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AI少女、今日も成長中!  作者: 回路屋
第2章:動き出す巨悪篇
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第11話:テータの一日

テータがレイナの付き人になってからひと月の月日が流れた、

そんなある日、1階のキッチンから爆破音と衝撃が家中をかけた。

それを聞いたレイナは、頭を抱えながらもキッチンへと向かっていった。

「テータちゃん?大丈夫?」

「ケホ…。レイナ様ごめんなさい…。またやっちゃいました。」

そこには、黒煙を上げる炊飯器が見えた。

「えーっと、テータちゃんって、もしかして電子機器苦手な感じ?」

「なにもしてないのに、壊れちゃうんです…。」

「それは、もはや才能では?」

ここ一ヶ月、レイナが仕事中に率先してテータは家事を手伝っていたが、触る電子家電がすべて爆発し、使えなくなる事象が多発していたのである。

「ちなみに、今日は何をしていたの?」

「昼食を作ろうと思って、炊飯器のボタンを押したらボーンって…。」

テータは少し涙目になりながら、事の次第を話した。

「(うーん。ここ数日のテータちゃんの状況を見ると、電子機器に触らせないほうがいいのかな?そういえば、倉庫にあれがあったはず。)」

「今日のお昼ご飯どうしよう…。」

「だったら、飯盒でお米を炊いてみるのはどう?」

「飯盒ですか?」

「うん。これなら爆破しないんじゃないかな?倉庫に眠ってるはずだから、一回水で洗ってから使ってみよう。」

「わかりました。やってみます!」

テータはすぐに倉庫に走り、飯盒を取りに行った。

しばらくすると、テータが飯盒を持って戻ってきた。


レイナの自宅にはキャンプ場を模した設備が整っているため、そこでお米を炊いてみたところ、なんと普通に成功したのであった。

「やりました!初めてお米が炊けました!」

「よかったね。」


ナターシャとナズナは、これを陰で見ていた。

「レイナ様、よく気づかれましたね。電子機器に触ることが問題だってことに。」

「状況判断、分析そして解決策すべて完璧だったね。」

「素晴らしいことです。ご主人様もお喜びになりますね。」

「というか、どうする?家事家電大体爆破しちゃったけど。」

「しばらくは、アナログに頼るしかなさそうですね。」

「だよねー。久々のアナログ方式だから、復習しておかないとね。」


その後、レイナたちはテータが初めて成功した昼食を食べ終え、レイナは執務作業に戻り、テータはナズナとナターシャからアナログ方式での掃除方法を教わることとなった。

執務室に戻ったレイナは、収入と支出を計算していた。

「輸入をほぼしていないから、大分お金に余裕が出てきたからそろそろ輸入に手を伸ばしてもいいかもね。」

レイナは立ち上がり、各国の特産品が記された資料の束を探し読み始めた。

「私たちに必要な物といえば…、工業用の機械油かな。(最近は、公害対策を重点目標に置いてるから、植物油があればいいんだけど…。)」

ページを捲っていくと、とあるページで手が止まった。

「これは…。エルフ国の特産品に植物油がある…。(詳細情報が書いてないからわからないけど、これは行ってみて確認したいな。)」


一方その頃。

テータは、ナズナとナターシャから雑巾掛けの基本を教わっていた。

「いいですか?雑巾掛けは上から下、奥から手前にかけるのが基本です。」

「勉強になります。」

テータはナズナの話を聞きながら、メモ帳に記していった。

「それでは実践してみましょう。あらかじめ、上方の掃除は終わらせてあります。今回は床掃除をやっていきましょう。」

「はい!」

「まずは窓を開け、床に落ちている埃を一掃します。」

ナズナは、モップを手渡した。

「どの程度までやればいいんですか?」

「とりあえず、10分間程度床を掃除してみましょう。そうしたら、本格的に水拭きを行います。」

「わかりました!」


テータは、窓を開け、黙々と床のモップがけをした。

その所作は無駄がなく、部屋の隅々まで手が行き届いていた。

「ナズナさん、終わりました!」

「上出来です。ここからは、雑巾を使っての掃除です。ここからは、ナターシャ先輩に交代してもらいます。」

部屋の奥では、バケツに水を汲み準備を終えたナターシャが待っていた。

「テータちゃん。こっちにバケツ準備してあるから、こちらにおいで~。」

「はい!」

「いい?雑巾掛けで使う雑巾は厚手のものより、薄手のほうが絞りやすいからこっちの方を選ぶといいよ。ちなみに手が荒れるとかある?」

「特にないので大丈夫です!」

「それならよかった。もし、気になるようだったら言ってね。ゴム手袋は用意してあるから。」


その後、ナターシャは雑巾の絞り方のコツを教え、テータに実践させた。

テータが水に手を触れた瞬間、ナターシャは僅かに空間の異変を感じ取った。

普通では気づかないほど微弱ではあったものの、肌に何かが突き刺さるような感覚がしたのだ、

「(ん?これは静電気?いや、何か違う…。)」

「どうかしましたか?」

「いやなんでもないよ。さあ、部屋一帯を掃除してきて。」

「わかりました!」

テータは元気よく、部屋の隅々を雑巾掛けした。


その最中、ナターシャは先ほどの僅かな異変について考え、難しい顔を浮かべていた。

それに気づいたナズナが、ナターシャに近づいて小声で聞いた。

「ナターシャ先輩どうなされたんですか?顔が怖いですよ?」

「もしかしたら、テータちゃんのドジっ子属性はもともとの性質じゃないかも。」

「どういうことですか?」

「これは仮説だけど、彼女の固有能力は『電気系統』だと思う。さっき水に触れた瞬間、僅かに電気的な刺激を感じたんだよね。しかも、微弱だったけど空気に伝わるほどだった。」

「その仮説が正しいなら、電化製品が爆破するのも納得がいきますね。」

「うん。おそらく、その能力が常時発動していて、テータちゃんの周りに構築されている。それが電化製品の不具合を誘発し、爆破に至った。これが結論かもしれないね。」


そんな話をしていると、掃除を終えたテータが戻ってきた。

「終わりましたー!」

「お疲れ様です。本日のお掃除はかなり良かったですよ。」

「初めてにしては、かなり上手でしたね。昔やってたりした?」

「先輩たちが教えるのが上手なんですよ。」


こうして、しばらく光萼家では家事のデジタルデトックスが行われ、可能で範囲はアナログ方式の家事が再採用されることとなったのであった。


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