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10話目─宴2─

1ヶ月ほども空いてしまってすいません。

ようやく10話目となりました。

毎度ながらの鬱展開…この流れでいいのだろうか…?

自分的には楽しいのですが。

本拠地の入り口で様子が変な事に気付いた。

「皆止まれ、様子が…なんか変だ…」

「シュン何が変なんだ?」

一人が聞いてきた。

「いや……わからない…雰囲気か…?」


考えているとアジトにある洞窟からガクと…あれはノワルの兵士か…?

理由を模索している時、スーが飛び出す。

「ガク!なんでそこにノワルの兵士が居るんだ!」

スーが叫び他の人達も飛び出す。

「ガク!裏切ったのか!?」

「俺の家族達をどうした!」

何故飛び出させた…余計危険になってしまう…


「ふー、全く皆鈍いなぁ、俺にはスーさえ居ればいい…だから、お前らを売ったんだよ」

笑いながらガクは言う。

何故?こんな奴だったか…?

「なんで…だい…ガク!アンタはノワルが嫌いだって!軍人は憎いって言ってたじゃないか!?」

「何言ってるんだいスー…俺はスーさえ居ればいいそれ以外は皆憎いんだよ、それに…シュンの身柄を渡せば金貨100枚だそうだボロい商売じゃないか」

「ック…アンタがそんな奴だったなんてね…家族を取り返すよ!」

「あ、そうそうもうすでに他の奴らは死んでるし、女子供はノワル国へ送られてるよ、それと…シュンはどこだ?」

そうガクが言った瞬間、一斉に後ろを山の麓の方を見ると数台の馬車と数十人程の兵士達が遠ざかっていく所が見えた。

やられた…俺達は全部ノワル国とガクに騙されてたんだ…元々の狙いは…女子供だけだったのか…


「さーって…スー以外死んでもらおうか、お願いしますよノワル国の兵士さんがた」

その言葉を合図に洞窟から50名程の兵士が森の中から囲むように100人近い兵士が出てきた。

「スー俺達の幸せのため…もう少しだ、それでシュンはどこにいるんだい?」

「……シュンは死んだよ、敵の奇襲にあってね…」

少しの沈黙の後スーは俺を庇い言うが。

「はぁ…スーは本当にウソが下手だね、そんなウソ子供だってわかるよ?」

「ま、とりあえずここには1000人…1大隊程の兵士が居る、逃げ切れるはずないがね、だからまぁ君達から殺しちゃおう」


山賊達が剣を取ろうとした瞬間二人の胸に矢が刺さった。

「……がふっ」

「…え…?」

「あーそうそう、ちなみにだ。司令官は弓兵将軍のグリム様が来てる、後勇者様もだ」

カエデとコウタが…?どうすれば…

「っく…しょうがない…逃げるよ!」

「逃がさないよ…スー」

前後左右から矢が飛び交い山賊達が殺されてゆく…

くそ…見ていられるか!

「止めろ!」

叫びながらアジト内に飛び込む。

「やっぱ生きてるじゃん、スーは嘘つきだな」

「シュン!なんで戻ってきた!お前が狙いなんだ!早くお逃げ!」

「まったくだね、お前が出てくるから余計拗れる、隠れてるか逃げてれば俺はスーと今にも幸せになれたのに」

何処か狂気じみた顔で言う。

「ガク…なんで…なんで…こんなひどい事を…」

「うるせぇ!元々はお前があんな所で倒れてなければ良かったんだ!

 あんな所に居るから、優しいスーはお前を拾った!

 お前は…お前は俺達に不幸を齎すんだ!

 俺がどれだけノワル国の奴らに情報を売って!スー達を守っていたと思うんだ!

 お前さえ来なければ!お前が邪魔だから!だから俺は!」

狂ったように叫びだすガクに何も言えずに呆然としていた。

「…ハァ…ハァ…それに聞いたぞ…お前、魔族の手先なんだってな。

 従者に罪を擦りつけて殺して、村人も何十人と殺したそうじゃないか。

 ッハ!とんだ勇者様だなっええ!?確かに、お前は勇者だよ魔族のな!貴様が居ると人間は皆不幸になるんだよ!」

「それは…!…俺じゃない…」

「じゃあ、誰だって言うんだ!この現状にしたのは間違いなくお前だよ!お前がスーを不幸にしたんだ!」

「ガク何言ってるんだい!これはお前がした事だろう!」

「何を言ってるんだいスー、俺はスーの為…」

「何がアタイのタメだい!お前が勝手にやった事じゃないか!アタイの仲間たちを皆殺して…」

「うるさい!うるさい!うるさい!スー何故君まで俺の敵になるんだ!?

