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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド壱の二:嫌になったら生まれ変われば良いんじゃね?
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出し物決定①

 生徒会への謝罪?が終わった津名達は、教室に戻って文化祭の準備を進めることにした。


「さ、教室に戻ったら出し物を決める会議を開くわよ」


 大寬が全体を仕切るようにそう言った。津名も同意した。


「そうだねっ!楽しい出し物にしたいな」


 出し物は、クラス全員で決めても良かったが、代表者を文化祭員が決めていくつか候補をあげるという手はずになっていた。


「お前たちの教室に着いたね。それじゃあ、余は帰るよ」


「え~、お姉ちゃんも一緒に考えようよっ!」


 津名達のクラスに到着したところで珠川すみは帰ろうとしたが、珠川えんが寂しそうな顔をした。すみはうざったそうな顔をした。


「何で余がお前たちのクラスの出し物を考えないといけないんだよ」


「良いじゃんっ!お姉ちゃんの知恵袋が必要なのっ!」


「なんだい?そのお婆ちゃんの知恵袋みたいなもんは。余がババアだとでも言うのか?」


 他のみんなは、そうかもしれないなとちょっと思ったが、取りあえず黙っていた。しかし、珠川えんは、どうしても彼女に居て欲しいのか涙目になっていた。


「違うよぉ~、でもぉ……お姉ちゃんの……うぅ~……」


 妹が泣きそうになると姉は面倒だなと思いながらもあきらめ顔になった。


「分かったよ、まったく。子供みたいになりおって……」


「ホントッ?ありがと~っ!お姉ちゃん大好きっ!」


「……お前だって同じぐらい生きているだろう」


「えへへ~。私はお姉ちゃんみたいに頭が良くないもんっ!」


 すみは、抱きつく妹に困った顔をしていたが嬉しそうでもあった。こうして、身体は小学生、中身は500歳を超える老婆……もとい、経験豊富な珠川すみも、津名達のクラスの出し物検討会議に参加することになった。


 結果、津名、大寬まや、珠川えん、そして、特別枠①として、珠川すみ、更に特別枠②として、幽霊クラスメイトの日高麻帆が、文化祭出し物決定会議の代表者となった。

 教室に入ると、大寬が書記の要領で「クラスの出し物」と電子黒板に映し出した。


┌───────────────────┐

│文化祭出し物会議           │

└───────────────────┘


 最初は大寬がアイデアを出した。


「喫茶店とかどうかな。コスプレするヤツ」


「ありがちぃ~っ!でも、良いかもっ!」


 珠川えんは同意するようにそう言った。


「大寬もやりたいって」


 宇宙からやって来たネシュレの宿った元大寬と言える、大寬まやもやりたいらしかった。これには、日高もそうだったが、他のみんなも驚いていた。


"おぉ?元まやちゃんもやりたいですと?この頃、積極的じゃまいか"


「がんばって変わろうとしているのよ……ね?」


 独り言のように自分の中の元大寬にそう言った。するとおしとやかな声に変わって元大寬が答えた。


「……はい、皆さんといると勇気がわいてくるんです」


「大寬もアゲアゲじゃんっ!私もコスプレしたいっ!中学校でやったけどいまいちサゲネタだったんだよね」


「えん、その変な言葉は止めろと言ってるだろ」


"すみさん、それは気分アップとネタが面白くなったという意味ですっ!"


 珠川すみが妹の言葉遣いを注意すると、日高は聞かれてもいないのにギャル語を説明した。


「……分かってるよ、お嬢ちゃん。こいつがアホっぽいのが気に入らないのさ」


 えんは口を尖らせて、日高は冷や汗を流した。


「ぶぅ~」

"で、ですか~"


「んじゃさ、お姉ちゃん。なんかいいやつない?」


「全く……、余はオマケで来てるんだよ。自分で少しは考えなよ」


「ぶぅ~~」


 またも珠川えんは口を尖らせたが、すみは言葉を続けた。


「まあ、そうだね。脱出ゲームというのはどうなんだい?」


 何らかのアドバイスをするので優しい姉だなとみんな思った。


「おぉ、さすがお姉ちゃんっ!あれって面白かったよね~っ!」


「脱出ゲーム?えぇ、何かから脱出するゲーム?ファミコン?」


"津名氏、テレビゲームじゃないぞ。みんなで謎を解く、リアルなゲームのことじゃぞ、後で調べるが良い"


「へ~」


「ねぇ、ねぇ、お化け屋敷とかどう?アゲアゲな感じでさ~、はっ!気分が上がりそうでいいかなと」


 今度は、珠川えんがギャル語を訂正しつつアイデアを出した。


"それもいいね……、ん?ちょっと待てよ、あたしはリアルお化けじゃまいかっ?!これは前代未聞の出し物になるやもしれぬ"


 日高が変なことを言うので珠川えんは吹き出してしまった。


「ぷっ!なにそれ、受けるんですけどっ!私は吸血鬼役とかどう?」


"おぉ、ここにもいた~っ!"


「バカな事言ってるんじゃないよ」


「シュ~ン……」

"シュ~ン……"


 しかし、すみの一言で二人は一瞬で落ち込んだ。


 皆が話している横で、津名は一生懸命"脱出ゲーム"を検索するために文字入力していた。


「ちょっと、津名、あんたは何もないの?そんなの後で調べなさいよっ!……というか音声入力はどうしたのよ?」


「えぇ~、文字入力を勉強しないとさ……。このフリフリ入力だっけ?よく考えられてるね」


「んなことはどうでも良いのよっ!」


「そんなことって、酷いっ!勉強しているところなのにっ!」


「勉強じゃなくて、出し物のア・イ・デ・ア出しなさいって言ってるのっ!!!」


「え~~、分かったよ……、う~ん……。出来るかどうか分からないんだけどなぁ……」


「良いから言いなさいってっ!」


「わ、分かったって……。これをやりたいなぁって……」


 そう言って津名は、自分のタブレットを皆に見せた。それを見た一同は驚きの声を上げた。


「はぁっ?なによ、それ」

「ナツイなぁ。すっごい昔、ファミコンで流行ったよね、お姉ちゃん」

「ん?覚えておらんが。この画面は見たことはあるな」

"えぇ~、あのアンティ・ゲー(※)のあれか~。手からボッって炎が出るんだよね"


※ アンティ・ゲー:レトロよりも古いアンティーク級の伝説的なゲームという意味


 津名が見せたのは、ファミコン版の配管工アクションゲームだった。


2024/03/18

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