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飯塚敏郎の日記(日付未記載)
里美が施設に入ってから、あの車は動かせないでいる。
解約しようとすると、管理会社の男が「契約は続いている」と笑うのだ。
里美の施設代も「会の施し」とやらで、ほとんど費用は掛かっていない。
時々見に行っている。
里美がうわごとのように、「中に翔がいる」と言うからだ。
最近気づいたことがある。
車のドアノブが綺麗なこと。
まるで誰かが定期的に開けているように。
俺じゃない。
中に入ったら、引き摺り込まれる気がする。
あの終わらない昭和の熱気の中に。
<二丁目の駐車場の話 完>




