表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/40

7話目─逃亡─

随分と間が空きました…orz


更新遅れてすいません

「え?」

誰が言ったのだろう…

俺は無意識のうちにグラスを投げ捨てていた


俺とシャルが呆けていると

「……貴様、もしや…魔族の手先か!?」

アリエスさんが近くにあった剣を抜き、シャルに剣先を向けた。

「え……?」

シャルは現状に理解できないながらも答える。

「そ、そんな私は魔族の味方なんかじゃないです…魔族は滅ぼす敵だと思っています!」

「魔族に与する者の言葉等聞かぬ!ノワル国民でありながら裏切るとは、楽に死ねると思うな」

「ちょ、ちょっと待ってください!シャルがなんで魔族の手先なんですか!?グラスは自分が手を滑らせたのですし!」

「…勇者殿…何を仰るのですか。あなたは無意識のうちに身を守る能力があるではないですか」

「え、ええ確かに自分の『自動防御』は相手の攻撃を防いでくれる能力です。…それと何か関係がありますか!?」

「…予想ですが、それは攻撃に対してではなく、貴方様の命に関るもの全てから守る能力だと思われます…ので、そのグラスには毒があるでしょう、少々お待ちを今調べさせます…」

すると、アリエスさんは近くに居たメイドに目配せをすると、そのメイドは走って外に出て行った。


数分もすると数十人と兵士と魔術師が現れた。

兵士はシャルを包囲し、魔術師達は俺が投げ捨てたグラスと飲み物を調べだした。


「アリエス様、毒の存在が検出されました」

「……して、その毒とは?」

「はい…ラミア族から取れる毒ですね、人間が摂取すれば1時間以内で死に至る毒物でございます」

そんな…本当にシャルがそんな事をしたのか…?

「そ、そんなはずは違います!私じゃないです!?」

「今さら見苦しい…連れてけ…今此処で斬り捨ててやりたいが、色々話を聞かせてもらわぬとな…」

「や、嫌だぁ、勇者様ぁああ信じて!信じてください!」

「晩餐の準備をしたのは貴様だろう…それに、国を裏切れば一族全て処刑だ、そんな浅はかな事はしない、それと貴様は孤児だったと記憶するが…孤児なら失敗しても代価は自分の命だけ依頼されるならばやりそうだと思うが?」

俺は何も言う事ができなかった…。

けど、本当にシャルが俺に毒を…?

ノワルは大陸1だと言っていたあのシャルが…?

けど、何故…?



