ヤキタマネギ
どうしたの、そんなに。
毎日毎日、毎日毎日。
一片一片、剥いていく。
どんどんクリアに、なっていく。
一片一片、剥いていく。
しっとりとした、手の平。
指先。
つんとする匂い。
あふれ出てくる水分。
その形を、一個一個、確認するように。
指の腹が、押しつぶす。
透明な背中。
見通せない向こう側。
とてもとても、苦い思い。
とてもとても、辛い味。
レタスに乗せたスライスも、ドレッシングなんか目じゃないくらい。
とっても、とっても、辛かった。
それは、辛いの?それとも、辛いの?
形になった言葉は、音を伴わず。
だから、涙を流したままの、ぼけた目で判別する。
一口。
どっちでもいい。
一言。
油のひかれたフライパン。
じゅうじゅうと踊るたまねぎ。
白く濁った透明な色は。
飴色に曇っていって。
叩きつけるヘラ。
甘い匂い。
そして。
焦げ付いた想い。
ベタベタする、染み。
甘くなった。
ありがとうございました。