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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
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ボス戦!?

 アルラウネは蔓を伸ばして私達を捕まえようとしたので、サダクは剣で切り捨てながら後ろに下がった。しかし、何本もある蔓は次々と襲ってきて……、つるつると襲ってきて……、ふ、ふざけている場合じゃ無いぐらい大量のつるつるなんだよぉ~!


「う~……、し、仕方ないけど……」


 私は退路を作るため魔法回復薬をがぶ飲みして巨大な炎の魔法をトレントの方に飛ばした。

 だ、だけど……


「う、うぅぅ、うぇっぷ……」


 やっぱり、凄い吐き気に襲われてしまった……。しかもトレントは次から次へと現れて全然逃げることが出来ない!


「ど、どうして逃げないの?この子達は炎が怖くないの?」


「親玉に操られているんだっ!」


「ななな……、うううぇっぷ」


 そしたら、私の右足をいつの間にかつるつるが掴んでいた。


「……えっ、えっ、えぇぇぇ~っ?!」


 アルラウネちゃんは、なんとそのまま私を真っ逆さまにして引っ張り上げたくれた。私は突然の攻撃で杖も薬も落としてしまった。


「なななぁぁぁ~……、み、見るなぁぁぁ~……」


 真っ逆さまになって制服のスカートがめくれて下着が見えそう……、いや、見えたよね……、ともかくスカートを押さえる事に必死になった。

 やばい、やばい、やばい……、も、もう駄目……。身体を激しく揺さぶられて、私の吐き気は遂に絶頂を迎えてしまった……。


「うぇっぷ……、ぐえぇぇぇぇぇぇぇ……」


 私の口からは汚物がキラキラと光りながら散り広がっていくのが見えて、私は命の危険の前に女として全てを失った気がした……。


「レ、レイラァァァッ!」


 私は恥ずかしさで真っ赤になっていたけど、サダクの一太刀が舞って私の足を掴んでいたアルラウネのつるを切ってくれた。無論、私はそのまま地面に真っ逆さま……。良いタイミングで切ってくれ~なんて思ったけど無理だよね……。


「ひぃぃぃ~~、落ちるぅぅぅ~……、あ、あれ?」


 だけど、何と幸いなことにトレント達の上に落ちた。余り傷つかずに済んだ。


「ふ~……。ん?ななな……?」


 それにしたってトレント君……。どうして逃げるんだい?あぁ、私の汚物の匂いがイヤなのね……。下敷きになったトレント君達、ありがとう。だ、だけど、避けられて軽くショックも受けたぞ……。


「サダク……。あ、ありがとう……うっぷ……」


 助けてくれたサダクも明らかに私を白い目で見ていた。で、ですよねぇ……。しかし、お、おぉ?


「サ、サダク、あなた三ツ目がっ!」


 閉じられていたサダクの三ツ目が開いていた。こ、これは……


「な、なに?三ツ目がっ!おぉっ!!す、すげぇっ!視界が広がったっ!そ、それに新しい力を感じるっ!」


 自分の三ツ目に驚いていたサダクだったが、残っていたトレント達が襲いかかった。


「サダクッ!トレントがっ!」


「大丈夫だっ!!」


 サダクは三ツ目の力、つまり、強力な念力で襲いかかって来たトレント達を空中に持ち上げると、アルラウネに投げ飛ばしてしまった。す、すごい!


『お、お前、三ツ目族だったかぁっ!』


「貴様っ!よくもレイラをやってくれたなっ!!」


 サダクは、アルラウネを怯むと今度は三ツ目の力を使って剣を一振りした。すると、念力を付与された剣からは鋭い鋭利となった風が飛び出し、アルラウネの身体を真っ二つに切り裂いた。この技ってゲームだと、なんとかっていう必殺技だったような……。風刀……?


『ギャァァァァ……』


 と、ともかく、アルラウネは断末魔と共に倒れた。

 ハァ~、サダクってば格好いい……。私は自分を守ってくれるその姿に胸が熱くなるのを感じてしまった。


「サダク、別のアルラウネッ!」


「な、なにっ!?」


 だ、だけど、また別のアルラウネが現れてサダクにつるつるを伸ばして身体を縛り付けてしまった。


「し、しまった……」


『良くも仲間をぉぉぉっ!食らうてやるっ!!!』


「くっ!」


 アルラウネの蔓は彼を縛り付けたまま引っ張って自分の下半身に引きつけていって、巨大な口にサダクを放り込もうとしていた。


「あ、あぁっ!!だ、駄目ぇぇぇっ!!」


 私はサダクのピンチに無我夢中になっていたと思う。だから、無意識のうちに魔法を唱えていた。


<< ワ・ルルユユ・ヤァァァ! >>


 気づいたら私の杖から飛び出した超特大な炎の魔法はアルラウネを直撃していた。


『ぐわぁぁぁっ!よぉ、よくもぉぉっ!』


 アルラウネは炎の中で断末魔を上げて燃え尽きていった。サダクを助けるためとはいえ、ご、ごめんなさい……。


「レイラ、助かったぜ……」


 トレント達もボスの洗脳が解かれたのか眼の色は元に戻って森の奥へと逃げていった。


「だけど、今、薬を飲まなかったよな?なんであんな強力な魔法が唱えられるんだ?」


 その巨大な炎にサダクは驚いているようだった。

 そうなのだ、魔力ゼロのポンコツ魔道士なのだが、私は大量の魔力を使う強力魔法を唱えたのだ……。


「う、うん……どうしてだろなぁ」


 実は知ってた。これはゲームの設定通りということ。

 つつつ、つまり、ゲームでは誰かに"恋"をすると魔力が貯まるようになる……。そ、その……、え~っと……、わ、私はサダクに恋してしまったということだった……。

 それが分かると私は身体が熱くなった。顔も真っ赤っかだったろうな。……しかし、ついでに例の症状が……。


「う、うぅぅっぷ……、げぇぇぇ……」


 はい、最悪っ!まだ吐き気が抜けていませんでしたぁ~、最悪、最悪、最悪ぅぅぅ……。


「し、締まらないなぁ……」


 サダクは苦笑いをしていた。く、くそう……。今度は恥ずかしくて真っ赤になった。


「うぅぅ……」


「ほら、水でも飲みな」


「あ、ありがとう……」


 どうやら私の吐き気症状を予想して水を用意していたようだった。うぅ、ありがたや……。


 し、しか~し、ここいら周辺は私の汚物やらキノコの匂いやらで、めちゃくちゃ臭かった……。私の制服も自分の汚物で……はぁ~……、クンクン……、ぐ、ぐぇぇぇ……。


 ま、まぁ、ともかく私達は何とかトレントとアルラウネを倒すことが出来た。ボス戦完了~っ!クンクン……くっさぁぁぁ……。


ワ 我は

ル 大きな

ル (前文字の強調)

ユ 炎を

ユ (前文字の強調)

ヤ 放つ!


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