「……勇者殿、大丈夫…ですか…?」

「あ…はい……すいませんアリエスさん…」

「いえ、歓迎会だと言うのに申し訳御座いませんでした…」

「いえ、誰もこんな事は予想できなかったと思いますので」

「……そう…ですね、本日は自室にておやすみください、勇者殿をお送りしなさい」

「ハッ…勇者様どうぞ」


部屋に着くとすぐに眠りに着いた。


翌日、アリエスさんにシャルはどうなるのか、本当にシャルがやった事なのか聞いてみると。

「はい、今朝全てを自供しました、魔族への裏切りは一番罪の重いものでして、3日後公開処刑が決まりました」

シャルが俺を殺そうとした…ノワル国を裏切った……。

それから3日俺は部屋でほとんどを過ごした。




シャルが処刑される日、部屋から出るなと言われたが、どうしてもシャルがやったとは思えなかった。

だから、城の人間にバレないように城を出て、街に出る事にした。


部屋を出て、誰にもばれないように外に出る、門の所に門番が2名ほど居たので物陰に隠れてどうやって抜けるかを思案してると、話し声が聞こえてきた。


「あの娘も可哀想だよな、今日だろ処刑されるの」

「だな、本当はあの勇者を殺す予定だったんだろ?」

「らしいぜ、なんかノワル国に不幸を呼び込む者って上層部で言われていてな、山賊討伐の時もギーレ歩兵百人長でも手傷を負ったのに、あの勇者だけ無傷だったらしい」

「は?敵から逃げてただけとか後ろにいたからとかじゃなくてか?」

「ああ、後ろに回り込んで襲撃したんだとよ、あと頭領を一瞬で討ち取ったらしいぜ」

「なんだそれ異常だろ?悪魔かなんかじゃないのか?」

「ああ、強すぎるんだよ、だから危険なんだろう、野心なんか持ったらこの国は滅ぼされるぜ」

「まったくだよ、ギーレ歩兵百人長って言ったらこの国で5本の指に入る程の強さじゃねーかよ」

「んでだ、アリエス様の邸宅で暗殺をしようとしたらそれを防いでしまったらしくてな、あの娘を暗殺者に仕立て上げたらしい」

「っかー、その娘も可哀想だねぇ…勇者が大人しく死んでおけばよかったのになぁ」

「まったくだよ、あんな可愛い顔してるのに勿体ねぇったらありゃしねぇ」

「まぁ、つっても拷問官とかが、美味しく頂いてるだろうぜ」

「拷問官とか羨ましいよなぁ、戦争しなくていいし、好きな様に拷問できるしな」

「まったくだよ、っとちょっとトイレいってくるわ」

「あいよ、早く戻れよ、上官に見つかったらうるせーうるせー」

「わかってるっての」


シャルが暗殺しようとしてなかった…

俺はシャルを疑ってたんだ、あの時意地でも庇っていれば…

早く彼女の許へ行かなければ…

門番は一人だったので、後ろへ近づきサーベルの峰の部分で首に打ち込む。

折れてはいないと思うが気は失ってるようだった。


処刑場は道を真っ直ぐに進んだ所だろう、遠目からでも人だかりが見える。

俺は今できる最高速で駆け抜けた。


「よって、勇者暗殺及び国への裏切り行為のため、一族斬首の刑に処す!」

「「「「ウォオオオオ」」」」

「コロセー!」

「裏切り者ー!」

「死に晒せー!」


そこは、まさしく地獄絵図だった…

シャルが断頭台に掛けられている。

彼女は泣きながら何かを叫んでいるが、ここからでは何も聞こえなかった。

早く彼女を助けないと…

「すいません!通してください!通ります!」

人の垣根を分けながら進む。


「これより、裏切り者に天罰を!死刑執行!」


瞬間…首が落とされる直前彼女と目が合った。

恐怖に引き攣る表情のまま首が落とされた。


ああ…俺が殺したようなものじゃないか…俺が居たから彼女は…


「これにて公開処刑は終わりとする、皆の者戻りたまえ」

その言葉を合図に処刑を見に来た者達は何処かへと去っていった。

残されたのは俺と国の兵士達のみ…

「隊長、あそこに居るのって、もしかして」

「確かに、城から逃げ出した元勇者に似ている聞いてみるか」

気付けば兵士達に囲まれていた。

…どうやら暗殺したかったのは、この国の人達みたいだな。

俺はただ生きたいだけだったのに、それさえも危ぶまれる。

「そこの者、動くな!」

捕まったらもう二度と外には出られないという予感がした。

だから、俺は逃げた行く当てはないけど…ここよりはマシだと思うから。


「おい!…勇者だー!悪魔についた元勇者が居たぞおおおおおおお!」

「神の御名のもと、絶対に逃がすなぁ!」

後ろを見ると兵士達が追いかけていた。

今は逃げよう、街を出よう…ただ今はそれだけを考えて走る。




街の門までたどり着くと、そこには既に100人規模の兵士達が待ち構えていた。

「さて、元勇者ご同行願いますが、拒否されるようでしたら…ここで斬らせていただきます」

ここで、抵抗するかと考えて居ると門が開きだした。

「だ、誰だ門をあけた奴は!絶対に開けてはならぬと命令があったはずだ!」

隊長らしき人物が喚いていると城壁の方から声がした。

「悪いね、そいつを捨てるってんならウチがもらうぞ」

上を見ればそこには、リョウともう一人小柄な少女が居た。

「な、貴様は何処の者か!?」

「あれ?俺のこと知らない?、お前さん最近志願したくち?」

「やー、おっさんももぐりですねぇ…リョウちゃんを知らないなんて」

小馬鹿にしたような態度で返す二人に隊長らしき人は声を荒げていく

「な…貴様馬鹿にしているのか!?こいつ諸共斬り殺してくれる!」

途端周りに居た兵士全てが武器を構える。

「物騒だねぇ…まぁ100人や200人程度で俺達魔族を止められると思っているなよ?」

「じゃあ、リョウちゃん…暴れてきていい?」

少女が倍以上はありそうな刃先が波打った槍を持ちながら飛び降りた。

「ふん、子供が粋がるな!そんな小さい身体でそんな槍が振れるものか、女子供だからと容赦はするな!殺せ!」

「だぁ~れぇ~がぁぁぁああチビッ子かああああああああ!」

少女が吠えた…もとい吼えた、すると近くに居た兵士10人ほどが上半身だけ舞い上がる。

「身長が低いからと馬鹿にするなぁ!これでも20歳だあああああああ!!」

吼えながら振る、振る、振る。

「たかが一人に何を梃子摺っておる!、我らが神レギシッダ様に顔向けは出来ぬぞ!」

隊長が喚いているがその勢いに皆が呑まれていた。

「あ~悪いね、そう見えても俺達元勇者だからな、甘く見るなよ?」

「な…では、貴様ら魔族か!?…たかが二人!意地でも逃がさぬ!」

「それとな…2人じゃない」

すると手を上げた瞬間門の奥から狼の群れと二足で走る犬顔の化け物が向かって来た。

「魔族軍だと!?げ、迎撃準備迎撃準備ぃいい!」

だが、思わぬタイミングでの襲撃に混乱していて動きはバラバラだった。

「おい、シュン!今のうちに逃げな!」

その言葉と同時に門へ走り出す。

「いいか、門を出たら東に向かえ!出て左手だ!後で追いつくからそれまで死ぬなよ!」

何人かがその言葉に反応して俺の道を塞ごうとするが、正面に居るのだけを峰打ちで昏倒させる。

左右に居るのは全て能力に任せた。

門を出てすぐ左手に曲がり走り続ける。

街道などは無く一面が平野だった。

どれくらい走っただろう?

