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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド壱の二:嫌になったら生まれ変われば良いんじゃね?
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転生への道③

 次に松田が目覚めたのは自分の部屋だった。


「はっ!?」


 頭を上げてもう一度確認したがやはり自分の部屋だった。部屋は真っ黒で静かだった。遠くで車の音だけが聞こえていた。次の瞬間、あの声がまた聞こえてきた。


"起きたか?"


「ヒッ!ゆ、ゆめじゃなかった……?」


"夢なんかじゃないよ、さぁっ!私が転生の能力を授けてやる。さぁっ!やるよ"


「え、えぇ?い、いま?」


"おいおい、忘れたのかい?お前がひで……何とかになれるんだよ?"


「ひでゆき……」


"そうそう、ひでゆき、ひでゆき。さぁ、あぐらを組んで目を瞑って相手のことを思うんだ"


「う、うん」


 松田には何が何だか分からなかった。しかし、幼さ故の素直さは彼をその声に従わせた。


"そうだ、そうだ、あいつのことを考えるんだよ、集中するんだ"


 言われるがまま、彼はじっと目を瞑って開成英之のことを思った。


"う、うぅぅ"


 始めは何も思い浮かばず、どうしよう、これで終わりではないかと焦った。


"ふふふ……、やるねぇ……"


 女の気味の悪い笑い声が聞こえたとき、松田は目を開けた。すると自分の身体が空中に浮かんでいたので何が起こったのかと思った。


"なななっ!どどど、どうしてどうしてっ!?"


 目の前には、目を瞑っている自分が居たので自分は一体何者だろうかと思った。


"どうしてぼくがいるのっ!?"


 闇の声は彼に声をかけた。


"気にしなくて良いんだよ"


"き、気にしなくて良いの?"


"そうさ、順調だよ、成功に近づいているっ!そのままあいつのことを考え続けるのさ"


"わ、わかったけど……だ、だいじょうぶかなぁ"


"良いから良いから、全く問題ないよ。さぁ、続けるんだよ"


"うぅぅぅ……"


 疑問は沸いたが声の言ってるとおりにした。


"かいせい、かいせい……"


 すると今度は自分の身体が天井に近づいて今にもぶつかりそうになった。


"あっ!ぶ、ぶつかる~っ!!"


 そう思った瞬間、身体は天井をすり抜けて、あっという間に大空へに浮かんでいた。


"す、すごい……"


 更に彼の身体は上昇していき、自分の家の屋根が小さくなっていき、周りの家々も小さくなっていき、遠くには海が見え地平線も見え、大きな山も見え始めた。


"と、とんでるよっ!ぼくとんでるぅっ!"


"ふふふ……、やるねぇ、やるねぇ。お前は凄いのさっ!もっともっとあいつを考えるんだよっ!さぁっ!さぁっ!"


 女は何故か興奮気味で、松田はおだてられて嬉しくなって声が大きくなった。


"うん、分かった~っ!!"


 松田は、もはやその声を疑う気持ちなど無く、ただただ従うのみだった。


"よぉ~し、ひでゆきぃぃ……、ひでゆきぃぃ……"


 更に開成の事を思い続けると、身体が何処かへとものすごいスピードで動き出し、とある家に近づいていった。


"あぁっ!こ、こんどこそ、ぶつかるぅぅぅ"


 しかし、天井を突き抜けたときと同じようにその屋根をすり抜けて彼の身体は家の中に入っていき、寝室と思われる部屋で身体が静止した。驚いた事に、目の前には開成が親と一緒に寝ていた。


"あっ、ひでゆき……。ここはひでゆきのいえだったのか"


"はぁぁぁっ!良いぞぉ、良いぞぉ、もっとこいつのことを考えるんだよっ!"


 女の声は彼の背中を押し続けた。


"も、もっと?"


 言われるがまま、松田が開成の事を思うと、身体は彼の方に更に引き寄せられて、そのまま開成の方に移動した。


"……あぁ、あぁぁっ!"


 そして、自分の身体が開成に重なった瞬間、目の前が真っ暗になって意識を失った。


----- * ----- * -----


 その時、松田の部屋では、彼の身体が何かが抜けたようになって布団の上に倒れた。闇の者は、その身体を見つめて高笑いをした。


"あぁ、やるねぇ、あははははっ!ヒヒヒヒヒッ!凄いじゃないか、本当にお前はと・く・べ・つだねぇ。どうしてお前にそんな力があるのか分からないけど今後も利用させてもらうよ……。その身体はこの星の仲間にくれてやるっ!あははははっ!あはははは……"


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