 …そうか…シュンまたお前か!お前が誑かしたんだな!貴様も殺してッガヒュ…」

叫んだ瞬間ガクの胸から矢が生えた…

「まーったく下等種族がやーだねぇ、醜いったらアリャしないわ、そう思わない?元勇者のシュン君?」

あれは、グリム…か?

「お、俺は人間…」

「ハハハ面白いね君、我等が唯一神を信じない奴が人間なわけないじゃん、神様信じない奴は人間以下だよ

 俺達人間は神様の恩恵の上でこうやって生きてるんだ、そう言わば魔を滅ぼすタメの尖兵だ

 だからさ、君たちは人間じゃないんだ、動物と一緒だよ、わかる?」

「クソ……クソ…全部…貴様のせい…だ、シュン!」

「あーうるさいから早く死んでくれ、ね?」

そう言ってグリムが弓を引く。

「止めろおおお!!」

叫んでとめようとするが。

「あれあれ?いいのシュン君、離れるとその子死んじゃうよ?」

そう言って矢を2本同時に射る。

「くそ!」

これ以上、俺の大事な人達を殺させたくない!

「うおおおおおおおおおおお!」

盾でスーに向かった矢を防ぎガクの方に向いたが、ガクの頭に矢が…

「あーあ、死んじゃった~可哀想にねぇ、君と拘ったからまた一人死んじゃったね、まったく後何人身近な人を死に追いやれば気が済むんだい?」

守れなかった…また…なら……スーだけでも!

「スー!逃げよう早く!」

「ガク…バカ野郎…」

「スー!」

ダメだ…今のスーには何も聞こえてないみたいだ、なら…出来る限り守ってなんとか逃げ出す算段を…

「じゃー、ボクは疲れたので後任せるよ~勇者さん後宜しくねー」

「あいよ~、つっても、初陣なのに2人しか敵いないって引くわー…ぬるゲーってレベルじゃねーわコレ」

その言葉でグリムの方に向きなおす。

そこには、見た事のない人物が。

「おおっと、自己紹介を忘れてたわ、70番目の勇者のノトだ、名前は気に入らないから苗字だけにしている。

 あんた68番目らしいね極悪非道で悪魔に魂売ったそうじゃん、ゲームに居そうな悪役だなぁ。

 ま、チュートリアルっぽいから早く死んでくれや、現実だからスキップできねーしな」

そう言うと突っ込んでくるノト。

「くそ!」

すぐに剣を取り出し防ぐ。

「…面倒くせぇ早く死ねよ!」

「っく!」

どこかぎこちない振りで何度も何度も剣を振り回してくる。

だけど、俺には能力もあるし、ずっと剣の練習はしていたんだ、そうそう遅れをとるつもりはない。


「だー!なんなんだこいつは!テメーはやる気ねーのか!てめーは雑魚敵なんだから早く死ねや!」

「俺は死ねない…こんな所で死ねないんだ!」


20合は打ち合っただろうか…?

ノトは息を切らして剣の振りも悪くなってきている、このまま待っていれば…

「あれーまだ続いてたんですかぁ、まぁシュンさんの能力って反則ですもんねぇ、じゃあボクもお手伝いしましょうかねっと!!」

「まぁ、気に食わないけど…グリムありがとうよ!」

「いいんですよノト様、早くそいつら殺して帰りましょう」

そう言うグリムが弓を連射し始める。

「くそっ…これじゃあ…」

また、俺は守りたい人を守れず…嫌だ…これ以上!死なせたくない!

「やらせる…もんかああああ!!」

矢は全て能力に任せてノトに思いっきり斬りかかる。

「うおっ!やる気出しやがった!雑魚は雑魚らしく死ねやあああああ!」

確かにノトは勇者らしく力は遥かに強い…けれど!

押される程俺も弱くない!

