魔法の遺産~運命の紡ぎ手~ 第五話 記憶の一欠片
今回は予定通り、予約配信です。相変わらず早い時間なので更新しても誰も知らないのだろうと思いますが。休みでしょうか。皆様は。私は今のシフトでは公休なのですが、次第に日数が増えるので、いつか土曜日も消えるかも。前の日に野球見ながらかもしれませんね。今日はM3。もうすぐだ。今週中に優勝してくれないとビールかけがみれない。頼むから公休の間にしてくれ、と密かに願ってます。そんな話は物語に関係ない。どうぞ短いですがずずいっとどうぞ。
「それじゃぁ、最後の一日いってきま~す」
ステラは通勤している街の図書館の途中まで馬車で行く。一応、姫であり、王位継承者である。誰かに誘拐されることがないように、途中までは厳重警備なのだ。図書館の中にも私服の警備員がいる。さりげなくいるため、ステラしかわからない。その警備も終わりだというのでいくらか明るい雰囲気が彼らにあった。
「えらく荷物持ちだったのね」
警備主任にぼそ、っと言うとステラは仕事をする。これで最後。思うだけで涙がこぼれそうだった。こんなに大好きな仕事とこれからの執務。両天秤にかければ勝つのは圧倒的に司書だった。けれど、姉の開けた穴を埋めることもしないと行けない。ステラには王族の意識がしっかりと根付いていた。誰かに王族の勤めの大事さをこんこんと説明されていた記憶がある。母かと思っていたが、あれは父だったのかもしれない。自分と同じく、自由になれない身分を思って伝えていたのかもしれない。
そんな考え事をしているとどん、と誰かにぶつかって本が落ちた。
「すみません。お客様。お怪我はって……レイスなの?」
「いちゃ悪いか?」
「別に。私は仕事に戻ります」
すっと本を拾って通り抜けようとしたときレイスが引き留めた。
「何?」
思いの外いらだった声で自分もびっくりした。レイスもびびっている。
「最近の王族の系譜が書いてある本があると聞いている。閲覧したいのだが……、忙しいのなら別の……」
「みんなが私に回してくる仕事でしょうが。こっちよ」
ステラはレイスを閉架図書の部屋につれていく。マルコムが見ていて軽く肯いたのでそのまま階段を降りる。
「えーっと王族関係の本は……。こっちね」
すたすた広い閉架図書の迷路をなんなく通り抜けるステラである。レイスはそれに着いていくのに必死だ。
「はい。これ。禁帯出本だから、持ち出し禁止ね。さ。上がりましょ」
ずしり、と重い本を数冊レイスの両手に乗せるとステラは図書館に戻り出す。レイスは必死になって階段を上がる。
「なんつー重さ」
ようやく元の部屋に戻った頃にはレイスは汗だくになっていた。
「この部屋は温度調整してあるから、汗は簡単にひくわ。戻すときは声かけて一緒に行くから」
「あ。ああ……。ありがと、な」
照れながら言うレイスにステラはにっこり笑う。
「最後の日ぐらいいろいろしたいの。何でもござれよ」
その笑顔の後ろに悲しみが伴っていることがなんとなくわかる。声をかけようとしてとまる。
この悲しみは王族に生まれた証。むやみに声をかけて励ませるものじゃない。
レイスはなぜか王族の心得を思い出して止める。自分の中にそんなもの自体があるのが信じられなかった。
これが記憶の欠片?
レイスの記憶の欠片の一欠片がはじめて戻った時間だった。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
途中で止まっている話なのであと少しで中途半端な処になります。これも長くなりそうで。
ロマファンと言えばそうですが、ファンタジー小説の色合いが濃い。だからビューもないんでしょうね。
恋愛ファンタジー小説と長らく分類していたのですが、どうも違うらしい。ということでロマファンという括りでだしてます。それでは次話でお会いしましょう。