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12話目─ラウルフ集落 夜─

「アッハッハなるほどそうゆう事でゴザったかぁ」

「ああ…まったくだよ…ヒナの暴力は前からだがあの一撃は死ぬかと思ったね…だって川が見えたもん川が!あれは三途の川に違いない!対岸の奥にササが見えたしなぁ…」

「三途の川が何か知らないでゴザルが死んでもらっては困るでゴザルよ、我が主リョウ殿が死んでしまっては某はどうやって生きればいいか…わからないでゴザル…」

「だー!冗談だ冗談!ササ!今のは元の例えだ例え!冗談が聞かないんだからなぁ」

「も、申し訳ない…かくなる上は自害して…!」

「だー!いい!いい!不問だ不問!気にするな!」

「おお…かたじけない、リョウ殿の為!粉骨砕身ふんこつさいしん使えさせていただくでゴザル!」

「ああ…今後も頼むよ……」




今、俺達はラウルフの集落のササの自宅に居る。

あの後少し歩いたら集落に着いて、宿に泊まるつもりだったんだけど、ササが是非我が家に泊まってくれと言って来て、ヒナは元からそのつもりだったようでササよりも先に家に駆け込んで行った。

家はノワル国の家みたく石とかではなく木で作られていた。

家について少しするとリョウが目を覚まして経緯を説明してる間にササがご飯を用意してくれた。

それでそのまま現在に至るって感じだ。

どうやら飲み物は果実酒のようでヒナはすぐに酔い潰れて、リョウとササも顔を真っ赤にして酔っていて大声で笑いあったり泣いたりしていた。

正直、俺は酒を飲んでも酔った事がないため少し羨ましくもあったけど、二人を見てるとそれだけでどれだけ二人の仲が良いかを物語っているのかがわかって違う人種同士でも仲良くなれるのだと思えて、気が楽になった。

と考えに耽っていると入り口の方から足音が聞こえてきた。


「コラアアアア!!ササ!何時だと思ってるのよ!うるさいったらアリャしない!まったく…ヒナコ様は戻ってこないし…ササは馬鹿だしで…って…リョウ!アンタ戻ってたの!?」

黄金色をしたラウルフ?族がガルルルと唸りそうな表情で入ってきた。

「ココスゥ…一応俺上司なんだから敬えよー呼び捨てはひどいだろー…」

ココスと呼ばれたラウルフ族は表情を変えないまま。

「うっさい馬鹿!ヒナコ様が戻らず私がどれだけ心配したか!そこの馬鹿なんて『戻らないのは某が不忠の為!自害して謙譲するとか騒いでたのよ!本当馬鹿ばっかなんだから!

それとね!仕事がどれだけ溜まってると思ってるのよ!他の子達だけで全部やるのは大変なのよ!後戦線だって勇者が増えてって手に追えないってのに!」

っと色々と吐き散らしている…ハッキリいって食われるかと思った…。

ちなみにササとリョウも顔を真っ青にしてガクガクと震えていた。

「フー…フー…っとその人は誰?人間みたいだけど?」

「は、はい!新しい仲間のシュンです!」

「そうでゴザル!そうでゴザル!」

二人の様子に呆れながらも挨拶する事にした。

「はじめまして、シュンと言います。リョウ達には何度も救われて、その恩を返したい、だから俺はここに来ました、それにここに来て、種族なんて些細な事だとも気付けただからこの国を守りたい、だから…一緒に戦わせてほしいんだ」

