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「好きです」
「好きです」
その一言が、言いたくて、私はここまで待っていたのだろう。
その一言が、聞きたくて、私はここまで待っていたのだろう。
ああ、やっと言えたという安ど感からか、私はホロホロと涙が流れだす。
彼は持っていたハンカチを私の頬にあて、それをぬぐってくれた。
「泣いてるぞ」
優しい声が、私に降り注ぐ。
それは、あたかも私だけに降り注いでくる光のようでもある。
「ありがとう」
それだけしか言えない私が悔しい。
でも、それでも、私は彼と付き合うことができた。
今は、それだけで十分すぎるぐらいだ。
きっと、同時にこれ以上の幸せを体験してしまうと、体が粉々になるんじゃないかと思うほどに。