辺りは夕暮れになっていた。

「はぁ…はぁ…喉が渇いた……あと、お腹も空いたな…」

だが、どこを見渡しても湖もないし木も見当たらなかった。

「どこまで行けばいいんだ…というか、ここ何処だよ…」

先ほどまでがむしゃらに走っていたから気付かなかったが俺は東に向かっていたのだろうか?

とりあえず、休みたい…走るのを止めて回りを見ながら歩き始めた。



辺りが暗くなり月明かりだけを頼りに歩いてる頃森を見つけた。

空腹とかが気になったが、とりあえず、休もうと木に腰掛ける事にした。


何時間か、もしかしたら数分だったかもしれない。

休んでいると森の奥から獣の声が聞こえてきた。

「なんだ…野犬か…?」

けれど、この世界に犬なんて居るのか…

ふっと街を飛び出す時の光景が甦る。

体長2メートル近くはありそうな大型の体系に獣の顔をした人型の化け物

あれが魔族なんだろうか。けれどここは人間の領土だ…ではこの音は…?

立ち上がり森から少し離れるとソレは現れた…

見た感じは猿みたいに見えなくもない…だけど異常な身体の大きさだった。

4メートルぐらいはあるんじゃないかと思われる巨大な身体

それだけではなく、肩からは蛇が生えていた。

「なんだよこれ…」

どうやら、あの森がこの化け物の領域だったみたいだ。

俺をジッと見て唸っている…

「グルルルルゥ…」

どうやら、襲ってはこないのか森の入り口に立つが襲ってこようとはしていない。

「グガァッ!!!」

だが、吠えた途端化け物の目の前に火の玉が出現してこちらに襲い掛かってきた。

「な、魔法!?」

火の玉はこちらに飛んできて当たる瞬間

何かが身体を抜ける間隔と同時に火の玉が弾けて消えた。

消えると同時に化け物が飛び掛ってくる。

「こんな化け物とどう戦えってんだよ!?」

逃げようとするが明らかに自分よりも素早い。

後ろを向いた時にはすでに回り込んで居て腕を振り下ろす所だった。

「死にたくないっ!」

少しでも傷を受けないように避けようとして体勢を崩すが右手が勝手に動いて剣を取り相手の手を受け止めた。

「グギャアアアア!!!」

自動防御のおかげで命拾いをしたみたいだ。

同時に化け物の手には薄い切り傷ができたようで完全に敵意をむき出しにしている。

だが、ここで諦めて死にたくはない。

殺せるとは思えないけど易々と死ぬつもりもない。

精一杯抵抗はしてみる。

「元の世界に戻る前に死にたくなんてない!」

「グギャアアアア!!!」

俺が前に出るのと同時に化け物も飛び掛ってくる

化け物の右手を突き出すのと同時に右肩の蛇も襲いかかってくる。

「くっ!」

なんとか盾で耐えようとするが、自動防御が発動して蛇を切り上げた直後盾で横から殴った。

「ギィィギャアアアアアア!!」

自動防御のおかげか、化け物の右肩の蛇は吹き飛び右手も軸をずらされ転倒しながら悲鳴をあげている。

横が丸見えの状態を狙い横っ腹に剣を突き刺す。

「オラアアアアアアアアア!」

だが、刺される前に飛び跳ね間合いを取られた。

「ガッグルルル…」

どうやら、予想外の強さに警戒をしているようだ。

「ガァッ!!」

吠えるとまた目の前に火の玉が出現し襲ってくる。

「くそ!またコレか!?」

今度は横に飛び回避するが、着地した時には既に目の前に居る化け物

「ガアアアアアアアア!!」

体勢も崩れていて間に合わないと思った瞬間

剣が化け物の眉間に突き立て刺さった。

だが、勢いは止まらず体当たりを受けるが盾が受けてくれたようで吹っ飛ぶ衝撃しかこなかった。

それでもかなりの威力だったらしく数メートルは飛ぶ身体…

地面に当たった瞬間に俺の意識は飛んだ。

7話目了です。


シャルのキャラはもう少し立たせてから死なせた方がいいかなぁと思いましたが。

まぁ、死んじゃった者はしょうがないですよね…


そのうち番外編みたいなのでシャルとか出てくる話とか作った方がいいかな?

一応色々設定はあったのですが、立てられなかったのが残念です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