「え?え、ええ…よ、よろしく…」

「お…おお!シュン殿!某は…某は!感動したでゴザル!なんと…なんと素晴しい考えでゴザらんか!?そうであろうリョウ殿!ココス!」

「そうだな、なんか立派すぎる気もするけど、シュンは今時珍しい程の真っ直ぐさだ、ゴーディも気に入るだろーさ」

「う、うん…私もいいと思うよ…お、思います」

何故か途端に大人しくなったココスを見るが何処か上の空なココスはジーっと俺の顔を見ているだけだった。

それに気付いたリョウが何かニヤニヤしていた。

「おおっと…これはこれは……あー、ココスも飲もうぜ!長旅で疲れちまったしな!」

「な!何言ってるのよ!早く寝て、日の出と共に出て早くアグニス城に戻らないとダメなのに!」

だが、リョウの厭らしい笑顔は終らない。

「ふーん…そうかぁ、シュ~ンお前もココスと飲みたいよなぁ?新しい仲間の歓迎会してるのになぁ?」

そこで何故俺に振る…?

「え?あ、ああそうだな、もうリョウもササも出来上がっちゃってるし…ココスさんもよかったら…ダメかな?」

そう言ってココスの方に向くと、どこか顔が赤みを帯びていて何処か上の空だった。

「ココスさん?」

「へ?あ、は!はい!お供させてもらいます!」

そう言って、ココスは近くにあった酒のタル丸ごと一気飲みしはじめた。

「ええ!?コ、ココスさん大丈夫!?」

ゴクッゴクッと只々飲み続けるココス。

「ほほー…これはヤッパリ…アレだよなササ」

「そうでゴザルね…アレでゴザルね主殿」

アレって何だろう…

「リョウ、アレって何?」

「アレはアレだよ~まぁ、そのうちわかるさ」

リョウはいう気が全く無いのかアレとしか言ってくれず。

「ササ教えてくれないかな?」

「アレとは…」

「ササ!言うな命令だ!」

「と言う事で言えないでゴザル」

と笑顔で切り返された。

気になるなぁ…ココスにアレと聞いても通じないだろうしな。

とアレについて考えてると、ココスが酒を樽ごと飲み干したようだった。

「コ、ココスさん大丈夫?」

「だいじょうぶれすよ!まだまだいきまふ!」

明らかに大丈夫ではないようだった。

「ササ、酒の追加頼む、それとだ…ココスお前は今後シュンの補佐にするけどいいか?」

「はひ!よろこんで!ひねと言われればひぬつもりでしゅんさまに仕えまふ!」

義に厚いと言うけど…さすがにすごいんだな…

「というか、リョウ…新参の俺がココスさんよりも偉くていいのかな…?

この国の軍隊はどうゆう感じがわからないけれども、そうゆうのっていいのだろうか?」

「いいのいいのー最近な、俺昇格して三将軍になったんだよ」

三将軍?

「ごめん、その三将軍ってよくわからない」

「あー、だな…えーっとアグニス国には独自の階級が存在するんだ。

 昔の中国にな『九品官人法きゅうひんかんじんほう』ってのがあったんだけどこれを少し改変したのがウチの軍の階級だ。まぁ、俺は『九将軍人法きゅうしょうぐんじんほう』と名付けたけど見事にスルーされた…

