25話目─詠唱魔法─
25話目です。
ついでに、番外として後ほど更新します。
「ふぅ…」
思ったより短かったかな…?
というか、所々切れてて日付が飛んでたりしてるな…
それにしても…アルゴスという人物が使っていたという漆黒の剣。
けど、一番最後のページのあの文章は…?
「アイルーク…」
『!?…シュン様…何故父上のお名前を…?』
「え!?アイルーンさんのお父さん?」
確かに名前は似てたけど…というか、この世界って何年なんだ…150年前の将軍がアイルーンさんのお父さん?
アイルーンさんはどう見ても20半ばといったぐらいにしか見えなかった、生首は。
「この本の最後にアイルーク…いや、アイルーンのお父さんの名前が書いてあったので。
それと、今って何年でしょうか?」
『今ですか?623年の茶月の18日ですよ。
そんな事より!何故その本に父上の名前が!?』
今は623年…45年前か。
アルゴスさんが生きてた時から143年もたっている本だったのか…
『シュン様!?』
っと…そういえば聞かれてたな。
「えっと…息子がアルゴスって人に殺されたとか。
戦争後狂ったのは何故かとか。
アルゴスが探していた漆黒の剣フルンティングとは何かと色々書いてあった」
息子という単語に何か驚いたような雰囲気を漂わせるアイルーン。
もしかしたら、息子の存在を知らないのだろうか?
『息子…ですか…その者の名は…?』
「アークイルと書かれていたよ」
少し考えた後、アイルーン失礼しますと部屋を退室しようとした時。
「おや…私が起きるのを待っていてくれたのか…?」
どうやら国王様が起きたようだった。
『…!…国王様おはようございます、よくお眠りになられてたようで』
「そうか…どれぐらい寝ていたか?」
『6時間程になるかと…』
6時間!?嘘だろ…?まだ1時間も経ってないと思っていた。
「俺そんなに読んでた…?」
『?…ええ、何を言っても反応なかったですので』
「この気配は…なるほど死属性を学んでいるのですね…」
気配でわかるのか…もしかしたら五感がないぶん、六感でも働いてるのか?
「はい、何も知らないままというのは嫌だったので」
俺の言葉を国王へ伝えてくれる。
「なるほど……私から教えられることはお教えしましょう」
「魔法について、どれ程知っていますか?」
魔法について…確かコウタが本来詠唱魔法が必要と言ってたような気がする。
「ええっと…敵を倒す為の魔法には詠唱が必要だとぐらいしか…」
簡単に言うと詠唱とは唄のような物だと言う。
起源は何処かなどはわかっていないが、この詠唱はこの大陸全て共通という事。
そして、死属性魔法も少ないが国王様が教えられるというのだ。
魔術書は国王でさえ開けられない為内容はわからないと言っていた。
「勇気と自信があるのなら、開いてみるのもいいでしょう…」
そして、唯一国王が使える攻撃魔法を一つ教えてくれた。
国王様から下級死属性魔法の一つを教えてもらい。
「大事なのは想像です、詠唱を唱えながらその効果の程を想像するのです…」
その直後に国王はまた眠りについたようなので、魔法を実践してみる事にした。
「僕の歌を聞いてくれませんか
お金はいりません
物もいりません
ただ聞いてください
終った時にわかるから
【アオス・シュテルベン】」
うまく行かない…
想像か…この魔法は相手に送る鎮魂歌だと言っていた。
あまりしっくりこないが、やってみる。
女性が悲しげに歌っている姿が脳裏に浮かぶ。
「僕の歌を聞いてくれませんか
お金はいりません
物もいりません
ただ聞いてください
終った時にわかるから
【アオス・シュテルベン】」
唱えると、歌が聞こえ始めた。
綺麗な歌声だ…
けど、もの悲しい…
涙が止め処なく流れ出している。
止めたいとは思えない。
それだけ綺麗な歌声なのだから。
『シュ…シュン様…』
その歌声に酔いしれていると、アイルーンさんが苦しそうにもがいている。
もっと聞いていたい衝動にかられるが心の底から滲み出る魔力を切り、アイルーンの元へ駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
『す、少しすれば落ち着くと思います…が…』
どうやら俺の魔法で苦しくなったらしい。
アイルーンは俺と反対側の部屋のすみにいたのに…
範囲が結構広いのか…それと無差別で攻撃してしまうのか…?
「すいません、まさかそこまで届くとは…」
『国王様もそうは言ってませんでしたから…』
アイルーンでさえ苦しんだのだ、国王様は!?
『国王様の場所には一応魔法を遮断する結界が張っております。
それでも国王様が出す死の気配は遮断しきれないのですが…』
それもそうか…そうゆう技術がなければ、戦争だって武器等必要ない。
魔法があるならそれだけで戦いは決まるものだ。
魔法を使うのは危険と思い、本を読む事にした。
ノートに関してはたいした情報は載っていないだろう。
30年前に無くなった魔術部隊の一人の日記を手に取る事にした。
この日記も後半になるとフルンティングを探す内容となっていた。
フルンティングとは一体なんなのだろう?
手にした者を魅了する剣。
怖さ半分、探究心半分といった所か…
「アイルーンさん、漆黒の剣って知ってますか?」
『いえ、聞いた事ないですが?』
現将軍のアイルーンさんが知らない?
やはり、妄想なのかな?
「それと、俺がこの本を読み始めてから何時間ぐらいたった?」
『4時間といったところでしょうか?』
4時間…まただ、時間の流れがおかしい。
『お食事の方も持ってきてありますよ。
まだ、大して時間もなってないですので暖かいかと』
どうやらもう夜になってるらしく、夕食の時間のようだ。
「国王様は?」
『…既に食が喉を通らない状態ですので…』
食事を取れないぐらいに悪い…痩せた体…
それだけ重い病という事なのかな。
その後も日記を1冊読み気付けば夜遅くとなっていた。
アイルーンに寝床を用意してもらい、床に就く。
『では、私は用事がありますので…失礼します。
翌朝、朝食をもってこちらに参りますので』
「ああ、じゃあおやすみ」
何か忘れてる気がするけど…
まぁ、たいした事じゃないよね。
25話目了です。
なんか、短くてすいません。
ちなみに忘れてるのはココスさんの存在だったりします。
黙ってどんどん話進めちゃってるのでココスさんはたぶん激怒していることでしょう。