17話目─第三大隊─
新キャラが多い!
うまく生かせればいいなぁ…
今回は無駄に長いです…すいませんorz
翌日、起きて部屋を出るととても明るかった。
ん…?あれ…?確かアグニス城の地下で寝たよね…?
明るい…?何故?
空を見てみると地下はドーム状になっていて、その中央で光る巨大な球体が浮いていた。
人口太陽…?どうゆう原理なんだろ…魔法といっても万能すぎなんじゃ…
「シュン…様ですか…?」
呼ばれた方に向くと大きい牛が立っていた。
「はじめまして、僕はアーナンと言います、リョウ将軍の指示でお迎えにあがりました」
「あ、ああ…ありがとう、新しくリョウの大隊に入るシュンです、よろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
余りにも声が高かったので、一瞬女性かと思ってしまった…
「えっと…それで迎えって?」
「はい!朝食は第三大隊兵舎で挨拶も兼ねて行うそうですので!お迎えにあがりましたです!」
そういえば、予定は昼だからな、右も左もわからなかったし、正直助かる。
「そっか、ありがとう」
「はい!で、ではこちらです!」
それにしても、でかいな…自分の身長は低いと思っていないけど目の部分がちょうど腰あたりとは…3メートル近いんじゃないか…?
「あの、僕の顔に何かついてますか?」
「ごめん、身長高いんだなぁって思って」
「あ!す、すいません!」
どうやら悪く受け取ってしまったらしく中腰で歩いている…
「いや、気にしないで歩いてください、ちょっとビックリしてしまっただけなので」
すると、中腰は止めたものの頭を項垂れてしまった。
「すいません…」
「何も悪くないですよ、その巨大さは誇れると思います!前にあったミノタウロスの人だってそんな大きくなかったし」
どうやら体格は大きいが気は滅法弱いみたいだな…
そして、ほぼ中央部にあるエレベータについた。
気が着かなかったけど柱を中心に何個もエレベータがついてるんだな。
そのうちの一つに乗り登っていく照明?の間近だったからもっとまぶしいと思ったのだけど、乗った中は暗く光を遮断してくれているようだった。
「にしても…これすごい技術だなぁ…」
「この昇降機はアグニスができる前からあったのですよ」
どうゆう文明なんだ…そんな昔からって…
昔の技術は今よりもすごいのか…
興味深いが…たぶん俺が理解できるとは思えなかったのでその話題は止める事にした。
「そういえば、アーナンさんリョウ達の部隊って何人程なんだい?」
「えー、大隊長のリョウ将軍をはじめ、士官と兵卒を合わせて三万ほどでしょうか」
「さ…三万!?」
予想外だ…そんな数だったなんて…
精々千人とかだと思ってたのが甘かった…
それと、士官が自分も含め現在11名と大隊長のリョウ様と本日編入されますシュン様となってます」
士官は11人か…いきなり入る俺が士官で不満とかでないかな?
「基本は二人で一部隊を指揮して、計六部隊で編成されてます」
という事は、ココスが補佐して俺が指揮するのか…。
俺に出来るのか…?部隊の指揮なんて精々2回しかない、それも数人規模だ…
不安だ、不安すぎる…
「シュン様?到着しましたよ降りましょう」
「ん?…あ、ああ!」
城を出て、城門を潜るアーナンさんが言うにはあそこは魔王様直属、王妹直属の近衛師団の宿舎だったらしい。
基本的に各将軍は前線や、要所での防衛で普段いないから場内ではなく街の中に宿舎があるらしい。
城内は近衛兵が城外は手漉きの軍団兵がという事だ。
そのため、最低一軍団はアグニスに駐屯しているらしい。
現在は第八将軍と第三将軍のリョウ達がいるんだそうだ。
宿舎に着くとその大きさに驚かされた。小さな城並の大きさなのだ。
確かに兵員数三万なのだからこれぐらいは必要なんだろうか?
