15話目─魔王城─
暑い日々が続いてますね。
15話目更新となります。
ハームカルムを出て2日が経過した。
道中色々な種族の人と出会ったりしたんだけど。
確かに顔形は違うけれど、皆心を持っていて、共存や協力しあえるのだと再確認する事が出来た。
この国に来てまだ数日だけれど…
ノワル国とアグニス国どちらか正しいかと聞かれたら、俺はアグニス国が正しいと思う。
所詮それは俺個人の答えだしエゴだ、けれど俺が見てきたこの世界で俺が見つけた護るべき物だと思い始めたんだ。
「で、シュン何呆けてるんだ?」
自分が今後どうしたいか、何をするべきかを考えているとリョウが興味有りそうな表情で聞いてきた。
「ん?ああ…道中出会った人達との事でね」
そう言うと、リョウは。
「そうか、まぁ、理念を持つ事はいい事だしその理由は人によって違うから俺達の仲間として居てもらえるならどんな理由でも構わないさ」
そう言って運転席に座るヒナの隣に腰掛け黙った。
そういえば、起きてからササの姿が見当たらないな…
「あれ?所でササは何処に?置いていったとかじゃないよね?」
「ササなら「運動不足!」と叫んで、今は…ほら馬車の横を走ってますよ?」
そうココスに言われ馬車から顔を出して横を見るとササが四足歩行で走っていた。
ラウルフ族は四足歩行なのかな?
「あ、シュン様あんな走り方するのはササぐらいです、アレが特別なだけです」
ササと一緒にするなと言わんばかりに否定するココス、どうやら一緒にしてもらいたくないようだった。
前から思っていたんだけど、ココスってササにキツイ言い方するよな。
「ココスはササの事嫌いなのか?」
「え?…き嫌いではないですが、一応部隊の指揮官なので自覚をもってもらいたいと思っているので厳しくしているだけです!嫌いだからとかでは…」
そうなのか?んー…
「けど、俺にはあまり厳しくしないよね?あとヒナも」
と聞くが
「……」
あれ?黙ってしまった…何かまずい事でも言ったかな?
どうしようかと考えているとリョウが助け舟を出してくれた。
「シュンーあまりココスを苛めてあげるなよーココスの考えがあるんだから」
確かに其々に事情はあるよな、ちょっと不躾だったか。
「あー…ココスごめん、ココスの考えもあるよな、すまなかった」
頭を下げると
「い、いえ!気にしないでください!シュン様は何も悪くありませんので!」
頭を上げてココスを見ると慌てたように手を左右に振っている、こうゆう動きもやはり人間とほとんど変わらないのだと実感した。
魔族と呼ばれる種族も人間も俺はそんな変わらないな…
「ん?シュンいきなりどうしたんだ?」
どうやら考えてた事を口走ってたみたいで、リョウが気になるとばかりに聞いてきた。
「んー…ノワルでは魔族は絶対悪的に言っていたけどさ、一緒に過ごしていると人間と変わらない文化もある、正直人間との違いなんて容姿ぐらいだ、それに俺は人間なのに友好的に接してくれる」
人間と魔族の違い。
人間から魔族の見解。
魔族から人間の見解。
最近は暇があれば考えているな…
「俺はここに来てよかったと思う、ココスやササ達ラウルフ族や色々な種族と出会えたから」
「はぁ、シュンは毎度ながら固いねぇ…もっと気楽でもいいんじゃない?」
「むしろ、リョウが固すぎるのよ、私はシュン様の言葉にいつも感銘を受けます」
本当にこの人達と出会えてよかった、もう失わない…失えない絶対に守りぬくんだ。
「ご飯でゴザルか?」
「…っぷ、あははははササ、頑張ってこの国守ろう」
「?…この命に代えても某は戦うでゴザルよ!」
うん、皆で守ろう。
その後リョウ達と雑談をしているとお腹も減り始める昼頃にアグニス国首都アグニスに着いた。
馬車の中だったので城下町全体は見れなかったが、活気はすごかった。
リョウは運転席にヒナと一緒に座っている為か街の人から声援を受けていた。
