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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド壱の二:嫌になったら生まれ変われば良いんじゃね?
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授業風景1

 津名達はいつものように授業の席に着いた。しかし、彼は学校に登校して二日目であり、右も左も分からない状態だった。頼りになるのはクラスメイトの珠川えんと大寬まや、そして、霊体の日高麻帆だけだった。


 授業中は誰とも話すことも出来ないため、津名にとって心の声で話すことの出来る日高だけが頼りだった。


"日高さん、思ったんだけど……"


 日高は津名の横の空いた席に座っていた。実際には座っていないが、椅子が引いてあったので座っているように見えた。


"おぉ、早速っ!どうしたんじゃ?"


"この1時間目の「リーダー論」って何?"


"えっ!意外な質問っ!"


"そう?"


"う~ん、リーダーになるための授業だよ"


"それは分かるけど、「コミュニケーション」とか、「組織論」とか、何だこの授業はっ!どうしてこんな授業があるの?昔は無かったと思うけど……。"


"し、知らないよ~、中学校からあったし。……ふぬ?昔って?あぁ、1980年代だっけぇ?私、この授業嫌いなんだよなぁ"


"そうかぁ……、不思議な授業だなぁ……"


"ところで、津名君"


"はい?"


"机を使ってメモを取った方が良いぞよ?"


"日高さんが、何言ってるのか分からんのですが……。机は使ってるよ?……お、おや?"


 津名はそう言いつつ、周りを見渡すと他の人達は一生懸命授業を聞きながら机に何か書いていた。更によくよく見ると皆は授業の内容だった。


「はぁっ!机にメモしてるっ!」


 思わず立ち上がって声が出てしまった津名は慌てて口を押さえたが、生徒達の注目を集めた。


"あぁ~、机をノート代わりに出来るって知らないのか……"


 大寬はまたIT音痴かと呆れていたが、それ以上に気になる事があった。


"しかし、麻帆……、いくら霊体だからってイフレに近すぎっ!"


"はうむ?!今、まやちゃんの攻撃的な言葉を感じたっ!お、恐ろしやっ!"


 大寬はそれを聞くと顔を引きつらせた笑顔を作った。


"お、恐ろしいだなんて麻帆さん?私は宇宙の一部で有名な女神なのですよ?"


"い、威厳に満ちているような満ちていないような、静かだが恐怖を感じるお言葉……、声が怒りで震えているような気がしてやっぱ怖いっ!"


"ま、麻帆さん?"


"ひ、ひぃ~、め、女神様……、津名様にはこれ以上は近づかないないのでお怒りをお鎮めくださいましぇぇ~…"


 恐怖に震える日高を見て津名は呆れた。


"ネシュレ、止めなって……"


"ふんっ!"


 大寬は口を膨らませて前を向いた。それを見て一安心した日高は別のアドバイスを津名に言った。


"んでさ、津名君"


"ん?"


"教科書だってタップレットを使わなくても良いんだよ、ぷっ、ぷぷぷっ!"


 日高は自分で言いながら津名の言い間違いに吹き出していた。津名はバカにされて若干切れ気味に言い直した。


"タ・ブ・レ・ッ・ト!ん?それを使わなくていい?どゆこと?"


"机が大きなタブレットなんじゃよ~"


"はぁ……?机がタブレット……?"


"君の持っているタブレットと自動的に連携しているのだ~。ほら、ここをタップして、こうしてこうすると……"


「うぉぉぉっ!教科書が空中に表示されているぅっ!……あ、ごめんなさい」


 津名は目の前に表示された立体映像の教科書を見て、またも立ち上がって大声を上げた。無論、他の生徒達にもまたかと注目された。大寬は口パクで、ば~かと言っていた。

 さすがに授業をしていた教師からも咎めるような声が出た。


「津名君は何か問題でもありますか?」


「だ、大丈夫ですっ!」


 津名は顔を真っ赤にするとすぐに椅子に座った。


"……またやってしまった"


"ぷぷぷっ!あははははっ!津名君、おもしろ~いっ!"


"酷いっ!でも、他の人達も教科書を開いてる?見えないよね"


"自分だけしか見えないから分からなかったかも~"


"そんなこと出来るんか……。ここは異世界か…"


"なろうじゃあるまいし、現実世界じゃまいか"


"ふふむ……。えっ?なろう?"


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