ちなみにこうゆう城が街中にあと8つあるらしい。
各軍団毎に用意されているみたいだ。
門をくぐるとすでにリョウをはじめ皆が待っていた。
「おー、やっと来たか準備は出来てるぜ」
「シュン様おはようございます」
「シュン殿おはようでゴザる」
「シュンちゃんおはよー!」
中庭にはリョウ達、たぶん士官だろう合計10人の人達が待っていた。
「シュンみろよ、この牛肉!口の中で蕩けるんだぜ!?質はやっぱり養殖より天然もんだよなぁ…」
「その牛は朝早く某が取ってきたでゴザるよ」
そこには牛肉みたいな肉の塊だった、確か前に干し肉で食べた気がするなぁ。
「シュン様!この鳥肉もどうぞ!私が取ってきました!」
鳥の丸焼き…?というか、足が三本あってカラスを連想する顔
「なぁ…これって…八咫烏…じゃ…?」
「俺も初めて見たときビックリしたよこれ、実在したんだなぁ」
いやいや…その反応はおかしいだろ…
というか、日本の神話に出てくる神聖な鳥のはずなんですが…
「もう…ちゃんと挨拶してからじゃないとダメだよ!」
と、ヒナが注意して気付いた。そうだった…
「そういえば忘れてたなハハハ…じゃあ、本日より第三大隊に編入する事になったシュンだ、種族は人間、今後はココスを補佐に置いて一部隊の指揮をとってもらう」
「シュンです、力至らない所もあると思いますがよろしく」
頭を下げると拍手の音が聞こえてくる。
そこまで心配はしていなかったけれど、歓迎はしてもらえてるのかな?と思っている矢先。
「ふん…本当にその小僧がワシ等の上司に値するのか?」
頭を上げ声が聞こえた方を向く、身長は160センチぐらいだろうか?髭を生やしたお爺さんのようだが。
その姿は筋骨隆々で弱そうなイメージ等全く無くボディビルダーの様な体型をしている。
「なんだー、不満か爺?」
「おおいにな」
不満だと俺の顔を睨みつけてくる爺さん。
「貴様!シュン様に失礼ですよ!」
「ふん、ワシは自分の目で見たモノしか信じんよ」
まぁ…予想通りだな、殴り合いとかはご遠慮願いたいけど…
「えっと、お名前を聞いてもいいですか?」
「ワシは認めた奴にしか名前は名乗らん」
笑顔で聞いたのだが、つっけどんな態度を取られ少しだけ口元がビクついた。
「どうすれば、認めてもらえますか?出来る事なら喜んでしますが?」
「そうじゃな、ワシと勝負せい」
勝負?予想通りに殴り合いか?
「勝負とは何の勝負ですか?」
「んーそうじゃのう…武器を使ってはお前を殺しそうじゃし…」
物凄く馬鹿にされてる感がするなぁ…けど、ここまで虚仮にされて黙ってるほど俺も人間できてない、
「いいですよ、武器を使った勝負でも」
「ほう、怖い物知らずよのう…」
「あー…止めとけ腕切り落とされるのが関の山だ、そうだな相撲でもやればいいんじゃね?」
リョウ…何故相撲なんだ…
「おお!あれか!?いいのう、ワシはあの闘いが好きなんじゃあ…血が滾るわい」
この爺さん乗り気だ!?
相撲か…円の中で足以外をつければ勝ちってスポーツだったよな。
まぁ、経験はないけど…
という事で、何故か相撲ととる事になった。
リョウは遊びだと言って笑っていたが、あの上半身裸になった爺さんの筋肉は凄い…
過剰なまでの筋肉の厚さ。
腕周りなんて痩せた女性の胴よりも絶対に太い。
出鱈目でしょ…足だってすごい筋肉だ。
「シュン、準備はいいかー?」
「あ、ああ…」
「大丈夫だよ~自分を信じろ」
そう言って魔法で作られた土俵に上る。
「じゃあ、ルールを説明するぞ、この土俵から落ちるか足より上の部分が地面に着いた方の負けだ。
魔法や武器の使用を禁止する」
その言葉の後、登れとリョウの合図に従って土俵に上る。
あちらの爺さんも一緒に登り。
木の枝で引いたような線に立ちテレビで見た様な真似をする。
「小僧如きにまだまだ負けんぞ」
「んじゃ、始めるぞ?…始め!!」
その言葉と同時に頭突きの要領で体当たりを仕掛ける。
爺さんも同じように体当たりを仕掛けてきた……けど!
