後日談
「あれ?何かあったのかな?」
ホーディが鉱山から三日掛けて都に戻るとラグーロ商会の店の前には騎士たちが立っており、店の中でも慌ただしく動く人が見えた。
状況が飲み込めないホーディは店の入り口に立っている騎士の一人に話しかけた。
「ここ何かあったんですか?」
「ん?ここか?何でも違法な奴隷取引をしていたらしく関係者が全員捕まったんだ」
「えー!ラグーロ会長も!」
ホーディは驚いた。あの親身になってくれた優しいラグーロ会長が捕まってしまった事に。
「ああ、そうだ。商会もお取り潰しになってな。それとまだ調査してるから中には入るなよ」
「また仕事が無くなった」
驚きのあまり立ち尽くしていたホーディはどうしたもんかと考えてとりあえず仕事を探す為に商人ギルドに向かう事にした。
ホーディが商人ギルドに入ると中ではこれまで見たことない位職員が慌ただしく動き回り、仕事に追われていた。
「うわー忙しそうだなー」
そんな呑気な感想を漏らしたホーディを遠くから受付のアンが見つけ、走って向かってきた。
「あっ!ホーディ君!無事だったんだね」
「無事?何がですか?」
「ホーディ君と連絡が取れなくて心配してたの」
「ちょっと鉱山に出稼ぎに行ってました」
「ええ……」
あっけらかんと答えたホーディにアンは返す言葉が見つからない。本来なら仕事を紹介した商人ギルドに乗り込んできて怒鳴りつけてもいい事例であるが、ホーディは全く気にしている様子がない。
それどころか当事者の筈なのに未だ状況が分かっていない様子である。
「それよりアンさん、どうしたんですか?みんな忙しそうですけど」
「ラグーロ商会が潰れたからその皺寄せが商人ギルドに来てるんです。他に同じ事例がないか系列店の調査したり、再雇用の手続きとか。仕事先を紹介したのもギルドだから責任問題にもなっててね。それに賠償金を捻出する為に競売の話もあって」
そう言うアンも連日仕事に追われており若干やつれている。特に受付のアンは被害者家族への対応で謝り続ける日々である。
「大変ですね。何か手伝える事はありますか?」
「え!」
「力仕事ならやれますよ。丁度仕事も無くなったし」
アンは嫌な予感がした。ホーディがこれまで関わった仕事場が立て続けに潰れている事を思い出して即座にホーディを制止した。
「いや、ホーディ君はギルドから見舞金が出るからそれで少し休暇を楽しんで。落ち着いたらまたお話ししましょう」
「そんな遠慮しないでください!」
「いえ!本当に大丈夫です!ここはプロに任せてください!」
アンは渋るホーディを何とか商人ギルドから追い出した。これ以上問題を増やさない為にはこれが最善であると信じて。