アグニス国には将軍が9人居る、上から一将軍、通称大将軍だ。

その下からニ将軍、三将軍と続いてく、で最後が九将軍だ。

そして、その将軍毎に副将等を選抜して一つの軍団を作る。勿論魔王は独自で作ってるけどな。

ちなみに、大将軍はヴァンパイア族で通称不死将軍と呼ばれている。

ニ将軍のはミノタウロス族で通称不動将軍って言われている、かなり動き回る将軍なんだけどな。

んで次に俺だ!すごい偉いんだぞ!敬え!」

と、一幕りに叫ぶが…

「ふん、どうれもいいのよそんらの」

ココスが舌っ足らずな言動でリョウに言葉の刃を突き刺す…少し同情…

「う、うう…ササよ…俺の仲間はお前だけだ…」

「おお!主殿!それがしは主殿の味方でゴザル!」

ササがそう言うと。

「ササ!」

「主殿!」

抱き合い始めた…


「さて…ちょっと風に当たって来るね」

立ち上がり外に出るため向かう。

「シュンひゃま!わらひもおともひます!」

フラフラと危なっかしい足つきで着いてくるココス。

「ココスさん無理しないでいいからね」

一応言って見るがまったく聞いてくれない…


外に出ると月が傾き、もうすぐ夜が明ける時間だった。

何かに怯えずに過ごす夜なんて何時振りだろうか…

家に壁に背を預けて地面に座りこむ。

山賊だった時もいつ討伐隊が来るかと不安で眠れない時がほとんどだったし…

俺は…スー達を救えなかった、けどスーは最後に『ありがとう』と言ってくれた…

何もできなかった俺に…俺なんかのために…

何故スーが死ななければいけなかったんだろうか…

ガクも…シャルも…どうして…


「シュン様…?」

その声にッハとした横を向くとココスが少し酔いが醒めた表情でコチラを覗いていた。

「何かあったのですか?」

「うん…ちょっとココに来る前にね…守りたい人達を守れなかった、それが悔しくてね…」

「その気持ち…なんとなくわかります…私も昔人間に攻められた時に両親と弟を殺されてるので…」

両親と弟を…それは…俺よりも辛い思いだったのではないか…

俺とスー達の関係が小さいわけではない、俺にとってスー達はもう家族だったから…

けど、血が繋がった家族を殺された辛さは果てしない物だと思う…

「けど、私は人間全てが憎いとは思えません、確かに私達を下等だと蛮族だと蔑む人間は嫌いです…けど…シュン様やヒナコの様に優しい人間もいっぱい居ます、だから私は人間も好きです」

「ココスさん…」

「シュン様、頑張って願いを叶えましょう」

その時のココスの表情は忘れられないと思う。

「…うん…」

黄金色に輝く身体、月明りに反射して幻想的でけど、俺を包み込んでくれるような強さを持ったそのココスの瞳に魅入ってしまっていたから。

だから…これもたぶん魔が差したって奴だったんだと思う。





「あ、あの…シュン様…その…とっても気持ちいいのですが…あの…」




「え?」




気がつくと俺はココスの…




頭を撫でていた…

「あ!?ご、ごめん!」

「い、いえ…気持ちよかったです…はふぅ…」

なんか、すごい気まずい…

ふとココスの方に見直すとその後ろで…

リョウとササが覗いているのが見えた…

「あ…リョウ達何してるんだ?」

そう言った瞬間、俺は見てしまった…ココスの表情が悪鬼の様に変わる瞬間を…


その後、ササとリョウは簀巻きにされ外で無理矢理寝かされていた。

ココスはその後ヒナを抱いて、「おやすみなさい」と一言残し自分の家へと戻っていった。

ひどく懐かしい感覚を憶えながらササの家で一人寝る事にした。

12話目了となります。

12話目はかなり短いのでつなげてもいいかなと思ったのですが。

まぁ…いいかな…?

ちなみに、補足として。

ラウルフとコボルトは本来はまったく関係ないです。

ラウルフに関してはぶっちゃけると某RPGの一種族で出てたのを自分なりの解釈を入れて作った設定です

コボルトは本来は精霊とか妖精に入れられるので本当は関係ないのですが。

まぁ、似てるしいいやぁって感じにしましたw

脳内設定では身長差等も考えていまして、ラウルフは160~180ほど

コボルトは100~140ほどと考えています。

脳内設定なので読む方々のご想像にお任せしますが。

一応各キャラ毎に身長とかは考えていますが、そうゆう設定とかのせた方がいいんだろうか…?

だらだらと長くなりすぎてもアレですのでこれぐらいで。


それと…

Pv36000アクセス

ユニーク4800人

本当にありがとうございます!今後も続けていけるよう頑張りたいと思いますので、お付き合いできる方々よろしくお願いします。


誤字脱字ございましたらご一報を

また感想等もお待ちしております。

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