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飛ばない僕と、空を行く君と  作者: つこさん。


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18/19

10羽 「じゃあ、いってくる」 「たのんだ」①


今日からしばらく1日2回更新です

7:00

12:00

でお願いいたします


「うぎゃああああああああああああああああああああああああああ!」

「うるせぇ、黙れ」

「だまれるかああああああああああああああああああああああああ!」


 足下がふわふわするうううううううううう! 見えなくて怖すぎるうううううううううう! 見えても嫌だあああああああああああああああ!


 どれだけ飛んでいたのかはわからない。ときどきタルクが手綱を引いて微調整しているのがわかるくらい。風圧すごい。動悸もすごい。実家のマンションの部屋の階より高いところはムリです、許してください。鶏は好きだけど鳥は嫌いになってしまいそう。助けて。


「――見えたら見えたで失神するし、見えなかったらうるさいし、おまえはいったいどうしてほしいんだ?」

「そもハルシーピに乗せるなよ!」


 着陸して降ろされて、ぐったりしていたところにそう言われて思わず叫んだ。残念そうな表情で言われても怖いもんは怖い。もう二度と乗らない。なにがあっても!


 森の中だった。うっそうと茂っているって言葉がぴったりな感じ。タルクと僕が乗ってきたのはグラではなくて、その他にもう一頭のハルシーピとその乗り手がいた。タルクはその人へ「様子はどうだ」と尋ねる。


「変わらず。物音すらしない。本当にここで合っているか?」

「間違いない。グラはライラを赤ん坊のときから認識している。ここだ」

「えっ、ライラちゃんがいるってこと? グラは?」


 僕が気を取り直して聞くと、タルクは真っ直ぐに森の奥へ目をやって「ライラは――あの中だ」と言った。


「……中? ってなに」

「とりあえず先に、グラに会ってやってくれ。おまえに会えたら回復も早まるかもしれん」

「えっ」


 回復ってなに。タルクは説明もなしにどこかへ歩いて行ってしまうから、僕はあわててそれに続く。そしてちょっと重大なことを思い出して、歩きながら報告した。


「タルク、じつは、昨日家に強盗が入って」

「そうなのか」

「なにその薄い反応。それで、グラの羽根を盗られちゃったんだ。ごめん」

「まあ、なんか妙に片づいてると思ったよ。……そうか。グラの羽根か」


 僕を探して家にも行ったらしい。砦にも。ハッラさんに男の子が産まれたことを告げると、タルクの空気がやわらかくなった。


「……そうか。男か。無事産まれてよかった」

「うん。お産ってたいへんだね。僕男でよかったって思っちゃったよ」


 でっかい岩を乗り越えて、その先にちょっと拓けた場所があった。そこに、グラがうずくまるようにして臥せっていた。


「えっ、グラ⁉ どうしたの⁉」

「負傷している。声かけてやってくれ」


 僕たちが来たことを察したみたいで、グラが閉じていた瞳を開いてこちらを見た。いつもだったら僕を見たらバタバタするのに、それもない。負傷って、どこだろう。けっこう深いのかな。近くまで行って、僕は「グラ、だいじょうぶ? 痛い?」って聞いてみた。グラはきゅるるるーって、雛みたいな声を出した。


「メシも食わなくてな。おまえからやってみてくれないか」

「もちろん。どこにある?」


 グラの陰にあった。羽根をむしった鶏があって、僕はそれを手に持ってグラの口元へ差し出した。


「グラ。食べないと元気になれないよ。食べよう?」


 するとさくっと僕の手から食べた。もうひとつ。とりあえずそこにあった鶏肉はぜんぶ食べてくれて、タルクに言われたから僕は首元を撫でてあげた。グラがキュォー! とひと声鳴いた。タルクがなんか変な顔をしていた。


「……さて。グラはもうだいじょうぶだろう。いくぞ、ヨータ」

「え、まって。じゃあね、グラ。またあとでね」


 キュォー! なんか元気になったみたい。よかった。


 来た道を戻りながら、変な顔のタルクがこらえきれないみたいに笑い出した。


「なに。なんなの」

「……給餌は、番の証だ」


 とんでもないことを言いやがられた。は? じゃあ、もしかして僕はグラの求婚を受けたってことになる⁉ それだけに飽き足らず、タルクは「首元の毛づくろいも、夫婦の愛情を示す行動で」とほざいたので、僕は「なんてことを!」とその背中に思いっきり拳を入れてやった。さすがによろけてた。


「……おまえ、見た目よりずっと力あるな」

「26歳の成人男性だからね。で、ライラちゃんは? なんで僕連れて来られたの?」


 さすがに、グラのためだけじゃないのはわかる。タルクは表情を改めて、僕を見て行った。


「さっきの場所。でかい樹がある」

「樹? 森だから、そりゃあ」

「樹のうろがあって、そこから中に入れそうなんだが、俺たちの肩幅じゃ到底ムリだ。おまえ、行ってくれ、ヨータ」

「え、ライラちゃんがその中ってこと?」

「おそらく」


 さっき降り立った場所に戻った。たしかに、さっきは気づかなかったけれど、森がなんかでっかい塊みたいになってる。え、これぜんぶ一本の樹だっていうこと? 樹齢何年? 屋久杉どころじゃなくない? 僕がびっくりしてそれを見上げていると、タルクが「こっちだ」と言ってさっきとは逆の方向へ行った。

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とばそら匿名感想
(『とばそら感想おきば』で返信します)
匿名感想書いて!!!!!(最初から書いてあるやつを消しても消さなくてもいいよ)

― 新着の感想 ―
ですよねー。グラに食べ物あげたりして大丈夫?って読みながら思っちゃいましたもん(≧◇≦) やっぱ求愛行動だったかぁ。コレもイセコイ(ちょっとニッチな層向け)? そんな迂闊なヨータくんもスキです。次回 …
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