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空の欠片  作者:
17/21

◇修学旅行2◇

「るぅちゃん。るうちゃん、起きて。もうすぐ長崎空港に着くよ」

「んあ?」

「もうすぐ着陸するって。ベルト付けなきゃ」


 もうそんなに時間が経ったのか。言われてすぐに私はベルトを探し、付ける。その後、飛行機は無事に長崎空港へ着陸した。


「全員整列してー。点呼取るよー」


 飛行機を降りると、先生が整列するように叫んでいる。………あの先生誰だっけ。ま、いっか。

 そう思いながら私は大人しく整列をする。また長話かな。ちゃんと起きておけるようにしなきゃ。


「みなさーん。これからの予定について説明します。これから、クラスごとに分かれて中華街で昼食をとります。担任の先生の指示に従って行動をするようにしてください。食べるものはクラスによって違いますからねー」


 前にいる先生がそう言った途端、みんなが目を輝かせる。怖いよ。

 てか、ウチのクラスは何を食べるんだろう。長崎といえば何だっけな。


「せんせー。ウチのクラスは何を食べに行くんですかー」


 バスへ移動している途中で、よっちゃんが先生に問う。すると、先生はニッコリ笑って言った。


「加々見。長崎といえば何です?」

「うーん。定番で言えばちゃんぽん皿うどんかなぁ………」


 よっちゃんが言うと同時に、先生がよっちゃんの頭を撫でる。当たりなのだろうか。


「よく出来ました。正解です。2組は皿うどんを食べに行きますよ」

「やったぁ!」


 先生が言うと同時によっちゃんが飛び上がる。本当によっちゃんは元気だなぁ。

 見てるこっちが微笑ましく感じてしまう。

 そして移動して店に到着した。


「テーブルに班の番号が書いてありますから自分の班の番号が書かれたテーブルに付いて下さい」


 店に着くと、先生がみんなに聞こえるよう大声で説明をする。

 はて。私は何班なのだろうか。


「よっちゃん。私って何班?」

「るうちゃんはね、私と同じで1班だよっ♪さ、行こ行こ」


 よっちゃんはそう言って私の手を引っ張る。……ホント元気だなぁ。

 ちなみに、1班は他に小学校が同じだった子達が揃っていた。私が分かるようにかな。もしそれなら、悪いことをしたな。


「皿うどん皿うどん」

「楽しみだよね。本場の皿うどん」

「早く来てくれねぇかな」


 クラスのみんなが皿うどんを待つ。すごい楽しみにしているようだ。まぁ、私も本場の皿うどんは食べたことが無いから楽しみなんだけど。

 そして少しして、大きな皿に盛られた皿うどんが各班1皿ずつ置かれる。……いいニオイ。


「さて、全テーブル料理は揃いましたね。では頂きましょう」

『いただきますっ!』


 みんな同時に挨拶をして箸を動かす。中でも、男子とよっちゃんの箸の動きは早い。すごいペースで食べ進めている。

 そんなよっちゃんたちに負けないように、私も小皿に皿うどんを取って食べた。やっぱり本場は美味しい。

 食べながらお茶を飲む。そうしていると、あっという間にお茶が無くなる。私は店員さんにお茶のおかわりを頼んだ。

 店員さんはすぐに来てお茶を注いでくれる。そのときに皿うどんの食べ方のアドバイスをくれた。


「皿うどんを好きなだけとってソースをかけて食べると美味しいよ。かけすぎないよう注意して、やってごらん」


 だからテーブルにソースが置いてあったのか。私は早速皿うどんを小皿に取り、ソースをかける。かけすぎないよう慎重に。

 そうして食べると、本当に美味しかった。ソースをかけなくても十分美味しいが、かけると味に深みが出て最高だった。

 そこまで食べて、私はもう満腹になる。だが、よっちゃんや男子はまだまだ食べ足らない模様。


「あれ?片桐さんもう食べないの?」

「うん。もうお腹いっぱいだから」

「じゃ、残り、俺たち貰うね」


 男子はそう言って皿を自分たちのほうへ近付けた。そうすることで、よっちゃんにも少し近付く。

 そんな男子の行動に、よっちゃんはもう万々歳だ。


「すいませーん。薬を飲みたいのでお水もらえますか」


 私が店員さんに言うと、店員さんはすぐに水を持ってきてくれた。私は忘れないうちにとっとと薬を飲み込む。

 よし。これで由里先生に文句を言われることはないだろう。

 そして昼食を終えて、バスで原爆資料館へ向かった。

 

