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番外3─ココスの受難①─

今回はココスの視点となります。


作中で3ヶ月程ココスとシュンが離れる事になるので。

こうゆうのも面白いかなぁ…と…

なるべく時系列は同じぐらいだと思ってください。

むむむ…寝顔も素敵ですが…

人が湯浴みをしている間に寝てしまうなんてひどい話です!


はぁ…まぁ、私も至らぬ所は多々あるので強く言えないのが悔やまれますが…


とりあえず、寝ますか…


たぶん、シュン様はベッドで私を寝かせる為に椅子で寝ているのでしょうね…

上司なのに、部下である私をそうまで思ってくださるなんて…

なんと、心優しい御方でしょうか。


押し倒されても私は別に困らないと言うのに…

まるで、私を女性として見てくれないシュン様の無神経さには少々腹が立ちます…

シュン様が今回は絶対悪いのでベッドで寝かせてもらいましょう。




ね…眠れない…

うう…シュン様の寝息が気になる…

寝返りだけだとわかっていても擦れる音でビクついてしまう…

な、情けない…私も士官補佐です!

ま、まぁ時間は3ヶ月もあるのです!

その間にお近づきになって…ウフフ…


よし!そうと決めたら寝ちゃおう!うん!


「んー…コ…………ティ…リディ………ヒナ…リョ……ササ…ヒュー……」

夢を見ているようですね。

……私の名前は呼ばないのでしょうか…

「ジー…デルミ………ナン…俺頑張る…から…」

私の名前は…?

もしかしてシュン様は私の事が嫌いなのですか!?


ひ、ひどい…出会ったあの日にあんな事までしておいて…

うう…許すまじ…


……っは!、落ち着きましょう…うん!

しょ、所詮寝言です寝言!

たまたまですよね!


よし!寝よう!うん、寝よう!




うう…変な夢を見てしまった…恥ずかしくて思い出したくもない。

それもこれもシュン様が…

シュン様は起きたのかな…?


まだ寝てるようですね。

それにしても、寝心地が悪いのかかなり顔を顰めてますね。


「シュン様…?朝ですよ?」

「んー…」

起きない…

「シュン様ー?」

「んー…」

起きませんね…

「朝ですよ!起きてください!」

「っさい!起きるわ!」

怒鳴られた…ええ…?

けど、起きてないし…うう…

想像とぜんぜん違う…


そして、かなり怖かったです。

夢の同じ部屋で生活なのに…


とりあえず、顔でも洗ってきましょう…うん…へこんでなんかいませんよ…


顔も洗ったしスッキリしましたし!


部屋に戻るとシュン様も起きてますね。

「あ、ココスおはよう」

怒鳴っといてそれですか!?

ちょっとイラってきましたさすがに…


「シュン様…?覚えてないのですか?」

怒鳴った事を。

「え?何が?」

………

守るべき方ですが、さすがに怒ってもいいですよね。

「なんか機嫌悪いけど何かあった?」

その張本人が聞きますか!?

「なんでもないです!」

「あ、はい……?」


むう…本当に覚えてないのですか。

ワザとだったらもっと悪いですが!


「あ、あの朝食をお持ちしました…」

「はーい、ありがとうございます」


二人分の食事をシュン様が受け取ってテーブルにおいてくれた。

ううん…やっぱり何時もどおり優しい人です。


「?…食べないの?」

「食べます!食べますよ!」

うん、レグ国の食材はおいしい。

レグ国の食材はほとんどこの国でしか手に入らない物ばっかりですが、どれもとてもおいしい。

今日も頑張ろうという気持ちになれます。




『おはようございます、国王様がお待ちです』


「今行きます」

ああ、シュン様が行ってしまう…

「じゃあ、行ってくる」

「ええ、どうぞ」

…なんて素っ気無い返事をしてしまったのでしょうか…

けど、今日からはここで数ヶ月暮らすのですから…!


『ココス様の準備は整いましたでしょうか?』

どうやら私にも用があるみたいですね。

「大丈夫ですよ」

『じゃあ、失礼しますっと』

『あ、こら!』


扉を開け、二人のデュラハン族が入ってきました。

『お初にお目にかかります、自分は首都守備隊隊長のルーカスと申します』

『えー…同じく、首都守備隊副隊長のゴルハーゲンです』

守備隊の隊長と副隊長ですか…

「初めまして、アグニス国第三大隊士官補佐のココスと言います」


『いやぁ、我が国で金狼姫をお目に掛かれるとは思ってなくて上がっちゃいますわアッハハ』

金狼姫?

「金狼姫って?聞いた事初めて聞くのですが」

『あれ?本人は知らないんですかい?アグニス国の金狼姫と白狼王は有名ですぜ?』

たぶん、私の毛が金と珍しいから付いた名でしょうか?白狼王というと…もしかしてササ…?

