表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

後日談

「今度は西通りで爆発です!」

「直ぐに冒険者を派遣しろ!」

「大通りでの衝突が収まりません!」

「待機要員も出動させろ!マフィア野郎共の好きさせるな!」

 冒険者ギルドではギルド長のハンスの下に次々と被害報告がやってくる。

 サッキーノファミリーとアトゥカーラファミリーの会談が失敗に終わると二つの組の抗争が始まった。

 お互い完全に潰し合うまでやり合う覚悟であり、その抗争は日夜問わず都のどこでも戦闘が発生した。

 剣を用いた直接的な戦闘に、爆発する魔道具による暗殺、はたまた酒瓶で殴りつける突発的なものまで多種多様である。

 そしてマフィアが抗争すればそれに便乗して別の悪党共も暴れ出す。都の治安は悪化するばかりである。

 ここまで治安が酷くなると騎士団だけでは手が回らず冒険者ギルドにも治安維持の依頼が来た。

 騎士団と冒険者ギルドが手を組んで治安維持にあたっているが頻発する戦闘や犯罪に冒険者ギルドで指示を出すハンスには休みがない。


 都全体を巻き込んだマフィア同士の抗争が起きる中、急遽ギルド連合会議を開いた。議題は勿論治安悪化に伴うギルドへの影響である。

 しかし副団長とハンスは抗争の対応に追われて欠席になっている。

 三人だけの会議は滞りなく終わったが最後にショーンがホーディの件について話し始めた。

「双方のマフィアが戦闘しホテルは半壊、営業再開の見通しは立っていません。アトゥカーラファミリーが運営しているので抗争が収まらない限りこのままでしょう。最悪そのまま廃業という可能性もあります」

 ショーンが疲れた顔でこれまでに入ってきた情報を伝えた。ハンス程ではないが大規模な抗争の為、物流にも影響が出始めショーンの仕事が増え疲れ気味である。

「おいおい、本当に潰れちまったのか」

「こりゃ面白いね」

 会議に参加しているトゥーリオとミラールも驚きである。まさか本当にたった一人の男が仕事をするだけでホテルが潰れてしまったのだ。

「マフィアが無くなるのはいいが流石に影響がデカ過ぎるな。もっとホテルだけ潰せなかったのか?」

「それを私に言われても。本人に聞き取りしたところお酒を買いに行ってる間に何故か喧嘩が始まったと」

 トゥーリオが無茶な要求をショーンにするが、ショーンは困り果てている。

 その場に居合わせた筈のショーンにどんなに聞き取りをしても全く情報は引き出せなかった。

 他のスタッフの証言によると戦闘が始まる前に火事が起きたらしいが、それもマフィアが爆発する魔道具を至る所で使ったせいで何処が火元か判明が難しくなった。

 張本人であるマフィアは抗争に忙しく話を聞くどころではない。

 今回もどうやってホーディがホテルを潰したのかと言うよりどうやってマフィアの抗争を始めさせたのか全く分からなかった。

「そいつを俺のとこに寄越すなよ?」

 トゥーリオは流石に危ないと思ったのか早々にホーディから手を引いた。前回は全く信じていなかったがこの一件で完全に態度を変えた。こんな危険人物を扱いたい人間など何処にいるだろうか。

「それじゃあウチに預からせてくれないか?」

 ここにいた。手を上げたのは魔導士ギルドのミラールである。

 ミラールの思いもよらぬ発言にショーンとトゥーリオは驚いた。

「本気か、婆さん?」

 トゥーリオはミラールを化け物でも見るような目で見ている。これまでの話を聞いていなかったんじゃないかと疑いもした。

「こんな面白そうな研究対象見たことないからね」

 ミラールは皺だらけの口元をニヤつかせている。それはそれは不気味な笑みであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