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飛ばない僕と、空を行く君と  作者: つこさん。
第二章

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25羽 「どこからだよ」 「そりゃ、ぜんぶ」②

 午後に満面の笑みのブロムが来たから、膝詰めで話そうと思って即部屋に引き入れた。ブロムは予想していたみたい。じゃあ最初から説明してよ。


「お嬢さんたちは、いかがでしたか。ヨータくん」

「みんな猛禽類みたいでこわかった」

「ぶっは」


 タルクが盛大に吹いた。ブロムはにこにこのまま固まって、再起動して「そうですかー。お嬢さんたちからはわりと好評だったんですけどねえ」と言った。勝手に他人をレビューしないでほしいんだけど。僕がムッとしたのに気づいているだろうに、ブロムはおかまいなしに話を続けた。


「特に、イグネラ・ファルヴォルン嬢、フェルミリア・クルファルド嬢、それにラインフェリア・スラグヴォル嬢ですかね。他の方は『自分より若見えする年長男性は、ちょっと』とおっしゃっていましたが」

「最後の情報言う必要あった?」

「うははははっ」


 給仕さんがお茶を運んできてくれて、全員にサーブしたら右手を胸にあててから出ていく。ブロムは扉が完全に閉まるまで口を閉じていて、何拍かおいてから僕を見た。


「おそらくエルシ公翼から、なにも聞いてないでしょうから、腹蔵なく話そうと思うのですが」

「わかってるならもっと前にしてよ」

「したら、逃げちゃうでしょう? ヨータくんは」


 わかったようなことを言われた。それはそう。逃げない要素がない。ブロムは「ヨータくんは、なんだか野良の子猫みたいだなって思いますよ。こっちから近づいたら、警戒して逃げてしまう。そっぽを向いていたら、近くまで寄ってくる」とつけ加えた。なんだそれ。べつにそんなことしてないけど。


「そんなヨータくんに信用されるには、まずこちらの手の内を見せる必要があると思いまして。なので洗いざらい言うと、我が国はヨータくんが欲しい」


 ぶっちゃけたな。まあ最初から国賓なんて言葉が出ていたから、なんとなく察してはいたけど。僕はとりあえず「なんで? 鑑別技術がそんなに必要なの?」と聞いてみる。


「そうですね、おそらくヴェルク=シーヴィよりもずっと。切望して来たと言ってもいいかもしれない。だから、どこのだれかもわからない、ヨータくんがただのひよこの判定がすごい男の子のときから私が動いたので」


 タルクは口を挟まないでじっと聞いている。意外そうな顔はしていないから、たぶんそういうことも知っていたんだろう。なんで言わないんだこいつ。一回ガチでシメた方がいいような気もしてきた。

 ブロムは「たぶんなにもご存じないだろうと思うので、我が国のことをいくらか説明しますね」と前置きして、お茶のマグカップを手にとって口に含んだ。そして僕に向き直ってから「我が国は、陸用ハルシーピの調教に力を入れております。それも、メスの」と言う。


 驚いて、僕は「え、メスって気が荒いから人に懐かないんじゃなかったの?」と声を上げた。


「ええ。なので、その方法は秘密です。しかし言えることとしては、メスは飛空騎乗用には向かないですが、陸送騎乗用ハルシーピとしてはかなり優秀なのです」

「えーっ、陸用も騎乗するんだ⁉」


 あれだ、某有名RPGのあれだ! かなりわくわくして、声を張り上げてしまった。こればっかりはしかたない。男の子だもの。

 ブロムは笑顔で、そしてちょっと困ったように眉を下げて、言った。


「――よって、雌雄の判定はヴェルク=シーヴィよりも濃い意味合いがある、ということは、ご想像いただけるのではないかと思います」

「うん、それはそう、わかる」


 メスの調教がオスと同じように(クル)のときから始まるのだとしたら、そりゃ、より見分けるのが重要になるだろう。僕は納得しつつ、思ったことを言った。

 ブロムをじっと見て。


「でも、それだけじゃないんでしょう。ブロム? 他に、今言わなかった理由があるよね? ぜったい」


 瞬間、空気がひりついた。ブロムの笑顔は変わらなかったけれど。

 数拍のちに、ブロムは言った。


「……やだなあ、ヨータくん。それで納得してくださいよお。僕たちの仲じゃないですかあ」

「うーん。少なくとも、隠し事しているとわかっている間は、友人とは思えないかな、ブロムのこと」


 ちょっとだけじっと見つめ合って、タルクは黙っていて、そのうちブロムは息をついて脱力した。そして「参ったなあ。私にこれを口にする権限はないんですが」と、沈んだ声で言った。


「……そうですねえ。まあ、いずれバレることだとは思いますが。お二人のことを信頼して申し上げましょう。だれにも言わないって約束してくださいます?」

「まあ、僕はこの国に知り合いもいないし。言ったりしないよ」

「……言わねえ。聞こう」


 大事な内容だってタルクも察したのか、口に出してそう言った。ブロムは、ちょっと天井あたりを見て、そして僕たちを見て、告げた。


「……テルク=ファルの東部で、原因不明のメスのハルシーピの病が発生しております。しかも、我が国の特産である、陸送騎乗用種においてです」

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