ま、まさか!

『いやぁ、金狼姫のココス様と白狼王のササ様の話を聞いて憧れない者はいないっすよ』

ササがそんな有名だったなんて!?あの馬鹿が!?


『初陣から、士官補佐を勤め、尚且つ相手のノワルの百人長や十人長を千切っては投げ千切っては投げ…人間の子供なんて泣いてる子供も泣き止む程の勇猛さと聞いております』

ええ…そんな事した覚えは…

確かに初陣の時に十人長を2人程百人長を3人ほど討ち取ったけど…


『ああ!もう、その話はいい!

 えー…ココス様、よろしければ我が隊の兵士達を指導なさってはくれませんか?』

なるほど…同盟国なのだから、そうゆうのは当然ですね。

「わかりました、では、案内お願いします」


『任せなって、にしても綺麗な毛してるなぁ、今度何本かお守りにくれない?』

な…なんという事を言うのですか、この者は…

『馬鹿!お前は、ラウルフ族の毛をもらうという事は嫁ぐという事だぞ!わかってるのか!?』

嫁ぐというか、一生着いていきますといった意味なので…まぁ、似たようなものだけど…

『え?そうなの…?じゃあさすがにもらえんわ、残念…闇の中でも輝く毛なんて見たことないからなぁ』




はぁ…シュン様は大丈夫でしょうか…

『お?思い人でも居るんですかい?誰かの事を考えている顔でしたが』

なんと、勘のいい奴か!

『いい加減にしろゴル!失礼が過ぎるぞ!』

『へいへい、お堅い奴だねぇ本当』


このゴルハーゲンという者は恐ろしい勘の持ち主なのだろうか?

何故私の考える事がわかったのだろう。


練兵場に着くと500人程の兵士が並び待っていた。

『待たせたな、じゃあ、隊長殿から挨拶がある、黙って聞かないと首たたっ切るぞーまぁ無いんだけどな』

『ったく…あー、おはよう。

 今日は遠くアグニス国から金狼姫のココス様が視察に参られた。

 お前らゴルの様に失礼の無いようにしろよ。

 …もし失礼な事を仕出かしたら…頭を切るからな』

『『っは!』』

『おー怖い怖い』


たぶん、怖いと言ってたのはゴルハーゲンだろう…


それにしても…彼らの練兵度は高いな…

我が軍のコボルト達が同数の場合相手にならないかもしれない。

やはり、もっと厳しくしないとダメか…?

元々コボルト達は臆病な種族だ。

強い者や理解の範疇を超えた者にははむかう事などそうそうできない。

だが、それでも誇りを持つコボルトも居る。

不動将軍率いる第二大隊の士官にも居るしな。

コボルト達は皆彼をコボルトリーダーとして尊敬しているみたいだし。

皆彼のように強くなれるのにな…勿体無い。


『ココス様、何か不満でもございますか?

 気付いた点など御座いましたら指示してください』

どうやら勘違いされたみたいかな。

「いえ、皆素晴らしい腕を持っていると思います。

 我が軍が同じ数で戦っても勝負にならないでしょう…」

『そう言っていただけると光栄です…ですが…』

彼が言いたいことはわかる。

絶対的に数が少ないのだ。

兵士の大半はデュラハン族、そして少数のバフォメット族。

五百の兵士…

確かに五百程度の相手ならほぼ損害を受けずに戦えると思えるような力量を皆備えている。

…だが、それが五千や五万となったら…それは覆しようの無い力の差となる。


「確かに…数は大事です、ですがその足りない数は同盟国の我等アグニス軍が居ますから」

『心強いお言葉ありがとうございます』

彼の国を守りたいという真っ直ぐな気持ちはとても心地のいいものですね…

『かーっ!なんつうか暑苦しいねぇ…まぁ、一人一人の力量を上げるためにもだ…』

ゴルハーゲンが木剣を私に差し出してきた。

なるほど…

「わかりました…まだ未熟の腕ですが、お相手致しましょう」

私も最近は活きのいい相手と戦ってなかったし丁度いいかな?

