16話目─晩餐─
ようやく16話目更新となります…
行き詰まった…予定としてはそろそろ鬱展開復活の予感です。
予定は未定といいますが…
気付けば朝方…眠い…
目の前に居る人が魔王なんだろうか…?
「リョウ達が帰ってこないから…死んだのではないかと思っていた」
「遅れたのは悪いと思うが勝手に人を殺すなって!」
「…して、そこに居るのが我が国の勇者になってくれるという者か?」
「無視かよ…、こいつはシュンって言ってたぶん天下無敵の勇者だ」
「ほー…ウチの不死将軍とどっちが強いだろうな」
「シュンだろうな、というか不死将軍は一騎打ちは苦手だろ」
「うむ…そうだったな、不動将軍ならどうだ?」
「俺はシュンが勝つと思うね、属性キメラを一人で倒しちゃう程だもん」
「それは…期待できるな」
「ああ、期待してくれていいぞ、次は俺が第一将軍に躍り出るかもな」
「ハハハ心強いな、挨拶が遅れた、我はゴーディ、ゴーディ=アグニスだ、こう見えても魔族軍の王、魔王をしている」
魔王と名乗る人物は俺達と変わらない人間だった。
ただ、角が二つ生えているけれど。
これが、この世界の…人類の敵…?
この人が…
男から見ても見惚れる程の美貌とスラリとバランスの良い体型。
確かに人間とは思えない程に綺麗な井出立ちだ。
空想上での王というイメージにピッタリだろう。
「なあ、リョウ?反応ないのだがちゃんと生きているのか?」
「ハッハ、ただゴーディに見惚れてるだけだろ、無駄に美形だし」
「ふむ、そうなのか…我でこの反応だと我が妹を見たらどうなるか楽しみではあるな」
「だな、兄妹揃って美形だしな、前から思ってたんだが…魔人種ってのは皆そんな整った顔してるのか?」
「うーむどうなのだろうな、魔人種と言っても今表の世界に居るのは我と妹ぐらいだ、他の魔人種を見た事がないからわからんな」
「へぇ、魔人種ってのはやはり数が少ないんだな」
「当然だ、歴史を見る限り魔王を名乗るのは魔人種が多いからな、他の種族より強いがその分出生率はかなり低いのだ」
「まぁ、ゴーディの身の上話はいいや、俺達の今後の予定についてとか色々聞きたいんだが」
「そうだったな、とりあえず長旅だったのは一月ぐらいはアグニスで休息を取ってもらおうと思っている」
どうやら呆けていたみたいでかなり話が進んでいるようだった。
「すいません!えっと…ご挨拶が遅れましたシュンと申します!」
「…だからこそ…っと…、ようこそシュン、我は主を歓迎するよ」
リョウと話中だったようで少し待てばよかった…
「シュンもそんな緊張すんなよ、確かに異常に綺麗な顔立ちしてるけどな、ゴーディは友人に畏まれるのが好きじゃないんだ」
「ああ、やはり小さい頃から色々と厳しくされたものでな友人も少ないのだ、よかったら我の友人となってはくれないか?」
なんというか、見た目とは全然雰囲気が違うんだな、確かに威厳はあるんだけどそれよりも親しみやすさを感じる。
「ええ、喜んで平和の為に頑張ります」
「ああ…頼む…」
あれ?なんか変な事言ったかな?
