第十八話 「共鳴」
第十八話です。
今回は、
セレナとの関係性が少し進みます。
それでは本編をどうぞ。
【残寿命:76年】
その数字を見た瞬間、
背筋が凍った。
さっきまで、
セレナの寿命は80年以上あったはずだ。
なのに。
減っている。
しかも。
その減少した生命力が、
自分へ流れ込んでくる感覚があった。
「……なんでだ」
俺は思わず後退る。
するとセレナが小さく目を見開いた。
「まさか……」
ゼノの顔が険しくなる。
「共鳴しおったか」
「共鳴?」
「命理魔法と深淵侵食が接触した結果じゃ」
ゼノは低く続ける。
「お前たちの生命が繋がり始めておる」
全然嬉しくない。
セレナも困惑しているようだった。
「今までこんな反応は……」
その瞬間。
ドクン。
また胸が熱くなる。
《寿命視》が勝手に発動した。
セレナの生命光。
その奥。
黒い深淵が蠢いている。
そして。
そこから漏れ出した寿命が、
細い糸みたいに俺へ繋がっていた。
「っ……!」
気持ち悪い。
なのに。
妙に落ち着く。
まるで、
不足していた何かが満たされるような感覚。
「ルーク?」
エルフィナが不安そうに声をかける。
俺は慌てて視線を逸らした。
まずい。
今、
もっと欲しいと思った。
セレナの寿命を。
「……離れろ」
思わず口に出る。
セレナが静かに首を傾げた。
「なぜです?」
「危ないからだよ」
自分でも驚くほど強い声が出た。
空気が張り詰める。
するとセレナは、
少しだけ寂しそうに笑った。
「やはり、あなたにも見えるのですね」
「……何が」
「私はずっと、“喰われ続けている”んです」
静かな声だった。
だがその言葉は重い。
セレナは胸元を押さえる。
「聖痕は深淵と繋がる力」
「その代償として、寿命を捧げ続ける」
《寿命視》が映す。
彼女の寿命が、
今も少しずつ減っている。
まるで穴の空いた器みたいに。
「教会は、それを知ってて使ってるのか?」
エルフィナが険しい顔になる。
セレナは否定しなかった。
「聖女は教会の象徴ですから」
その言い方に、
妙な諦めが滲んでいた。
その時だった。
《寿命視》が再び警告を鳴らす。
【侵食反応:増加】
同時に。
俺の腕へ、
黒い紋様が浮かび上がった。
「っ……!」
呪竜因子だ。
黒い線が、
皮膚の下を這うように広がっていく。
教会騎士たちが一斉に武器を抜いた。
「侵食が……!」
「下がれッ!」
空気が一変する。
だが。
その瞬間。
セレナが俺の腕を掴んだ。
「待ってください!」
全員が止まる。
そして次の瞬間。
黒い紋様の広がりが、
ピタリと止まった。
「……え?」
俺も固まる。
セレナ自身も驚いていた。
《寿命視》が映す。
俺とセレナの生命光。
二つが、
一瞬だけ重なっていた。
ゼノが目を細める。
「なるほどのう」
嫌な予感しかしない。
「お前ら」
ゼノはゆっくり言った。
「かなり相性が良いぞ」
全然嬉しくなかった。
第十八話でした。
少しずつ、
命理魔法と深淵側の繋がりも見えてきました。
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では、次話で。