 長崎。それは、日本で2つしかない原爆の落とされた土地。

 長崎に原爆―原子爆弾―が投下されたのが8月9日午前11時2分。その時、この地は放射能に汚染された。

 投下地は、松山町。市街地ではなかったようだが、それでも大量の死傷者を出した。

 落とされた爆弾の名は「ファットマン」。広島に落とされた「リトルボーイ」の1.5倍もの威力があったらしい。

 それでも、周囲が山に囲まれた地形だったため、熱戦や爆風が山によって遮断されたおかげで、威力は広島よりも高かったにもかかわらず、被害は広島よりも軽かったらしい。

 私たちはそこで、被爆の惨状、投下されるに至った経過などを見て回った。写真を見ても、やはり原爆は残酷だ。見ているだけで辛い。

 当時の人たちは、被爆し、この様子をナマで見てきているのだ。お年寄りが強いわけだ。

 今よりももっと辛い時期を知っていればああも強くなろうさ。


「せんせー。これ、ちょっと無理」


 近くを歩いていた女生徒が手を上げ、先生に限界を訴える。………そんなにヤバイのか?


「おやおや。もう少しですから我慢してくださいね。他のみなさんは大丈夫ですか?」

『はーい』


 結構平気な人が多いようだ。限界を訴えた子は泣きそうになっている。


「下を向いて進みなさい。そうすれば見なくてもいいでしょう?」

「下を見てても怖いです!」

「なら目を瞑りなさい」

「怖いものどころか何も見えないから歩けません!」

「私の服の袖を掴んでなさい。危ないと思ったら知らせてあげますから」


 先生が言うと、さっきの生徒は一度頷き、目を瞑った。そして先生の服の袖を掴む。


「大丈夫ですか?行きますよ」


 先生が問うと、その子は静かに頷いた。そして、ぐんぐんと進んでいく。

 しばらくして漸く建物から出ると、先生はその子の肩を軽くポンポンと叩く。外に出たのを教えているのだろうか。


「さて、具合が悪くなった人はいませんか?いるなら正直に言ってくださいね」


 その後、女子が数人吐き気を催したとのことで、養護教諭の元へ向かって行った。…………軟弱な。


「他は大丈夫ですね?」


 その後、先生は私のすぐ傍へとやってきた。………嫌な予感。


「片桐さん。大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。私、結構こういうの平気なタイプなんで」

「そうですか。それはよかったです」


 やはり来たか。結構平気だったから来ないかと思っていた、いや、来ないことを望んでいたのだが、所詮それは叶わぬ夢。

 ここで調子が悪いとでも言おうものなら、外で待機していた由里先生が呼ばれて私は面倒くさいことに巻き込まれていただろう。それは嫌だ。

 養護教諭の元へ行っていた子たちが戻ってくると、次は平和公園へと向かった。まぁ、資料館も平和公園の中にあったらしいが、コレを知ったのは帰ってきてからのこと。

 平和公園に着くと、私たちはまず、原爆落下地点へと向かう。落下地点には原爆落下中心碑というものがあり、そこには原爆で亡くなった方の名前が書かれているらしい。

 その名前は、今でも増え続けているらしい。完全に名前が追加されなくなるのはいつの話しなのだろうか。

 そして平和公園を見回って後、私たちは漸くホテルへ移動する。ホテルは長崎駅のすぐ近くにあるらしい。