「シュン、あのなぁ…ゴーディは友人になってくれと言ってるんだ、国のためじゃなくゴーディの友人として頑張ってほしいんだよ」
あ、そうか…
「あ…す、すいまっ…、ごめん」
「いや、よいのだ我の我侭のようなものだ、前に口調は人格を移すとリョウにも言われた、我はシュン自身を見たい、好きに話すといい」
「はい、わかりました、友人として…」
その後は自分がこの世界に来てからの生活や前の世界での憶えてる事を魔王さん、いや…ゴーディに話した。
ゴーディは人間の中にも良い人や悪い人が居るとわかっているらしく、魔族にも良い魔族も居れば悪い魔族も居ると言っていた。
また、スーやガクの時の話でゴーディは涙を流していた。
魔族なのに、人間の死で泣く彼に対し、それだけで彼を信頼できると思えた。
「失礼します、魔王様、将軍様方…晩餐の準備が整いましたので食堂までご案内致します」
「うむ、ご苦労」
「っ…はぃ…」
ゴーディの労いのセリフ一つで魔族のメイドさんが撃沈。
「あれ、日常茶飯事なんだ…たぶん特殊なフェロモン出してるぜ」
と小さな声で俺に言ってくるリョウは楽しげに話しかけてくる。
「リョウ聞こえているぞ、ふぇろもん…?とは何か知らないが…お前の事だ、よからぬ物だろう」
すごい耳だな、絶対聞こえてないと思ったのに。
「は、ハハ褒めてたのだよゴーディも疑い深いなぁ…ハ、ハハハ」
「ふ…リョウは演技が面白いな、戦場では皆が怖じ気づく程の雰囲気を醸しだす者がか…」
「戦争は騙しあいだ、兵とは詭道なり…と言う言葉もある、そして敵がどこにいるかもわからん戦場だ、なら味方から騙すのも手だろう?」
「ふ…果たしてどちらのリョウが本当のリョウか…我はどちらのお前も好きだよ」
「男からそんなセリフ言われてもねぇ…」
だが、やはりあれだけ綺麗な顔立ち…俺なら鼓動とか早くなるだろうな…
「リョウが帰って来て本当によかったよ…っと、ここが我が城の食堂だ」
扉が開き食堂を見る。
中は途轍もなく広い…軽く立食パーティでも出来るんじゃないか?
けれど、手の込んだ物は何もなく、本当に食事をするための部屋と言った感じか。
圧倒されるほどの広さなのだが、不思議と親しみ安く居易い空間だった。
「よい食堂だろう、我は堅苦しいのはイマイチ好きではないのだ、だからこそ食事時だけでも居心地の良い場所にしたいとな…」
「ええ…私も…いえ、俺もこの雰囲気好きです」
「そうか!、わかるか…やはりシュンとは気が合うのだな、嬉しく思う」
笑顔一つで絵になるんだな、本当すごいと思う。
席に座ろうと座席によった時にもう既に一人座っている人が居る事に気付いた。
誰だろう?ゴーディさんの家族かな?
顔を見るとゴーディのように整った顔、けれど歳のせいか綺麗というより可愛いといったイメージが適切と思える女性が座っていた。
「お兄様お待ちしておりました、リョウ様もお久しぶりです」
「待たせたなリディ」
「リディまた一段と綺麗になったんじゃないか?」
お兄様?…ああ、ゴーディの妹さんか、まぁ、そりゃそうだよね?
顔の作りもこの世の者とは思えないような作りだし、それに彼女は額からだけれど一本の角が生えている。
「あら…?そちらの方は?」
「お初にお目にかかります、シュンと言います以後お見知りおきの方をお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます、私王妹のリディと申します」
むぅ…リディさんの目を見られない…
なんというか、吸い込まれそうで怖いのだ。
「へぇ、リディを見ても平気なのか、俺なんて初めて会った時はドギマギしたもんなのに、あれか?慣れてるのか?」
「リョウ…茶々を入れるなよ…かなり緊張してるんだ」
ハハとリョウは笑うけれど、慣れるまでは二人の顔をまともに見れそうになかった。
触れては行けないというか、触れたら終わりみたいな生命の危機?
「まぁ、フェロモンに当てられないようになっと飯飯!」
そう言いリョウは席に向かった。
リョウはたぶんわかってるのだろう、仕返しか?
