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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
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ワガせ~しゅん

 たわいないことを話ながら私は、サダクと二人で目的地の北西の森に向かって歩いていた。ゲームだとドット絵で一緒並んでに歩くだけだったけど、ホンモノだとやっぱり違うというか、私は途中でハッと気づいた。これはデートってやつかもしれない!?


 も、もちろん、リアルで男の人にデート誘われたことは無かったしぃ?だから実は凄く嬉しかったしぃ?だ、誰かに見られたらどうしようとか思ったりぃ?ちょ、ちょっと良い感じになったりしたらどうしようとか思ったりぃ?

 色々考えていたら急に恥ずかしくなってしまった……。


「どうしたんだよ、急に黙って」


「えっ!?べ、別にぃ……」


 変な空気になっちゃった。

 でも、デートしている私が居るなんて不思議……。これがふつ~の女子なのかも……?


「ねぇ、サダク」


「な、なんだよ、今度は」


「さ、誘ってくれてありがとう……」


 私は何言ってるんだ?


「お、おう……?ど、どうしたんだよ、何か変だぞ」


 そうだ、そうなのだよ、サダク君っ!私は変なのだ。

 つま~り、ワガせ~しゅんは入院生活だけだと思っていたのだよ。しか~し、こんなワタシでもデートが出来るんだって思ったら……。


「お、お前……泣いてるのかっ!?」


「な、泣くわけないでしょっ!……グスッ」


 ちぇっ!泣いてしまったじゃないかぁっ!また変な空気になってしまったよ。サダク君、申し訳ない……。


「……サダク、ありがとね」


「……」


 私は、恥ずかしがっているサダクの少し後ろを歩きながら、彼の背中を見つめた。そしたら彼に対する色んな事が思い浮かんだ。

 初めて彼に助けてもらってからは、彼の背中がたくましく思えた。それからは、彼から話しかけられると心がドキドキした。それが恥ずかしかったからふざけたり怒ったりしたけど、本当はもっと話をしたかった。ゲームだとフムアルやシェラも攻略対象だから格好いいけど、サダクの強さに私は守られたいって思ってしまった。


 ちょっとだけ沈黙が続いちゃったけど、何だかんだで私達は目的地に到着した。


「着いたな」


「う、うん。早かったね」


 あれ?早いって思ったけど、空……じゃないけど、天井?から指している水晶の光を見て驚いた。なんと、学校を出てから二時間も経っていた。時間が経つのが早いなぁ……。


「あそこが依頼主の家だ」


「わぁ、大きいお家だね」


 まず私達は依頼主さんの家に向かった。地主さんらしくて家は大きくて、周りには沢山の畑も見えたし、そこで働いている人達も沢山居た。


「こんにちは」

「魔導学校からやってきました」


 私達は依頼主さんに挨拶をして目的地を教えてもらった。

 依頼内容は、森に住み着いているトレントとかいう木の化け物を森の奥に追いやるという仕事だった。依頼主は森を伐採して畑を作りたいみたい。


「あいつらか」


「う、うげぇ……」


 目的地の森の中にはトレントがウジャウジャいた。

 このバイトは魔物を倒すわけじゃ無いから少しは楽ちん……と思ってたけど、トレントって木に顔が付いた人面樹なのよ?それが歩いて襲ってくるんだから気持ち悪いやら怖いやら。しかも、この子達って獲物を捕まえると自分達のボス、アルラウネ族に献上するらしく、彼らはそれを食べちゃうとか……。私達も獲物の範疇でしょ?マジで怖いんですけど!


「よしっ!始めようぜっ!」


「う、うんっ!」


 取りあえず、トレント追っ払いバイトの開始!頑張るぞ~!


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