予想通り自分の能力発動で俺の左手が爺さんの右頬に、右手が右側の方に。
そのまま払いのけて、勝負あり。
開始2秒ぐらいで勝負がついた。
予想外に早い決着に倒された本人も何が起きたのかと言った表情をしている始末である。
「予想通りの結果でしたね」
「当たり前だわな」
「次は某と!シュン殿!某と!」
「うんうん、リョウちゃんなら負けるけど、私より強いシュンちゃんじゃあ当然の結果だよね」
とラウルフの集落から一緒に居たメンバーは当然と言った感じだった。
っと…爺さん大丈夫か!?
「お爺さん大丈夫ですか?お怪我は?」
とお爺さんに向かって言うが反応がまったくない、大丈夫だろうか?
「誰が爺さんじゃ!ワシはまだ160歳じゃ!」
ひゃ…160!?
この世界の人って皆長寿なのか…?
「…ジーノじゃ…」
「え?」
「名前じゃ!小僧!ジーノじゃ、種族はドワーフ、仮にもワシに勝ったんじゃ認めないわけにもいかんじゃろ」
あ、名前か…
「あ、はいよろしくお願いします」
「小僧の名前は…」
「え?」
「お主の名前を聞いとるんじゃ!バカタレ!!」
さっき一応自己紹介したのに…
「シュンって言います」
「シュンか…すまなかったな!コレでも食え!」
差し出されたのは、なんだろう?串に蛇みたいなのが刺さってるんですが…
なんだろう…見た目グロテスクなんだけど…
「ワシの取ってきた食材が食えんのか!?」
「い、いえ食べます!」
つい、爺さんの勢いに飲まれて受け取っちゃったけど…なんだろう…これ……
恐る恐る食べてみると、皮はパリっとしていて、肉は口に入れた瞬間溶けた、食べた所を見てみると半透明状に透き通っていた、味は…なんだろう…鳥に似てるかな…?
「うまい……ジーノさん、これなんですか?」
「そうじゃろう!これはな、ミレじゃ…」
ミレ?初めて聞く食材だな…
「あー…それな…蚯蚓だ、シュン」
ミミズ…?あの土の中に居る?
「え、ええええ!?」
「人間はミレを嫌いすぎじゃ、リョウもヒナも食べてみい?」
食べて当然と言った表情で驚くジーノさん…
食用ミミズとかあるとは聞いた事あるけど…
「俺とヒナは遠慮する、ゲテモノを食わすな」
「う、うん…」
止めてくれればいいのに…
「さて、じゃあジーノ主催の催しも終ったし、まだ挨拶してないのはしておけよ」
「お、遅れましたあああ!」
バサッバサッと羽が揺れる音を鳴らしながら少女が飛んできていた。
調度逆光でよく見えないが、鳥の足と手を見る限り、ファンタジーとかに出てくるハーピーって魔物だろうか?
「初めまして、士官補佐してますミランダです!宜しくお願いします~」
「うん、よろし………ぶっ!?」
ちょっ…ちょっと待って…
「…すいません…あの、なんで……裸なんですか…」
「え?ハーピー種では普通ですけど~?」
さも当然とばかりに言われましても…
「ハハハ、シュンは意外と初心だったんだなぁ…」
「いや…さすがに、刺激が…」
「リョウちゃんだって最初は鼻の下伸ばしてた癖に…」
リョウ、お前もか…初心以前に…文化が違いすぎる…
「ご、ごめんそのうち慣れるから……よろしくね…」
「よろしくお願いしますね~」
挨拶はするけど、まともに見れないです…
「次はデルミンの番!」
と、手を上げた子を見ると、ヒナよりも小さい褐色の少女が居た。
「ノーム種のデルミンでつ!士官補佐をやってまつ!」
舌ッ足らずな所が幼稚差を強調している…
「ちなみに年齢は38になりまつ!」
俺より全然年上でした。
「小娘だが、ワシが鍛えたからの、本物よ!」
「お、お爺ちゃん!?」
というか、ジーノさんは皆から爺さんと呼ばれてるんだね…
「では、次は僕ですかな?、ケンタウロスのウラントと申します、以後お見知りおきを」
この人もよくファンタジーとかによくいる半人半馬の魔物だ。
「よろしくお願いします」
ウラントと名乗った半人半馬の人は上半身は人間だけれど、下半身が馬だ。
大きさもかなりの物で2メートル以上はゆうに越えているだろう。
「無いとは思うけど、もし…リョウ隊長を裏切るような事をしたら…射殺しますのでご注意を」
あまり、信用されてないのかな…
「ウラントは何時も疑り深過ぎるでゴザるよ、シュン殿は某もココスも認めてるでゴザるから安心するでゴザる」
「それならいいけどね、それとゴザるゴザる煩い」
「じゃあ、次はミーにゃ!」
と次の子も小さくヒナと同じぐらいだろうか?150センチぐらいの少女だった。
その子は何を思ったか行き成り飛びついてきたって…うわっ!?
