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後日談

「魔導士ギルドはベテラン魔導士がマフィアと繋がってと分かり大慌てだってさ。それに飼ってた魔獣も逃げ出してそれを捕まえるのにも人を割かないといけないらしい」

「そうですか」

 ショーンの説明をアンは静かに聞いていた。

 ショーンが語った以外にもワーマの研究所のメンバーがごっそりいなくなった事により魔導士ギルドではあらゆる依頼を受け付ける事ができなくなった。

 ワーマとその研究員達は犯罪者であるが腕は確かなので魔導士ギルドから依頼されている重要案件がいくつかあり、その依頼の遂行が困難になった。

 その代わりに働くのが魔導士ギルドの職員でもあり、そちらにも多くの人員を割いていた。

「更にその魔導士がサッキーノファミリーを裏切ってアトゥカーラファミリーについてしまった。沈静化しつつあった抗争が再燃して騎士団も冒険者ギルドも対応に追われてるって」

「そうですか」

 都は今や大混乱である。アンに説明をしているショーンも仕事が溜まっており、こんな事に時間を割いている場合ではないのだ。

「どこもかしくも大忙しで、それで定例会議は中止になった。本当にホーディは凄いね、はっは」

 ショーンは死んだ魚のような目で乾いた笑いをした。口は力無く開かれ肩もぐったりと下がっている。

「あのそれでどうします?」

「どうもできないよ!もう無理だよ!ねえ!奴はまだ来てないよね!」

 ショーンは突然大声を出した。もうやけっぱちである。壁越しでも聞こえてしまいそうな大声だがショーンは気にしない。このまま走り出して脱走してしまう勢いだ。

 アンはとりあえず荒ぶるショーンを宥めた。

「落ち着いて下さい。まだ来てません。しかし時間の問題かと」

「どうするの!またこっちに来るよね?」

 どうにか宥めようとしたアンだがショーンはアワアワして一向に鎮まらない。

 アンは深くため息を吐き宥めるのは諦めた。

「とりあえず私は仕事に戻ります」

「待ってよ!君くらいにしか愚痴れないんだよ!」

 情けないギルド長の言う事を無視してアンはいつもの受付に戻っていった。後ろの方でショーンが叫び何か聞こえるが気にしない。

 アンが受付の椅子に座るとまだ成人していないような女の子が受付にやってきた。

「ようこそ、商人ギルドへ。本日はどのようなご用事で?」

 アンは笑顔で女の子の対応を始めた。

「あのここに最近ホーディと言う二十歳くらいの男の人は来ませんでしたか?」

 アンは女の子の言葉にギョッとした。

 これまでホーディは多くの職場を破壊してきたが奇跡的にクレームは入っていなかった。もしや初めてホーディに対してクレームかとアンは心の中で身構えた。

「来ていますが……あの?ホーディさんと何か問題が?」

「いえ、そうではなくてホーディは私の兄です」

 

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