「簡単にとは言え挨拶も済んだな、では…食事にしようか」
その言葉で軽くリディさんに会釈をして席に着く。
上座にゴーディさんその脇にリディさんその隣に俺、向かいにリョウが座る形になった。
食事はとてもおいしい、バラモーと言う牛肉に似た味の物や、ケイチーと言う鳥肉に似た味の物
それと、白身魚のような味のトンクーと言うのもあった。
鳥肉かって聞いたら鳥肉とはなんですかと返された、そういえば牛肉はよく食べていたけど、鶏肉と魚肉は初めて食べたな…あちらの世界を思い起こさせる味だ…
牛の干し肉かな…の煮込み。
鳥の…もも肉か?を揚げた物。
魚の刺身や。
サラダ、そして最後に果物…なんというか、見たことある物が勢ぞろいしているため食べやすかったけど…味もよかったけど…量が多い…
けれど、明らかに5人前近くあるように見えたんだけど、綺麗に平らげる事が出来た。
というか、リディさんやゴーディさんは俺よりも早くに平らげてたし…
俺が遅いだけか?
リョウの方を見るとかなり苦しそうだ、魔族は基本的に大飯喰らいなんだろう。
「さて、一息ついたな、では今後の第三大隊について決めようと思うのだが、よろしいか?」
皆が食べ終わりお茶が配られた時にゴーティが口を開いた。
「おう、待ってたぜ」
「ええ、大丈夫です」
前にリョウには自分の部隊に入る予定だと聞かされていたけど、詳しい事とかはまったく聞いてないし、ちょうどいいな。
「それでは…私は部屋に戻りますので…」
と、隣のリディさんが席を立とうとしたが。
「よい、リディにも関係のある事だ」
「わかりました」
リディさんが席に座り直したのを確認して。
「今後についてだが、現在前線は膠着状態となっているが、物資が厳しい状況となっている」
「そうだな、孫子曰わく、凡そ用兵の法は、馳車千駟・革車千乗・帯甲十万、千里にして糧を饋るときは、則ち内外の費・賓客の用・膠漆の材・車甲の奉、日に千金を費やして、然る後に十万の師挙がる。とも言って、戦闘行為は異常な程に国から金を巻き上げ、疲弊させるんだ」
「そうだな、リョウの孫子という者の言葉はわからぬが、戦争が長引けばその分国は弱まる」
それと今後どう繋がるのだろう?
「それでだ、我が妹リディを同盟国レグへ物資を受け取りに大使として送り、第三大隊の中で精鋭部隊を作り護衛として同行してもらい、物資輸送の任をお願いしたい」
「いつのまにそんな物資が減っているんだ?俺がノワルに潜入した時は数年は戦い続けられる程の物資はあったはずだぞ?」
「うむ…それが最近前線やアグニス、ハームカルムに間者が入り込んでいるようでな、また放火等も相次ぎ少々物資が苦しいのだ」
「カッー!もっと注意しとけよ…わかった、それで何時出発だ?」
「ああ、すまない…一月後だ」
すぐ出発かと思えば意外とゆっくりしているんだ。
「なんだ、随分ゆっくりだな」
「うむ、主らは長旅だったしな、それにシュンには此処を第二の故郷と思ってもらいたい、だから一月ぐらいはゆっくりしていってもらいたいのだ」
一瞬、何か裏があるのではないかと疑ってしまった自分が恥ずかしく思えた。
「ありがとうございます…」
「うむ、良いのだ」
「では、今日は悪いのだがシュンには兵舎で休んでもらってよろしいかな?」
「はい、どこでも構わないです」
「明日はリディも休みにしよう、リョウ、数名を二人の護衛につけてあげてくれ…そうだな昼頃城の前でいいだろう」
「了~解、眠いんでちょい先に失礼するぜ、おやすみ」
「おやすみ」
「リョウ」
「ん?」
「明日からもよろしく」