 ホテルへ着くと部屋ごとに鍵が渡される。私はよっちゃんと同室らしい。


「るぅちゃん、早く部屋行こう」

「え?あ、ちょっと待ってよ、よっちゃん」


 よっちゃんは先生から鍵を受け取るとすぐさま動き出す。その動きは素晴らしく早い。追いつくのに少し苦労した。


「よっちゃん、早い。追いつくのに疲れちゃったよ」

「あ………ごめんね、るぅちゃん。つい、はしゃいじゃって…」


 よっちゃんは一気にしょぼーんとなる。

 ちょっとコレは、罪悪感にかられるな。


「はしゃぐのはいいけど、加減して♪私が追いつけなくなっちゃうもん。私はよっちゃんと一緒に楽しみたいし」

「うん!」


 私が言うと、よっちゃんのテンションは一気に元に戻る。やっぱり元気じゃなきゃよっちゃんらしくない。


「よし。じゃ、大広間行こうか。大広間でクラス別の集まりがあるから」


 そうなのか。知らなかった。

 私はよっちゃんと一緒に部屋を出て、鍵をかけた。…さて、大広間とは何処ぞ。

 部屋を出ると、よっちゃんは迷いも無く突き進む。大広間の場所を知っていたようだ。私は分からないから助かる。

 そして大広間では、先生から今後の予定などを説明された。


「今が5時半ですから、1時間ほどしたら下の食堂に集まってください。夕飯は食堂で、全クラス合同でとります。その後、2組は8時からお風呂ですね。8時半には3組の生徒が来ますので、それまでに済ませるように。それと、男子。女子の部屋に入るのは禁止ですので。女子も男子の部屋には入らないように。それと、消灯の時間もちゃんと守るようにしてくださいね。何か質問はありますか?」


 先生のその質問に、男子生徒が少しふざけて質問をする。


「消灯時間を守らなかったらどうなるんですかー?」


 先生のその回答は怖かった。心の底から怖かった。


「どうなると思います?やらなければよかったと後悔するようなことをする予定ですが。全クラス合同で。それでも、守らないのですか?」

「いえっ!守ります。守らせていただきます!」


 その男子も恐怖は十分に感じ取れた模様。声が震えている。

 その答えを聞いた先生は満足そうに微笑み、他に質問が無いか聞く。結果、他の質問はなく、解散という形になった。


「片桐さん」


 話しを終えて、夕飯まで部屋でゆっくりするために部屋に戻ろうとしているところで本谷先生に名前を呼ばれる。なんだろう。


「何ですか?」

「病院の先生から片桐さんに伝言があります」


 ………何だ。何なんだ、由里先生。なんとなく嫌な予感がするのは気のせいか。気のせいであって欲しい。ていうか、本当に何。


「お風呂上がったら自分の部屋に来てくれ、だそうです。きちんと行ってくださいね?」

「………はい」


 一体何の呼び出しですか由里先生。診察は朝だけじゃなかったんですか。朝以外にもするおつもりですか。それとも問診だけする気ですか。

 どちらにせよ、面倒くさい。だが、行かなければ朝が怖い。仕方ない。ちゃんと覚えておかなくては。


「るぅちゃん、表情が怖いよ?」


 先生と別れ部屋へ戻る途中、ずっと黙っていたよっちゃんに突っ込まれる。そんなにも表情が怖いのだろうか。意識していないので分からない。とりあえず、元に戻す努力はする。