また馬車の後ろの景色を見ると馬車を通る道を空け左右にすごい人が居た。
街の大きさはノワルの比では無かっただろう。
町全体は緩やかな丘のようになっていて、進むにつれ街の一望が見えてきた。
そこは色々な種族が過ごす大きな街だった。
この街一つが国一つなんじゃないかと思う程だ。
「驚かれましたか?この街の大きさに」
「う、うん…俺のいた世界程じゃないけれど、中世の街を見ているようだ」
「チュウセ?ですか」
「うん、俺やリョウがいた世界の何百年も昔の事だよ」
「何百年も昔ですか…はぁ…シュン様の世界はすごい世界なのでしょうね」
この世界の住人からしたら、ビルとかはどうゆう風に移るんだろうか。
「慣れてしまうとそれが当たり前になってしまうからね、高い建物だと何十メートルという建物もあったりしたんだ、ただ人口が増える程に木や土とかあまり見なくなっていったけどね」
「そうなのですか…木がない世界など私には想像もできません」
実際あるにはあるんだけど、この世界の森とかを見るとなぁ」
元の世界はとりあえずは置いておきたい。
今はこの素晴らしい街を眺めて居たかった。
「シュン様まもなく城に到着しますので下車の準備をお願いします」
街を眺めているとココスが城に到着すると教えてくれた。
「ん、ありがとう」
下車の準備と言ってもほとんどココスとササが荷物をもってくれていた。
俺の持つ物なんて自分が使っている剣と盾ぐらいだ。
そういえば、最近剣を振ってないな…
暇があったら練習でもしようかな。
剣と盾を持って後ろの景色を見ているとあたりが暗くなった、どうやら城門を潜るようだ。
城壁の厚さは深く10メートル程だろうか?
「ココス城の城壁ってこんな分厚いものなのかい?」
「いえ、この世界でこれほどの規模はこの城だけです、強力な魔法等を受けても壊れないためです、またミノタウロス族等の力の強い種族を中心に城壁を作り、高さ20メートル程の高さとなってますよ」
実際、城とかは観光とかで見に行った位だけれど…これは、異常だと思った。
日本のだって、厚さは精々1メートルや3メートルとかだろう…
「それと超えましたら下車しますが、それから歩きますのでご注意ください」
間も無く城門を越え馬車が止まったので下車する事となった。
下車して城の方を見ると山だと錯覚してしまう程の大きさだった。
たぶん、鉄片を見ようとすると首を痛める程の高さだ。
「すごい…」
「アグニス城はこの世界で一番の城だと私は自負していますよ」
うん、俺もこの世界に来て城を見たのは3つめだけれど他と比べられない程の大きさだった。
RPGで言うラストダンジョンみたいな感じか?
城門の内側には切り立った崖が聳え立ちその上に城が建てられていた。
「けど、これってどうやって城に入るんだ?まさか攀じ登ったりするの?」
そう、見た限り階段とか洞窟が見当たらないのだ、攀じ登るにしても軽く城門より高い崖だというか、城門の意味あるのだろうか…?
「入り口はこちらですよ、着いて来てください」
ココスの案内で城門の裏側で向かうと、何もないように見える。
「ん?石が並んでいるようにしか見えないけど?」
「一応侵入者が入らないように対策としてわかりにくく仕掛けを施しているんですよ」
そう言うと数個並んでいる石をを引っ張り上げていくと耳鳴りのような音がした。
少しすると上から音がしたので上を向くと……石が落ちてきた。
「うおおお!?」
後ろへ跳ぶが誰も同じように避けようとしない、何故?
と、思っていたら石は空中に浮き階段の様に崖を螺旋状に摘みあがっていく。
「これも魔法なのか?」
「はい、詳しい事はまだ秘密ですが、魔法です、初代魔王様がこのアグニス城を作った時に勇者対策として御作りになった仕掛けの一つです」
原理はわからないが、下手したらあちらの世界の科学よりもすごい部分もあるんじゃないか?