「フェルパーのミィにゃ!アンタからは良い臭いがするから好きにゃ!」
「よ、よろしく」
鼻をスンスンしてくる、目とかは猫の目のような瞳で鼻も獣のような鼻をしている。
「こら!ミィ!離れないか!」
「ワンコは煩いにゃ~、獣臭いし嫌だにゃ!」
「……さっさと離れなさい!…この猫風情があああ!!」
ちょちょ!?ココスさん!?こんな所で剣を抜かないでください!
「あー…ほらほらミィ余り困らせると…この干し魚やらんぞ?」
とどこから取り出したかリョウが干した魚をヒラヒラとミィに見せびらかしている。
「にゃ!?それほしい!静かにするにゃ!」
リョウの一言で一瞬で離れた、なんとなく猫を連想させる子だなぁ…
「他は…?っと…忘れてた、あそこで寝てるのは、エルフのキリアだ、女みたいな顔してるけど一応男な、変な気起こすなよ?」
なんというか…前の人の自己紹介が濃すぎて疲れたので突っ込む気にもなれない…
「というか、…この部隊って協調性が足りない気がする…」
「まぁ、リョウがそんな性格だからしょうがないでしょう、それでも闘いの時は任せてください」
皆頷いている、普段はふざけていたり、喧嘩したりしても締めるときはちゃんと締めるんだな…
「んじゃあ、これで終わりか?後挨拶してない奴いる?」
辺りを見渡すがもう皆…皆…?居た、一人居た。
「えっと、リョウ…彼は?」
「ああ、忘れてた、すまんすまん挨拶できるか?」
コクんと頷いてジッと見る身長もあるし格好からすごい威圧感を放っている…
というか…キメラのように見えるんだけど…
「…ヒューリー……」
ヒューリー種のバフォメット…?
「あー…バフォメット種のヒューリーだ、無口な奴だけど、悪い奴じゃないから!」
「ヒューリーさん、よろしく、少し驚いてしまってすまない」
「………」
雄山羊の顔に尻尾からは蛇が生えていたから、キメラだと思ったけど、こんな種族も居るんだな…
この世界はすごいな…改めて驚かされた。
「さて、今度こそ全員終ったかな?」
「俺、ヒナ、ササ、ココス、ヒューリー、ジーノ、デルミン、ウラント、ミィ、キリア、ミランダ、アーナンと今日編入したシュン、で計13人が第3大隊の士官、補佐官だ。
士官は、6名…俺、ヒナ、ヒューリー、ジーノ、ミランダと最後にシュン。
補佐官は、残りの7名だ、俺の部隊にのみ補佐官は2人になる。
何か質問はあるか?」
俺には予定通りココスが着くのか。
「ないな?で、今後の予定だけど、一月後選抜部隊でリディ様の護衛としてレグ国へ行く、行くって奴は居るか?
ちなみにアーナン、ミランダ、キリアは無理だ」
アグニス国の同盟国レグ国…どんな国なんだろう?
「ヒューリー、ジーノ、デルミンの他に誰かいないか?」
「俺も行きたい」
「っげ!?シュン、お前行くのか…?」
「?…無理ならいいんだけど」
ヒナとリョウは口には出さないけれど表情を見る限り良い場所ではないらしい。
「無理ではないけど…ないけどなぁ…あの国の環境はちと人間には辛いんだよ」
辛い環境、北の国だから寒いとか?それとも、治安が悪いとか?
「治安とか悪いなら大丈夫だし、寒いなら準備すればいいだろ?」
「う、ううんそうなんだが……わかった、じゃあついでにココスも着いていけ」
「是非!」
「じゃあ、その5人とコボルト、ラウルフ種の兵卒50人で向かう事にしよう」
「「「了解!」」でつ」
「んじゃ、面倒な話は終わりだ楽しんで食え食えー!」
「「「おおーっ!」」」
というか、起きた早々バーベキューは重い…
そういえば、昼ぐらいから城の前に来いって言われてたっけ。
「リョウ、昼頃に城の前にって言われてるけど、どうするんだ?」
「んあ?……やっべ、忘れてた…」
おい…というか、今何時ぐらいだろう?
