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分かっていることはただ一つ。それは彼女のことが好きだということだ。それだけは、だれにも譲ることはできない。だから俺は、卒業式の日までに彼女に恋人がいなければ告白しようと考えた。そして、その日を迎えた。
卒業式の日、私は彼を式が終わってからも帰らないようにとお願いした。
どうしてとも、何も言わずに、彼はただ、分かったとだけつぶやいた。
この時には分からなかったけど、彼も同じ気持ちだったそうだ。
だから、私たちは引き合わされて、そしてこのようにして出会うことができたのだろう。
卒業式が終わり、高校生活最後の部活動をするために部室へと向かう前、私は彼と真向かっていた。
まだ、教室は騒がしい。
黒板には卒業式おめでというという誰が書いたか分からない文字が、書き寄せのように書かれている。
私は、周りの目を気にせずに、彼の眼を見た。
彼も、何かを言おうとしていた。
そして、同時に私たちは言葉を互いへと伝える。