21話目─リッチウィアード─
アグニスを出発して10日が立ち現在レグ国の国境を越え、程近い元村と言った盆地で交戦中だったりする。
どうして交戦中かと言うと。
昨日国境を無事越えバフォメット集落と言う集落についた。
そこには人口20人いるかいないかと言ったぐらいに小さな集落でヒューリーの生まれ故郷でもある。
その日は集落で一晩休む事にして、今後の確認をしている時だった。
「死霊墓場?」
「ええ、通称リッチウィアードとも呼ばれています」
なんともB級ホラー映画にありそうなネーミングだ…
「それで、明日はそこに泊まる予定なの?」
そうですとココスが言う、その時ちょうどバフォメット族の村長という方が来訪したらしく案内してもらった。
「お初にお目にかかります…私バフォメット集落の村長しております、クルーンと申します」
深々とお辞儀をし、こちらも同じように返す。
「予定では、明日は死霊墓場で休むと思いますが…もしかしたら、止めた方がよろしいかと存じます。
ここ数日ですが、死霊達が活発化しておりまして…ここ数日で墓や畑の荒らし等が頻発しております…この集落には光が届きますので敷地内であれば大丈夫なのですが…」
光が届く?どうゆう事だろうか。
明日になればわかる事だろう。
村長さんは死霊達が落ち着くまで待つべきだと村長さんは薦めてくれた。
「お気持ちは嬉しいのですが、こちらも急ぐ身ですので…お気持ちはありがたくいただいておきます」
「…そうですか…わかりました、アグニス国様方のご無事を祈っております」
という事があったのだ…
ちなみに光が届くというのは、集落から少し進むと森がありその森は光を通さない程に暗いのだ。
なので死霊達は死に絶えずこの世界に居ると言うのだ。
次第に霧が出てきて、徐々に濃くなってゆく。
そして、進む事数時間、チャプンと足音が変わり何かと外を見ると沼地に入り込んだようだった。
ココスがこの沼地全体が死霊墓場だと教えてくれたのだが、その説明中に。
女性の悲鳴の様なものが聞こえたと思ったのだ。
何事かと身を乗り出した瞬間、地中から槍が飛び出す。
敵襲だと即座に思考が巡り抗戦せよと命令を飛ばすが、コボルト達は怯えまったく闘える状態ではなくなっていた。
それもコボルト族は臆病なのが多いのだ。
一般兵の大半…コボルト族は恐慌状態に陥っていて戦力にならず。
現在戦ってる戦力は、リディや俺達士官組と兵卒のラウルフ族数名のみとなっている。
その後、敵は時間を増すごとに増えていき。
敵勢力は骨だけで動く 【 彷徨う骨】、【屍食鬼】や死神の様な格好をした【死霊】と女性の幽霊みたいな【死魔女】、それに老若男女の【 動く死体】や如何にも呪われてますといった風貌の【致死人形】とファンタジーでよく居る死霊軍団大集合といった感じだ。
動く死体や子供人形は動きも遅く、見た目以外はそこまで怖くはない。
だが、屍食鬼や死霊、死魔女は別だ。
屍食鬼は動きが素早く戦力にならないものを優先に襲う習慣があるらしく、何かの影に隠れ隙を狙い襲いかかってくる。
死霊や死魔女は身体能力も然ることながら魔法を使ってくるのだ。
「…っく…きりがない…それにこの臭い…ラウルフ族には少し厳しいです」
│動く死体や屍食鬼は身体が腐っているためか腐臭や死臭等の臭いが鼻につく。
「ヒューリー!、何とか切り抜ける方法とかないか!?」
ヒューリーは恐慌状態となったコボルト達を守りながら戦っている。
「………」
首を横に振る、そしてまた屍食鬼と彷徨う骨を数匹倒す。
だが、 彷徨う骨が土の中に潜り地中から攻撃してくるため馬車の中に居るコボルト達は戦死者こそ出てないが被害を受けてるのが現状だ。
このままじゃジリ貧だ…
多少無茶でも突破して振り切るしかないか…敵で素早いのは死食鬼ぐらいだ。
「よし!このまま突っ切る!魔法を使えるのはなんでもいい!目くらましになるよう使え!
その後すぐ歩兵は馬車に搭乗!士官は何時もどおりの陣形で!ココスの闘狼は二人乗りできるか!?出来るなら俺も殿に着く」
「はっ!」
「おう!」
「でつ!」
「………」
指示を出した直後に、ココスが火球を、ヒューリーが雷、ジーノは土を盛り上がらせ、デルミンが木を生やし壁を作る。
「…よし!今だ!」
各自、自分の乗り物に搭乗にすぐ出発をする。
沼地を超え。
10分ぐらいだろうか、全速力で走り暗い森の中を走る。
「ふぅ…なんとか撒いたかな…?
けど、ヒューリー…レグ国ってああゆうのが多いのか?」
「………」
首を横に振り否定する。
「私も死霊に襲われるのは初めてですね…屍食鬼なら何度か交戦した事はありますが…何か異変でもあるのでしょうか?」
「…不明……」
少しを不安が過ぎるが考えすぎだと思い足を進める事にした。
しばらくすると、馬の嘶きが聞こえてきた。
「これは…ゴッシュ・パワーの泣き声…まもなくデュラハン集落へと到着ですね」
ココスが安堵したように緊張感が少し抜けた声を出す。
一安心と思った矢先、後方からガサガサと草を掻き分ける音が聞こえ始める。
獣かと思ったが、グールだと確信し、急いで集落に馬車だけ入らせ士官達を殿におくよう指示する。
だが、また馬の嘶きが聞こえたと思ったら屍食鬼は逃げていった。
「逃げた…?」
あの馬の嘶きが聞こえたからか?
「とりあえずは集落へ入りましょう…さすがに鼻が辛いので洗いたいです…」
そう、ココスに言われデュラハン集落へ入る事にした。
21話目了です。
連続3話更新となりました。
ちょっと急ぎ目に書いてたので説明不足等あるかもしれないです。
疑問に思ったこと。
誤字脱字、感想ありましたらご一報ください。
駆け足ですが、もうすぐでレグ国首都に到着です。