それに…シュン様への鬱憤もここで晴らすとしましょう。


「では、誰から相手になりますか?」

練兵場の中央をデュラハン達が大きく円陣を組み私はその中央に立つ。

『んじゃあ、俺からと行きますかぁ、いきなり倒しちゃってもお前ら恨むなよ』

血気盛んな男だな…

彼は木の鎌を構える。

「では…参る!」

低い姿勢から土を這う様に突っ込む。

鎌という特性上攻撃方法は薙ぐか突くかしかないからだ。

『っち!いきなり嫌な攻め方する…ねっと!』

彼もかなり低い姿勢になりその体勢から横に鎌を薙ぐ。

「っ!?」

剣を地面に突き立て剣を柱に逆立ち状態になる。

『うぇ!?』

鎌がそのまま剣に当たる瞬間、その力を利用しゴルハーゲンの後ろに着地。

『うらぁっ!』

鎌を止めないまま振りぬくが体勢が崩れている。

「甘い」

軽く避け、空いた横腹に剣を叩き込む。

『ぶべらっ!』

見事に決まり、円陣の人ごみに吹っ飛ぶ。


『見事っ!』


『すげぇ…』


『う、美しい』


黙って見ていた兵士達も一瞬の攻防に息を飲んでいたようだ。

「ふぅ…ゴルハーゲン殿は勢いに任せすぎです、だから隙が生まれる」


その後、あまりにも希望者が多すぎるためくじ引き等という物で対戦相手を決められていた。


勝者には金狼姫のキスがもらえるとゴルハーゲンが言ったせいで余計彼らのやる気が高くなっているほどだ。

もっと痛めつければ良かったかな…

だ、だが…私は全てシュン様の物!おいそれと渡せる物ではない!


1番を引いた物はあたりくじではあるが勝ち目がほぼ0という意味で嘆いている。


「では、よろしくお願いします」


『よ、よろしくっす…』


とりあえず、攻めさせてあげようか。

待っていてもどうやら先ほどの戦いが尾を引いて攻められないみたいですね…

「攻めなくては勝てるものも勝てなくなりますよ、流れは自分で引き寄せる物です」

『は、はい!』


突っ込んでくるが、明らかに動きが悪くなっている。

「それでは無謀というものです!相手をよく見て、相手に合わせ隙を見つければそこを突く!」

相手が振り上げた所に柄を突き、剣を吹っ飛ばす。

「と…まぁ、こんな感じです」

『あ、ありがとうございました…』

5人ぐらいまでは同じようなやり取りが続いた…


6人目の人はデュラハン族では珍しく槍を使っている者だった。

『では、アイルーク…老骨の身でありますが、御教授頂く…』

彼は…強いなと思った。

力なら私より上だろう。


『では…参る!』

剣の射程外から槍の下段突き。

変に槍を払うと大きな隙となる…

それに受けにくい下段…避けるしかないか。


『セイッ!』

下段に意識を向けている所に胸元への突き。

剣で槍の軌道を逸らし、身体を半身にし流す。


『そこう!』

それをわかっていたかのように、突きから引かずに横へ薙ぐ。

「ぐっ」

何とか剣で受けるが体勢が崩された。

『フンッ!』

体勢を崩れるのさえ予想内の様に連打のつきを放つ。

明らかに強い…それに早い。

「久しぶりに楽しい戦いが出来そう…ですね!』

こちらも負けじと連打突きを放つ。

剣先と剣先が当たりお互いに弾きあう。


『ぬおっ!まさかこれさえ防がれるとは…!?』


「安心してはダメです…よ!」

一息で槍の間合いの内側へ飛び袈裟切りの体勢で止める。

『ふ…参りました…』

「…ふぅ…いい勝負でした」


さすがに少し疲れたな…

息を整えようとすると、好機を思ったのか次の者が中央に歩いてくる。

はぁ…いい歓迎の仕方ですね…


だが、強いと言っても所詮一兵士だ。

副隊長程の強さを持つ者は居ず、49人程を倒した。

「さすがに疲れましたね…」

これが始まってから1時間強、さすがに休み無しは疲れるなぁ。


『では…最後に私が、お相手を仕ります』

ここに来て隊長さんが相手かぁ。

「よろしくお願いします」

『よろしくお願いします』

どうやら勝つ自信はあるようだ、身体も強張った風には見えない。

こちらは疲れが溜まっている。

若干不利か…


『おー、キスがもらえると思ってやる気だしてんねぇ!このムッツリスケベ!!』

これは…ゴルハーゲンか…?

ムッツリスケベと言われ、とたんに頭に血が上る。

その反応が面白いのか、他の兵士達も野次を飛ばす。

『き、貴様ら!今は真剣勝負の最中だ!邪魔するんじゃない!!』

「確かに、その通りですね…真剣勝負の最中に周りを気にしてる場合ではないです」

つい、意識を周りに飛ばしたと感じた瞬間に這う姿勢から突っ込み、腰へと突きを放つ。

『し、しまっ!』

「あっ……」


とても鈍い音と、何かがつぶれる音が響いた。

基本彼女はフサフサのモフモフです。

毛深いとか言わないであげてください。

一応美人で有名な設定です。

犬顔なのか、人顔なのかは読者様方にお任せします。

そうゆうのも想像で面白いかな(略


一応これはその2です。

時間的にはシュンが日記を読んでる最中ぐらいの時間ですね。

実力的にルーカス>アイルーク≧ゴルハーゲンな感じです。

ルーカスは真面目そうに見えてムッツリです。

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