何度も振り打ち合い相手を奥に押し込んでいく。

何回か打ち合った時ノトがバランスを崩した。

「おおおおおおおおおお!!」

「くそっ!」

振り下ろそうとした瞬間。

「あれあれ?いいんですか、その女性と離れちゃって」


瞬間スーの方を向く…が…


スーの胸には幾本もの槍が刺さっていた…


「スー…」

「シュン…ごめんよ…ありがとう」

槍は引き抜かれスーが力なく倒れた。

「スウウウウウウウウ!!」

俺は無我夢中でスーの下へ駆け寄り抱き上げる。

けど、すでに…


「あー死ぬかと思った、兵士諸君、グリムありがとうよ助かったわ」

「ハハハ、いいんですよ下等種族の掃除ですし、貴方は勇者様なので死んでもらっては困りますから」

「まったくだな、こんな面倒臭ぇイベントは早く終わらせて戦場に出て勇者らしく魔族をぶち殺してーわ、じゃあ元勇者さん死ねよ」

いつの間にか、俺の後ろまで近づいていたノトが剣を振り下ろす。


また、救えなかった…確かに俺は勇者なんかじゃない…

それに…ノワル国の軍人がどうしても許せない…

あいつらが…俺を此処に呼んだから、俺はこんな辛い思いをして。

死ななくていい人達は死んで…

もういい…楽になりたい、悩むのなんてゴメンだ…

けど…死ぬのもゴメンだ…

それなら、殺してしまおう…コイツ等を…ノワル国の奴らを…

スー達人間を下等だと蔑む奴らを!!


心の黒い部分が爆発したような気がした。

視界は真っ暗で、けどアイツ等はハッキリ見える。

コイツ等が敵…死ね……死ね死ね死ね!!






━━Side グリム━━

「え…?」

目の前で起きているのは何だろう…

あの女山賊を殺してシュンがそこへ駆け寄りノトが振り下ろし殺そうとした瞬間。

シュンの身体から黒い魔力が溢れたと思ったら…

下等種族どもの死体が起き上がって…兵士達を襲い始めた…

なんだこれは…一体何が…?

矢を放って頭をぶち抜いてるはずなのに…なんで死なないんだ!

首を落としても死なず足を切り落としても動き続ける…

なんなんだよ!神よ!レギシッダ様!

腕一本になっても動き続けるこの動く死体ゾンビ達。

抵抗していると森の中からもうめき声が聞こえて来たかと思えば。

「あれは…ヒッガーザ国の兵士たち…?」

全滅したヒッガーザ国の兵士達100人も動く死体ゾンビとしてここに…

これは悪い夢なのか…?

動く死体ゾンビ達に殺されていく兵士達も少しすると同じ動く死体ゾンビとして襲い掛かり始める。

「くそ!これじゃあ被害が増えるだけだ!ノト様!逃げますよ!退却!退却!!」

「ああ!?くそ!そこの偽勇者!憶えてろよ次はぶち殺す!」

けど、その瞬間ノトに動く死体ゾンビ達がノトへ一斉に襲い掛かっていた。

「なんなんだよ!ファンタジーの次はバイオか!?離せ!オラァ!」

半ばもがきながらも剣を動く死体ゾンビ達を斬っていくが、動く死体ゾンビは300近い数にまで膨れ上がっていてどうしようもないように見えた。

一人、また一人とノトの腕や足に噛付いたり引掻いたりと襲いかかる。

「うぐぁぁあああ!いてぇ!くそっ!いてぇよ!グリム助けてくれよ!」

だが、俺に振られてもどうしようもないだろう…見捨てるかどうせ消耗品だ。

「退却だ!逃げ遅れた奴らは置いていく!」

「グリム!助けろ!グリ・・・あああああああああ!!!…ぁ…」

踵を返して襲いかかる時に案内された裏口から城へと退却した。

こちらの兵力1000程居たのがあのシュンの力によって半数近くも被害を受けてしまった…そしてあの動く死体ゾンビ

シュンめ…まさに悪魔か…






━━Side シュン━━

気がつくと俺は木の床に寝かされていた。

「っう…ここは…?」

周りを見渡してみるけれど、これといって目立つ物は無く、ノワル国に捕まったわけではないように思えた。

なんでこんな所に?スーが死んで…俺は何をした…?

考えていると。

「…んー?おっ!リョウちゃん!起きたよ!シュンが起きたよ!」

この声は…確かヒナって言う子の声だっただろうか?

