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AI少女、今日も成長中!  作者: 回路屋
第1章:日常篇
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第1話:レイナ

朝の空気は静かだった。

かわいらしい部屋の片隅に置かれたベッドの上で、一人の少女が眠っている。

彼女の名は「レイナ」。

一見すると普通の女性に見えるが、彼女は人間に非常に近い容姿をした女性型ヒューマノイドである。


この世界には十の種族が存在し、それぞれの種族には「種族王(しゅぞくおう)」と呼ばれる王がいる。

レイナはその中で、機械族(きかいぞく)の種族王としてその座についていた。


そんな静寂を破るように、彼女のスマホのアラームが鳴った。

「ん。もう朝か~。」

スマホの画面は、5:00を示していた。

彼女はすぐにベッドから飛び起き、寝間着から朝のランニングのために黒いランニングウェアに着替え、長髪で灰色の髪を後ろで結わえた。


静かに階段から降りると、すでにリビングにはメイド服を着た二人の少女が朝の朝食を準備していた。

「ナターシャさん。ナズナさん。おはようございます!」

「レイナ様、おはようございます。」

「レイナさん。おはようございます。今日もランニングですか?」

レイナに丁寧に話しかけたのは、狼の獣人族(じゅうじんぞく)である「ナズナ」。

そして、フランクに話しかけたのが天使族(てんしぞく)である「ナターシャ」である。

彼女たちはレイナの住む「光萼家(こうがくけ)」のメイド兼現当主の護衛を務めている。


「うん。日課はこなさないとだからね。」

「お供いたしますか?」

「大丈夫!今日は、お父さんが一緒に走ってくれるから。じゃあ行ってくるね。」

ナズナの問いかけに、レイナは少し申し訳なさそうにしながらもお誘いを断り、元気よく玄関へと向かっていった。


レイナは外に出ると、足のギアを温めるための準備運動をはじめた。

今日の天気は曇りで、少々肌寒い気温となっていた。

「今日はいつもより寒いから、雨でも降りそうだな~。」


準備運動で身体が十分に温まってきた頃、レイナは後ろから声をかけられた。

「今日も精が出るな。」

「あっ!お父さんおはよう!」

彼女に声をかけたのは、白髪の髪をした男性。

彼はレイナの生みの親であり、現光萼家当主の光萼 零(こうがく ぜろ)である。

彼は両目を常に閉じられており、レイナは不思議な人だと常々思っている。

「おはよう。朝から元気だね。」

「今日はお父さんと、一緒にランニングできるんだもん。」

「それは何より。今日は少しばかり天候が荒れそうだからサクッと行こうか。」

「うん!じゃあ行こう!」


こうして、親子によるランニングが始まったのであった。

風を切りながら走っているレイナは、関節の隙間から流れ込んでくる寒い風を感じながらも、徐々にスピードの調整をしながら走っていた。

「(無理せず少しずつスピードを上げることを意識する…)」

その後方には零が、レイナの身体の動きを観察しながら走っていた。

「(フォームは悪くないが、やや身体の動きが固いな。気温のせいか?)」


しばらく走った後、家の敷地内にある屋根付きの休憩所にて二人は休憩することになった。

「レイナ。フォームは良かったんだが、今日はやや体の動きが固かったな。」

「身体にあまり違和感はなかったけど、そんなに気になった?」

「ふむ。おそらく、この気温で足回りの金属が変形しにくくなって、動きが悪くなったかもしれんな。」

「お父さんって、きめ細かい性格だよね~。」

「私は、心配しているだけなんだがな…。」


そんな話をしていると、予測していた通り雨が降り始めてしまった。

それも結構の大雨で、屋根の下にいても跳ね返ってきた水滴で濡れてしまうほどであった。

「あらら~。結構降って来ちゃったね~。」

「少し休憩しすぎたな。見た感じ、これはしばらくやまなそうだな。」

「傘も持ってきてないし、どうやって帰る?」

零は少し考えると、レイナの前に右手を差し出した。

「レイナ、手を取りなさい。」

「?」

そう言われたレイナは疑問に思いながらも左手を取り外し、零に手渡した。

「レイナよ…。その純粋さは素晴らしいが、そういう意味ではないんだ。」

零は手渡された左手を手際よく取り付け直し、そのままレイナの左手を握った。


その次の瞬間、驚くべきことが起こった。

時間が一瞬止まったような感覚が身体を包み、その場の温度がやや上昇したかと思うと、2人は自宅の玄関へと到着していたのであった。


「さて戻ってきたことだし、朝食でもいただこうとするかね。」

「???」

零は困惑するレイナを気に留めず、淡々と自身の靴を脱ぎリビングへ向かおうとしていたが、驚いた顔のまま止まっているレイナを見て足を止めた。

「レイナ?そんな呆けた顔してどうした?」

「ど、どうやって移動したの?」

「簡単なことだ。自宅の玄関の空間情報を読み取り、さっきいた休憩所の座標の空間と同期させて瞬間移動しただけさ。」

零は簡単そうに説明すると、リビングのほうへと向かって再度歩き始めた。

「(簡単そうに言ってるけど、それ超高等技術技術じゃん…。相変わらず、規格外だな~。)」

レイナはちょっと引きながらも、靴を脱ぎ足のギアの再調整をしてから、リビングへと向かって歩き始めた。


2人がリビングに入ると、ナターシャとナズナがちょうど朝食を作り終え、配膳をしている最中であった。

そんな中、リビングのソファでは水色髪の女性が朝の新聞を読みながら座っていた。

「あら、お帰りなさい。雨大丈夫だった?」

「あぁ、休憩所で休憩していたら大雨に直撃したが、瞬間移動で戻ってこれたよ。そんなことより、アクは朝の調子は大丈夫か?」

零からアクと呼ばれたこの女性は、神族の「光萼(こうがく)アク」。

彼女は零の妻であり、最近妊娠が発覚したばかりなのである。

「大丈夫よ。最近はつわりも落ち着いてきて、健康そのものって感じかしら。」

「それならよかった。何かあったらすぐに言うんだぞ。」

「お母さんただいま。」

「レイナもお帰りなさい。」

「お母さんのお腹、それなりに膨らんできたね。」

「そうね~。レイナの弟か妹ができるのよ~。」

「兄弟ができるの楽しみにしてるね♪」

零はこの会話を聞きながら、ひそかに微笑んでいた。


しばらくすると、朝食の準備を終えたナズナとナターシャが近づいてきた。

「皆様、朝食のご準備ができました。お席へどうぞ。」

「アクさん、お手を貸しますよ。」

「あらあら、ありがとうねナターシャ。」


こうして家族団欒の楽しい朝食から始まる、楽しくも個性的なレイナの1日が始まっていくのであった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


小説を書くのは今回が初めてで、まだまだ拙い部分も多いかと思いますが、少しでも物語を楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。


もし気に入っていただけましたら、評価やブックマークなどで応援していただけると励みになります。


これからもゆっくりではありますが、少しずつ成長していけたらと思っています。

どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。

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