ただ、ここまで導いてくれたリョウにお礼が言いたかったけれど、ありがとうって言ってもはぐらかされそうだったから、挨拶にしたんだ。
「っふ、何をいまさら俺のために頑張ってくれよ」
「…ああ」
んじゃっと言って部屋を出て行った。
自分も長旅で疲れたようだ、そろそろ寝かせてもらおうかな。
「ゴーディ、ごめん…俺も眠いみたいだ」
「そうか、じゃあリディすまないが寝室まで案内してあげてくれ」
「はい、お兄様…では、シュンさんどうぞ」
「お願いします」
寝室は城の地下にあった。
というか…見えてた部分なんて氷山の一角のような物だったんだな…
食堂を出て少し下に降りるとエレベーターがあった。
そこに乗り、降りていくと地下は予想外に広かった。
「どこにこんな面積が…」
「そうですね、ここはアグニス城より60メートル程下…地下になります」
「という事はあの高い崖は丸々エレベーターという事か…」
ぶつぶつと呟いていると、リディさんに訝しげに見られた…独り言が出てたのか…
「ご、ごめん元の世界にも似たような乗り物があったから…あっちの言葉が出ちゃったみたいで」
一応謝ったけれどリディは別の単語に反応したみたいだった。
「元の世界…ですか?そうゆう喋り方は…シュン…様は勇者なのですか?」
「え?あ、ああ一応リョウと同じ勇者ってなってるけど…元ね…」
んー…少し敵意がピリピリと…
先を歩いているからにらまれてはいないけれど…
威圧感がすごいか…な…
ゴーディさんは友好的だったけど、やっぱりこの国の人は勇者は嫌いなんだろうな…
「ごめん、勇者なんてこの国の人達から見たら憎むべき敵だもんね、けど俺はゴーディさんのために戦いたいって思ってるんだ…すぐに、とは言わない…けど、いつかは信じてほしい」
「戦う思い、生きる意味は人其々、疑いは敵を増やし仲間を減らす…故に人を信じ生きよ」
ん?その言葉を聞くとコウタとカエデの顔が浮かび、胸を締め付けられた気がした。
「お父様が私達兄妹に言った言葉です…戦う思いは違うけれどだからこそ信じてあげなければ仲間は敵になってしまうと…」
優しい言葉…けれど…甘い…この世界に来て俺は信じて裏切られ、信じて奪われてきたんだ…
けど、彼女はその言葉を思い出して敵意を治めてくれたんだ、感謝しないと失礼だよね。
「うん…そうだね…この世界には色んな人が居る、いつか人間と魔族の人達だって手を取り合えると思うんだ」
「そんな…そんな世界が着たらいいですね」
「先ほどはお見苦しい所をお見せしてすいません…こちらがシュン様の泊まる部屋になります」
「うん、ありがとうまた明日」
「はい」
リディさんと別れ部屋に入ると、なんともないノワルにもあるような物ばかりだった。
ただ、個室が一つだけあって覗いてみるとユニットバスが…
何故こんな所に?
「なんか…すごく懐かしく感じる…」
トイレも一緒になっていて、タンクを見ると。
【RYORYO】って書かれていた…
ああ、リョウが発案したんだろう…
というか、電気とかないのにどうやって動かしてるんだろう…?
まぁ…明日聞けばいいかな?
とりあえずシャワーでも浴びよう。
16話目了です。
最後のはネタのようでネタになっていないという…ひどいorz
○OT○ではないですよ?
水洗トイレがほしいとリョウが思って魔法で出来ないか研究して出来たんだけど誰が作ったかわかるようにするか、銘をつけるべきだと言われたのでリョウの直感であの名前になっただけです。
各家庭にもあり、兵舎では一体型だったけど、一般家庭では別個となってます。
古い家はぼっとんです。
ぶっちゃけ、どうでもいい設定すぎだorz
誤字脱字、感想ありましたらご一報ください。
では、また次回