「おー…ようやくお目覚めか、いやぁ…心配したぜぇ。お前を探してたら異常な魔力を感じてなぁ急いで着てみたらよ

 ノワル国の奴らが洞窟から出てきてな、焦ったように逃げていくのが見えてなぁ。

 その洞窟に入って奥まで進んで外に出たらよ山賊やらノワル国とヒッガーザ国の兵士達の死体が動いてるんだもんよ。

 いやぁ、ここに2年ほど居るけどゾンビなんて初めてみたよ~あれってシュンがやったの?」


ああ…そうかやっぱりアレは夢なんかじゃなかったのか…

「たぶん、俺がやったんだと思います…あまりにも現実味がなくて信じられませんが…」

「なるほどねぇ、山賊達と同じ服着てるって事は山賊と暮らしてたのを攻められたって感じかね」

「もーあのゾンビ達怖かったよー、下半身が無いのに襲い掛かってきたりさー。私じゃなかったら死んでたよ!」

「うん…だからヒナに行かせたんだけどな、俺じゃ死んでたよッハッハッハ」

大袈裟に笑いながらリョウは俺に視線を合わせる。

「ところでシュン、何か変わった感じはしないか?胸のあたりがモヤモヤしたりとか」

「あ、うんなんか黒い雲みたいなのを感じるけど…」

「うん、それが魔力だ意識しないと普通わからないはずなんだけどな、ま!それだけ魔力が高いって事だな!」

これが魔力…けど魔法の使い方がわからないな…

「魔力の存在は感じる事は出来るけど…使い方がわからない…」

「まぁ、闇属性なんて使えるのは魔王かレグ国の一部の魔族ぐらいだしなぁ」

そういえば、リョウはアグニス国の人だったっけ。

「ところで…リョウ…俺はこれからどうなる?」

「んー…まぁ希望としては一緒にアグニス国で戦ってほしいがね、殺し合いがやだってんなら一国民として暮らしてもらうかな、まぁ、戻る手立てが見つかれば戻らせるよ」

「わかった、俺も戦う」

「だよなぁ…そりゃあんな惨劇の後だ悩むのはわかるよ……って…えええ!?」

「だから俺もアグニス国で戦う」

「あっああ…けどいいのか…?」

「構わない、正直同じ世界の人間とは戦いたいとは思わないけど…ノワル国の兵士達は憎いから」

シャルやスー…を奪ったあの国が…

「まぁ、戦う理由は人それぞれだ、とりあえずアグニスへ戻ろう」

「リョウ、国境は激戦区なんじゃないのか?俺達3人で相手の陣地を越えて国境なんて…」

「んにゃあそこは流石に無理だわ、この近くに洞窟があってな、そこから国境を越えられる、まぁキメラがそれなりに居るから危険なんだけどな」

シャル…ごめん、君は望んでいないかもしれないけれど…俺はあの国を潰す…君の仇が取りたいんだ…許してくれるかな?

「むー、リョウちゃん私まだシュンに挨拶してないのにぃ…話し進めないでよー」

「すまんすまん、シュンこの小さい子はヒナコだこう見えて22歳なんだぜ?」

そう言った瞬間ヒナコがリョウへ5,6発ほど高速で殴っていた。

「誰が小さいだぁ!馬鹿リョウちゃん!殴るよ!それに女の子の年齢を言うなんて最低だよ!2回殴るよ!」

「ヒナ…もう殴ってるよ……2回以上…げふぅ…」

22歳…?この150cmあるかないかぐらいのこの子が…?

「ああ!シュンも私を22に見えないって思ってる!ひ…ひどい…」

目を潤ませながらこちらを見てくるヒナ…どう見ても20には見えない…

「ご、ごめん…まさか同じ年齢とは思わなくて…」

「ええ!シュンちゃんって私と同い歳なの!?わーなんかうれしいなぁ」

そう言いながらはしゃいでいるヒナコを見ると同じ年齢とはとても見えなかった。

「いてて…さてシュンとも合流できたし洞窟へ向かおうここからなら1時間もしないだろう」

そう言って、リョウは馬車の運転席へ座り馬車は走り始めた。

10話目了です。

ようやくリョウとヒナと合流して魔族国に向かう事になりました。

少々急ぎすぎな気もしますが…どうでしょう?

読み直すと此処直した方がいいかなぁとか

もっとボリューム増やした方がいいかなぁと思ったりするのですが。


ただでさえ、設定が多かったりするためこの辺は急いでる感がしちゃってるんですよね…うーん…


誤字脱字等見つけましたらご一報ください。

感想等もお待ちしています。

では、また次回

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