「病院の先生に呼ばれたの、そんなに嫌?」

「うん。面倒くさいじゃん」

「……即答だね。でも、先生も心配して呼んでるんでしょ?なら、行かなきゃね」


 分かってる。分かってるんだ。でも、面倒なのは面倒なんだ。

 そしてその後、部屋でしばらく休んだ後、よっちゃんの案内で食堂へ向かう。私は忘れないよう薬をポケットにしまっていった。


「各クラスごとにテーブルに着いてください」


 先生たちは、ある一定時間ごとに同じことを言う。大変だな。

 そして6時半。ご飯の時間だ。


「さて、僭越ながら、私が食事開始の挨拶をさせていただきます」


 大きな声でコレを言うのは学年主任。………来てたのか。今まで見ないから知らなかった。


「みなさん、手を合わせてください。いただきます」

『いただきます』


 そう言った後、みんなが食事に手を伸ばす。お腹が空いていたため、食べるもの全てが美味しい。

 食事の際、西日本特有のお吸い物の色の薄さに少しびっくりはしたが、それ以外はいい食事の時間だったと思う。

 ただ、一つ難を言うならば、量が多い。食べきらない。これは、余る。

 大体お腹いっぱい食べ終えた頃、皿に残された食事を見てそう思った。残すのも勿体無い。だが、無理に食べると、きっと戻す。


「るぅちゃん、もう食べないの?」


 その声のするほうを向いてみると、よっちゃんが自分の皿を大体空にして此方を見ていた。


「うん。もうお腹いっぱいだからさ」

「じゃさ、残ってるの貰ってもいい?残すの勿体無いし」

「うん。食べて食べて」


 私はそう言ってよっちゃんに食べ物の乗った皿を手渡した。これで残らないだろう。勿体無いなんてことが無いからいい。

 ちなみに、よっちゃんは周りの女子みんなが残したご飯も一人ではぐはぐと食べていた。よっちゃんの胃って、四次元?みんながそう思った瞬間だった。

 その後、私たちは風呂の時間まで部屋でたくさんおしゃべりをした。学校の話し。塾の話し。話し出せば止まらない。

 そうしていると、あっという間にお風呂の時間になっていた。

 

