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第六十二話 「終わりを越えて」

第六十二話です。


今回は、

大きく物語が動きます。


それでは本編をどうぞ。

「やめろォォォォ!!」


叫びながら、

俺は前へ飛び出した。


ゼノの背中。


黄金の魔法陣。


崩れていく時間。


全部見えている。


《未来視》が、

何度も同じ未来を映す。


ゼノ死亡。


ゼノ死亡。


ゼノ死亡。


「変われよ……!」


俺は歯を食いしばる。


未来を。


運命を。


変えろ。


その瞬間。


ゼノが、

静かに振り返った。


黄金の瞳。


どこか安心したみたいな顔。


「……ルーク」


その声は、

驚くほど優しかった。


「怖がれ」


胸が止まる。


「え……?」


ゼノは笑う。


「死ぬのを怖がれ」


「失うのを怖がれ」


「それが、

人間じゃ」


空気が揺れる。


《寿命視》


【生存本能:反応】


止まりかけていた何かが、

少しだけ戻る。


ゼノは続けた。


「終わりがあるから、

命は前へ進める」


「じゃから——」


黄金の魔法陣が、

限界まで輝いた。


「お前は、

終わりへ呑まれるな」


その瞬間。


《寿命視》が叫ぶ。


【時間封鎖:完全解除】


世界が止まった。


いや。


ゼノの止まっていた時間が、

一気に流れ始める。


数千年。


止め続けていた時間。


それが。


全部。


今、

ゼノへ襲いかかった。


黄金の粒子が崩れる。


身体が、

光へ変わっていく。


エルフィナが叫ぶ。


「師匠ォォォ!!」


不死皇帝の瞳が揺れる。


初めて。


明確な動揺。


『……なぜ』


ゼノは笑った。


「弟子のケツ拭くのが、

師匠の役目じゃろ」


次の瞬間。


《神代封界》が完成する。


黄金の光が、

深淵の門を包み込んだ。


深淵が軋む。


命樹が崩れる。


《寿命視》


【深淵接続:切断開始】


切れてる。


未来が変わる。


《未来視》が揺れる。


ゼノ死亡未来。


王都崩壊未来。


その全部が、

崩れ始めていた。


だが。


まだ終わらない。


深淵の門の奥。


巨大な眼が、

こちらを見ている。


そして。


不死皇帝だけは、

消えていなかった。


『……師よ』


その声は、

どこか震えていた。


ゼノの身体が、

ほとんど光へ変わっていく。


それでも。


最後まで、

笑っていた。


「後は頼んだぞ」


その言葉と同時に。


ゼノの身体が、

黄金の光となって消えた。


世界から。


完全に。

第六十二話でした。


ここが、

物語前半最大の転換点になります。


感想・評価など頂けると励みになります。


では、次話で。

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