「さぁ、魔王様がお待ちですので行きましょう」
「うんうん、魔王様に会うのも久しぶりだなぁ」
「いやぁ、長い道程だった…感慨深い物があるねぇ」
「主殿…さぞ、さぞ大変な道中だったのでゴザろう…」
呆気に取られていると、皆当然の如く落ちてきた階段を登り始める。
「シュン、早く来いよ置いてくぞー」
「あ、ああ今行く」
階段を登りながら色々と観察をしてみた。
攻められたとしても、この城ならかなり守れるんじゃないだろうか、といってもその辺の知識が詳しいわけでもないのだけれど。
城壁の上には数百人の兵士が見張りをしている、馬車の時は気付かなかったが階段式に城壁が高くなっていて棚田のようになっていた。
それと今登っている崖だ、この崖はかなり頑丈に出来ているというか触れない。
崖も石で出来てるように見えるが触れようとしても、触る事が出来ず空気の塊がそこにあるような錯覚を憶えるんだ。
予想だけれど、かなりの威力のある物でも削る事さえできないのではないだろうか?
「この崖触れないんだけど、どういう風になってるんだ?」
「んー…それに関しては今になって知ってる奴は誰もいないと言われているな」
この城が作を作ったのは初代魔王の代であって数百年前との事だ。
本来魔法であったなら魔力を感知できるらしいのだけれどどんなに調べてもわからないそうだ。
魔王ってすごい。
「ま、つっても今になっちゃわからんけどな、数千年前の事だし」
「数千年!?」
この国の歴史ってそんなに長いのか…?
「アグニス自体はそんなに長くはないぞ、一度勇者に滅ぼされてるしな、んで魔王の一族が蜂起してこの街を人間達から奪い取ったってわけ」
魔王の末裔が建てた国、それがアグニスか…
人間達から反乱を起こしてこの城を奪い取ったのか…
「奪い取ったというか解放したが正しいかもな」
昔から魔族に対する人間の態度はひどかったらしく当時は魔族狩りと隠れ住んでいた魔族を遊びで狩っていたらしい。
趣味で狩りをしていた奴らに反旗を翻されたんだ、怨恨は残るのだろう。
階段を登り終えたら城がノワル城よりも遥かに巨大な城が有った。
城に入ると片眼鏡と変わった帽子をつけた好青年が立っていた。
「お待ちしておりました、軍師将軍リョウ様」
リョウって軍師将軍って呼ばれてるんだ。
「ちなみにシュン様、軍師将軍ってリョウが無理矢理呼ばせてるだけなんですよ」
小声でココスが教えてくれたが、まぁ、茶々を入れるもんでもないかな?
「シグご苦労さん、俺達の国を救ってくれる本当の勇者を連れてきたぜ」
そうリョウが言うと後ろに居る俺に親指を向けてきた。
「おお、そちらの方が我らの救世主ですか、ご挨拶が遅れましてすいません、右丞相を勤めますシグと申します」
「あ…はじめましてシュンって言います」
挨拶すると満面の笑みで返された、こんな美青年に笑顔で返されると
「魔王様がお待ちですので、ご案内します」
案内されながら城の中を観察してみる。
内装はかなり綺麗でメイドさんらしき人もいっぱい居た。
また兵士の見回りも居て防備はかなりのものだろう。
けれど、こんな国の深くまで敵なんて来るのだろうか?
階段を登りかなり長い通路を進み魔王が居る部屋へとついた。
魔王ってどんな人なんだろう、魔族だから人ではないだろうけど。
シグさんが門番に声を掛け門が開く。
部屋の中はアルコール臭が酷かった。
15話目了です。
ようやく魔王城に到着しました。
自分の文章でイメージ通りに城の風景等伝えられていたらいいのですが…
次回、魔王登場となって一段落といった感じでしょうか。
その後はリョウ達の部下達とご対面のため新キャラ数名登場となります、キャラ経たせられるかな…
というかヒナの影が薄い気が…
誤字脱字、誤った表現、感想等ありましたらご一報ください。
では、また次回