 コンコンッ

 誰かが部屋の扉をノックする。誰だろう。


「はーい」

「あ、まだいたよ。もうお風呂の時間だよ。行こう」

「あ、いいんちょ。気付かなかった。ありがとうね」


 お風呂の時間を知らせに来てくれたのは委員長ことタカちゃんだった。私たちは急いでお風呂の支度をする。

 部屋を出ると、タカちゃんは3つ隣の部屋の扉をノックしていた。全部屋お知らせに走るおつもりですね。

 さすがは委員長。委員長として放置できないんですね。まぁ、そのおかげでお風呂に入れないなんてことにはならなかったからよかったんだけど。

 お風呂は気持ち良かった。ゆっくりと湯船に浸かってたから、体がホカホカだ。

 さて、由里先生のところに行かなくてはいけませんね。面倒くさい。一体何の用なんだか。


「先生、隣の部屋だっけ?」

「うん。何かあったときにすぐ対応できるように、だってさ」


 荷物を置いた私はのんびりと隣の部屋へ向かう。あぁ、面倒くさい。

 由里先生の部屋のドアをノックすると、すぐに返事が聞こえる。はぁ、いなければそれを理由に逃げたのに。


「どちら様ですか?」

「私。入ってもいい?」

「あぁ、琉嘉ちゃん。どうぞ」


 先生の返事を待って部屋に入ると、先生は部屋の椅子に座って本を読んでいた。のんびりしてるな。


「いきなり呼んじゃってゴメンね?ちょっと、確認したいことがあったからさ」

「…………何?」

「いや、琉嘉ちゃん、今日結構テンション高めで行ってるでしょう?だから、心臓に負担がかかってないかなって思って。痛くなったりしてない?」

「してない。大丈夫だよ」


 だからか。私が久しぶりにみんなと会ったせいでテンションが高かったから。だから、予定外の時に呼ばれたのか。

 今のところ、何も無いのに。大丈夫なのに。それ以前に、今日はいつも以上に調子がいいんだ。だから、そんな心配は皆無だよ。必要ないんだ。


「そっか。でも、ちゃんと明日の朝も私の部屋に来てね?調子がいいからって逃げないように」


 由里先生にそう伝えると、釘を刺される。大丈夫、いくら調子がいいからって逃げないよ。逃げたら由里先生だけじゃなく本谷先生まで怒りそうだし。

 さすがにそれは怖すぎる。だから、ちゃんと来ます。部屋も隣だから楽だし。


「とりあえず、私の要件はコレでお終い。琉嘉ちゃんからは何かある?」

「………………無い」


 聞かれて一応考えては見たが、考え付かなかった。まぁ、それもそれでいいだろう。

 万事平和。それが一番。


「部屋に戻ってもいい?」

「うん。わざわざゴメンね」


 私は由里先生の部屋を出て、自分の部屋へ戻る。あぁ、やっと面倒ごとが終わった。

 部屋へ戻ると、よっちゃんの他にも人がいた。部屋にいたのはクラスの女子のみなさんだった。この狭い部屋に1クラス分の女子が入らなくてもいいと思うんだけど。

 二人部屋に18人。うん、狭苦しい以外に表現のしようがありませんね。広い部屋に移動しようよ。他の人たちは四人部屋でしょう。


「あ、おかえりー。るぅちゃん」

「ただいま。てか、この集まりは一体何?」

「クラスの女子みんなさー、るぅちゃんと話したいんだって。だから、消灯の時間まで喋ろ」


 そう言われて見回してみる。小学校が同じだった子は分かるが、違う小学校から来た子は分からない。分かるのは委員長のタカちゃんだけだ。


「さて、んじゃ、片桐さんと違う小学校から来た組は順番に自己紹介していこうか。出席番号順で」


 その、違う小学校から来た子で唯一分かるタカちゃんが仕切る。その後、順番に自己紹介が始まった。


「私は遠藤秋生エンドウ アキミ。アキって呼んで♪」

鳳栄オオトリ サカエ。入院中と飛行機内では愚弟がご迷惑おかけしました」


 愚弟?それは誰だと思っていると、横にいるよっちゃんが説明をくれた。


「栄と鳳、双子の兄弟なんだよ。栄がお姉ちゃんで、鳳が弟」


 成程。だから、カナイは愚弟か。うわー、すっごい納得。

 その状態でも、自己紹介はどんどんと進む。ていうか、学校が違った人少ないな。女子18人に対して7人か。


「私は相楽茜サガラ アカネ。よろしくっ」

「僕、中村優衣ナカムラ ユイ。会えて嬉しい」

野口朝陽ノグチ アサヒ

宮部ミヤベのどか」

「で、最後が私」


 そうして言うのは委員長。そうか、他の小学校から来た人たちの最後はタカちゃんか。

 私は一人一人によろしく、と挨拶をする。覚えられるかが一番謎だ。まぁ、いっか。のんびりで。とりあえず、私も自己紹介をするか。


「えと、片桐琉嘉です。小学校が同じだった人たちからはるぅちゃんって呼ばれてます。よろしくお願いします」

「よろしくー」

「とりあえず、UNOしよ。UNO」


 私が自己紹介をすると、みんなが軽く騒ぎ出す。何か、楽しい。

 そうしてUNOを始めると、鳳さんが横に座った。えっと、何かな。


「鳳さん、どうしたの?」

「栄でいいよ。いや、愚弟の所業を聞いておこうかと」


 …………栄ちゃんはカナイが嫌いなのか。まぁ、分かるけど。あれはウザイから。


「……悪の所業」

「言い過ぎたかな。でも、それが一番表現としてあってると思わない?アイツ、ウザかったでしょ?」


 うん。これは肯定するしかない。あの邪魔男鳳叶。栄ちゃんはいい子っぽいのに、何故カナイはあんなにもウザイんだ。


「あぁ。アイツ昔から体弱くてさ。ま、こないだ入院してたのもそのせいなんだけど。それで親戚一同から無駄に甘やかされて育ってるの。だから、あの馬鹿な性格が出来上がったってわけ。あ、ウノ」


 栄ちゃんはあっさりとカナイのウザイ性格の理由を述べる。そして、丁度いいタイミングで残り一枚になったらしい。


「げ!?栄もう1枚か。朝陽!ドローフォー持ってないのか!?持ってたら仕掛けろ」


 タカちゃんは栄ちゃんの隣に座る朝陽ちゃんに話しかける。………さて、朝陽ちゃんはどうするのかな。

修学旅行まだ続きます。

もう少し続きます。


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