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飛ばない僕と、空を行く君と  作者: つこさん。
第二章

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26羽 「僕になにができるんですか」②

 ブロムが言うには、外務卿って国の使いっ走りみたいなもので、国の政策やらなんやらに意見できるほど偉くはないんだそうだ。ホントかよ。いちおう「それってどうなの」的なことは言ったし、現在も専属の医療班が他の方法を模索中ではある、と。

 この世界での倫理観がどうとか言うつもりはない。それは僕が言うようなことじゃない。でも、ブロムが僕たちへ伝えるのを渋ったってことは、やっぱりこの世界でも批難され得る選択だってことだろ。じゃあやるなよ。

 そうは思うけど、じゃあ代案出してくれって言われても、僕にはどうしようもない。

 言い訳するみたいに、ブロムは「私も、私なりに、各国へ飛ぶときは知見を求めて探りを入れたりはしています」と言った。ヴェルク=シーヴィへも専属の情報員を派遣していたらしい。だから、僕の存在に即気づくことができたのだとも。


「なにせ、霜翼卿の信任を得た優秀な判定師とのことでしたので。……もしかしたら、画期的な治療法を呪ってくれるかも、とも、考えたんですよ」


 ブロムはそう言った。呪ってほしい、とは言わなかった。

 僕は……たぶんタルクも、気づいた。ブロムは、僕の鑑別が呪いではないと理解している、と。すっと心が底冷えする。その事実は、僕らにとってトップシークレットに類するもので、キャラヤにですらちゃんと告げていない。どうしてバレた? 冷や汗が背筋をなぞる。

 タルクが立ち上がって、すたすたとブロムの隣まで行った。そして同じソファにどかっと座って、引き寄せるようにブロムと肩を組む。


「おまえに、聞いておこう」

「はい、なんでしょう」

「――ライラを拐ったのは、おまえらか」


 ブロムの喉元に、手をやって。

 その手には、小さなナイフが握られている。

 僕は息を呑んだ。ブロムは、動揺もなく静かにタルクを見つめて「違います」と言った。


「私たちが欲しているのは、判定ができるだけの存在ではありません。現在の問題を解決に導く手段です。雛を正確に見分けられるかどうかは、正直なところ今は二の次だ。はっきりと述べましょう。私はヨータくんが鑑別という特殊な能力を持っているのだと理解している。そして、おそらく他に呪うことはできないのだと」

 

 冷静な、そして穏やかな声だった。タルクはその目をじっと見返して、唇を動かさずにまた尋ねる。


「なぜ、ヨータが他の呪いをできないと?」

「普段のヨータくんを見ていればおのずとわかることです。彼、呪い師らしくないでしょう? 触媒をなにも持ち歩かない呪い師なんて、他に見たことあります?」

「身に着けているかもしれないだろ」

「それが、ないんだな。ハルヴェイクでお着替えするときに、調べさせていただきました」


 ん? ハルヴェイクってどこだ? 横文字とか覚えていられなくて僕が記憶を探っていると、タルクが吐き捨てるみたいに「最初っからかよ」と言った。

 それでわかった。テルク=ファルを経由してグラを連れて帰るときに、立ち寄ったヴェルク=シーヴィの大きな街だ。お着替えって、僕がめちゃくちゃ磨かれてキャラヤの前に出されたときのことだな。調べる? ブロムが、僕を? なんかあったっけ?

 僕が疑問に思っているのがわかったのか、ブロムは「入浴のときに、手伝いへ入った方にお尋ねしただけですよ」とにこやかに言った。あっ、垢すりしてくれたムキムキお兄さんを買収したってこと?


「私は、最初から述べましたよ。ヨータくんを、我が国の国賓として招きたいと。なにも、隠し立てせずに、我々の願いをお伝えしていました」

「わかんねえよ。他に呪いができないと思いながら、なんでまだ、ヨータにこだわる?」

「え? エルシ公翼こそが、一番理解してくださると思っていたのですがね?」


 ブロムは、ナイフを突きつけられたままで、不思議そうに言った。


「私は――我々は、ハルシーピがかわいい。苦しんでいる姿を見たくない。助けてやりたい。そのために、なんであれ縋れるものがあれば縋るし、利用する。たとえ、ヨータくんが現在は他に呪うことがなくても、なにかが起こるかもしれない。それは試してみないとわからない。単純に、それだけですよ」


 その言葉に、きっと偽りなんてないんだろう。方々手を尽くして、他にどうしたらいいのかもわからずに。一か八かで。

 タルクは、じっとブロムを見て、そして手を引っ込めた。多少緊張していたのか、ブロムが肩で息をついた。


「……ご理解いただけたってことで、いいですかね?」

「おまえを信用したわけではない」

「手厳しいなあ。もう長いつき合いなんですから、そろそろ打ち解けてくださいよお」


 ちょっといじけたみたいにブロムがグチグチと言った。僕を見て「ヨータくんは、初対面のときから名前呼びを許してくれましたよ?」と。


「こいつは、ちょっと抜けてるんだよ」

「エルシ公翼もちょっとくらい抜け感があると、もっと人気者になれると思うんですがね!」

「いらん」


 あとで聞いた話。相手の呼び方って、信用するとか、好意的であるとか、そういうのを示す指針としてかなり大きいものなんだってさ。文化的に。

 あー、だから、タルクはブロムへ、名前呼びをさせてないのかー。

 ……そういうこと、もっと早くに教えてくれるべきじゃない?


おはようございます!

いつも読みに来てくださりありがとうございます


読者のみなさまへ相談させてください

第一章を改稿してコンテストに出そうと考えているのですが、現在出せそうな賞が3つあり、迷っています

次のコンセプトで、一番この作品に近いと思う文章はどれですか? 参考にさせてください

感想、もしくは匿名感想でご意見いただけるとうれしいです(番号のみの投稿でまったくかまいません)


1.友情を超えたバディ、建国譚などなど……ジャンルを問わず、女性が楽しめる男性主人公のエンタテインメント作品

2.〝異世界〟を舞台に、あなたの『尊い』を詰め込んだ男性を主人公としたボーイミーツボーイな物語

3.この時代を切り開く、面白い物語と、魅力的なキャラクター。両方を兼ねそなえた、新たなキャラクター・エンタテインメント小説


よろしくお願いいたします!

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