「まだ時間に余裕はあるが…そうだな、ココスとヒューリーこの後王妹様とシュンの護衛頼む、つってもシュンに護衛なんていらないけどな」
「喜んで!」
「………」
ヒューリーさん少し恐いなぁ…
身長も2メートル以上は楽に越えてるし…アーナン程じゃないけどウラントさんより高いか。
「じゃあ、悪いけど二人共よろしく」
「い、いえいえ!全身全霊で護らせていただきますので!」
「……ああ…」
食材も無くなり、ジーノとデルミンは練兵場へ行き。
ミランダとミィは散歩に。
アーナンは後片付けを。
キリアさんはずっと寝ているな…
リョウ、ヒナ、ウラント、ササは何かボードゲーム?何か板状の物を広げ遊んでいる。
なんというか…協調性を感じられない…?
まぁ、そこまで気にする事はないのかもしれないけど…うーん…大丈夫なのだろうか?
「シュン様、そろそろ城の方へ向かいましょう」
と、そろそろ時間か。
「ああ、行こうか…じゃあ、リョウ行ってくる」
「おう、終わったらまた戻って来いよ…ってウラント!ちょっと待った!」
「ダメです、戦争では待ったと言って待つ者なんていません」
お楽しみのようだ。
「じゃ、二人共案内お願いしていいかな?」
「はい!」
「………」
ヒューリーさんに嫌われてるのかなぁ?
城門に到着すると、リディさんも降りてきた所だった。
「こんにちわ、お待たせしてしまったようですね」
「いえ、こちらも今着いたばかりですので…」
「そうですか、それはよかったです。
そちらの護衛はヒューリー様とココスさんですのね」
「ッハ!全身全霊を掛け職務に当たらせていただきます」
「………」
どうやらヒューリーさんは無口なだけのようだ、というか…毛が真っ黒のせいか、表情さえわからないから、少し不安だ…
「長話もなんですし…行きましょうか」
「はい、えっと…本日は何をするのか聞いてないんですが…」
うん、昼頃に城に来てくれとしか聞いてなかったはずだ…
「あら…?それは、すいませんでした。
本日はシュウ様の御召物とこちらで暮らすための家具を探しにですよ?」
初耳です。
「すいません…けど、王妹のリディ様とご一緒というのは、申し訳なく感じます…」
「あら…?私では役不足でしょうか?」
「いえ、自分の為に寛大な処置感謝してもしきれません」
正直、王族の人がアレもコレもとやってもらうのは心苦しい物を感じえない訳で…
「気にしないでください、私は自分はシュン様と色々お話したいと思っています。
それに…いえ…なんでもございません、行きましょう」
なんだろう?っと…道はわからないし、とりあえずは案内してもらおう。
まず、向かった店は城から街の入り口まで一直線に伸びる大通りの中央通りにある大きな家具店についた。
看板に【軍師将軍ご用達!!】【天下無敵ヒナコ様ご用達】と書かれていた。
なんというか…ひどい。
ココスが言うにはこの街で一番の人気店で庶民から王族まで使う程らしい。
それに、設計はリョウ本人が行っているという事だ。
それならご用達じゃなくて、発案とかにしとけばいいのに…
中に入り、色々見ていく。
暮らす部屋の大きさとか、まったくわからないからどれを選べばいいかまったくわからないんだけど…
「なぁ、ココス」
「なんでしょうかシュン様?」
「俺が暮らす部屋って大きさどれぐらいなの?」
「見てからのお楽しみです」
いやいや、秘密って選びようがないんですが…
「家具選ぶために知りたいんだけど」
「ああ、それでしたらどうゆうデザインがいいかを言ってもらえば注文で作れますので」
そうですか…じゃあ、使いやすそうなデザインを探すとしよう。
探しているとヒューリーが肩を叩いてきたのでそちらを向くと。
「………」
これなんてどうだ?とばかりにかなり大きいタンスを見せてきた。
いや…ヒューリーは黒好きなのか。
大きさは4メートル程で横幅も70センチぐらいと大きいが!
