として扱ったりするけれど、プライベートでは皆俺の妹と弟の気分である。年下の弟妹欲しかったんだよう。


でも、たまには侍女をやってみたり、侍従をやってみたりと楽しく過ごしていたのだけれども、お茶会ではそうもいかない。

茶会には俺はロキ・フォンブラウとして出席する義務が生じてくる。そこはもうどうしようもないけどさ……。


「ロキ、出ておいで! そろそろムゲンが着くころだ」

「分かりました、父上」


俺は俺の部屋のテラスの下から声を掛けてくる父アーノルド・フォンブラウに笑顔を向け、外へ慌ただしく降りたのだった。


ロキは強い子。


乙女ゲームなんてしたことない(´・ω・`)


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