取っ手は髑髏のデザインで色も真っ黒と血の色のような赤。
ヒューリーはそうゆうデザインが好きなのか…
「うーん…俺はもうちょっと落ち着いた色がいいんだよね、ごめんね」
「………」
コクンと頷いて合った場所に戻しに行く後姿が哀愁を漂わせていた。
うーん…いいのないかなぁ?
「シュン様コレなんてどうです?」
ココスが進めてくれたのは前の世界で使ってたクローゼットとほぼ一緒のデザインだった。
「お…これにしよう…うん、前の世界に使ってたのとほとんど同じだ…」
ただ、ロゴが【RYORYO】なのが気になったけど。
そのクローゼットと同じ色調の家具を数点買いその店を出る。
俺が活躍とかしたらご用達とか書かれるのかなぁ?
その次は鍛冶屋に向かった。
武器に関しては今ので十分いいが、戦場で着る鎧等を注文するらしい。
士官は兵卒とは違い特注の物を着る義務があるらしい。
けど、自分はどんなのがいいのかわからないので、ココスに任せる事にした。
「シュン様の魔法の属性ってなんですか?」
どうやら、その属性で鎧の色は変わるらしい。
けれど、ノワルではわからず、こちらに来ても調べた事がないからわからないんだよな。
「ごめん、俺もわからないんだ」
「では、魔力検知器で調べてみましょう」
そう言われ握力測定器の様な物を渡された。
「魔力の出し方はわかりますか?」
魔力の出し方…スー達の顔が浮かび吐き気を込上げてくる。
どうやら無意識にその魔力が出ていたらしく、検知器のメモリの色が変色していく。
「【紫掛かった黒】…?、これは…闇ではないけど…」
「ふむ…これは死属性じゃないかね?」
鍛冶屋の親父さんは知っているらしく。
「死属性…?ノワルに居た時は死属性って聞いたことないですが…」
「まぁ、死属性なんて使える魔族も極度に少ない、今使える者はレグ国の国王のみと聞くぞ」
死属性…
「あの…店長さん実際属性って何種類あると言われているのですか?」
ノワルでは11種と言われたけど。
「ノワルじゃあ、11種と言われているだろう、が実際は12種と言われている。
死属性なんてのは魔族しか覚えられないと言われていたしな。
それに、使える者が表の世界に出てきた事も歴史上ほとんどない。
後…死属性を持つ者は発狂し壊れるか不慮の事故で若死にする事が多いからの。
だから、レグ国の国王も表の世界にでん、人間の中ではレグ国では国王の名前も知られておらんよ」
死属性は不幸を呼ぶ。
そういう事らしい。
「不死属性の素材はいくらでもある、使える人材が居なかったからな。
だが、違う可能性もある…だから一応闇属性でも作っておくぞ」
「よろしくお願いします」
想わぬ所で自分の魔力の属性がわかったけれど…喜んでいいのだろうか…
「ふむ…シュンさんはすごいですね、珍しい死属性…それも人間が備えるなんて…」
「王妹様…少々不謹慎な発言かと…」
「確かに…、シュン殿許してほしい…」
「いえ…心当たりもありますから、気にしないでください」
だが、悪い事だけじゃないんだ、不幸を呼ぶ物だからと怨んでも何も起こらないんだ。
なるようにしかならない、そういう事だろう。
「それで、次は何処に案内してくれるのですか?」
「え?…あ!すいません!…次は服を注文しに行く予定です。
さすがに着替えがないと不便でしょうし」
そう言ってココス達が先導してくれる。
俺の心を心配してくれたんだろう…ただ、その気持ちがとても嬉しかった。
心配は掛けない人になろう…
17話目了です。
17話目に来てやっと主人公の属性公開です。
少し無理矢理だったかな…?
装備も使う人と属性が合うとその分強力になりますが。
基本的に稀少金属です。
俗に言う?レアメタルです。
9人の将軍+魔王様等は自分の属性の防具を持ってます。
一部の士官も持ってますが、持ってない人も多いです。
火属性や水属性等の下位属性は取得してる人が多い分よく使われるため在庫は普段から不足してます。
なので、ヒナも最初は普通の金属の防具でしたっと感じです。
無理矢理っぽく見えたら、ごめんなさいorz
誤字、脱字や感想ありましたらご一報ください。
では、また次回。