06話.夜襲、そして……
本日はあと2回(15時/18時)更新があります。
「やっぱりあの家以外には誰もいなかったね」
ファウストの言葉に頷く二人。
そして我慢をこらえきれずに、今にも突入しそうになっているクラウスの姿を見たアイオンが口を開いた。
「何人いるかもわからない上に人質もいるんだぞ、クラウス!
もう少しだけ我慢してくれ……、むやみに突っ込むのは無謀すぎる!」
アイオンの言葉に反論しようと思ったクラウスだったが、体を震わせながら口の端から少し血を流しているアイオンを見て、それ以上は言わないことにした。
「さすがに何もわからないままの正面突破は危険すぎるからね。
ここはボクが聖杖ケルビムの力をお見せしちゃおうかな」
「ま、待て! ファウスト!!
家ごと焼き尽くしてはならぬぞ!!」
「はぁ、アイオン……
君はボクのことをどう思ってるんだい?
人質を助けるために奴らに眠ってもらうだけだよ」
3人は村で聖なる武器を使いこなす修練中に女神から神託を受け、いくつかの武技や魔術を習得していた。
今回はその中の一つ【範囲睡眠魔術:カピチュレーション】を使うつもりなのであった。
ファウストが聖杖ケルビムを両手で胸の前で抱えるようにして持つと、うっすらと杖が光を放ち始める……
「さて、いくよ……
カピチュレーション!!!」
ファウストの叫び声とともに聖杖ケルビムから強い光が放たれ、目の前の大きな家を覆いつくした。
そしてしばらくすると家を包み込む光は消え去り、杖からの発光も収まった。
「ふぅ、無事に成功したとは思うけど……
一応気を付けながら潜入しよう!」
慎重に家に接近する3人。
中からは人の気配はいくつかするものの、物音はあまり感じられなかった。
そっと家のドアを開いた3人は中で数人の男が床に倒れているのを確認した。
「全員寝てそうだな」
「あぁ、そうだな。
見たところ、宴会でもしてたのか?」
「さてな、だが俺たちには好都合。
このまま人質になっている二人を助けにいこうぜ!」
改めて気を引き締めなおした3人は、さらに奥へと進む。
そして微かに笑い声のような声が一つの部屋から聞こえてきた。
「!
あの部屋のやつは起きてるようだな……」
「外観からは想像できないほどの広さがあるみたいだし、ボクの魔術の効果が届かなかったみたいだね」
「ここまで街で聞いたジンの外見をしている奴はいなかった……
つまり、ここにいるってことだよな?」
「おそらく……な」
「俺はこのまま突入するぞ。
アイオン、止めるなよ!」
クラウスはもう我慢できないといった表情で、聖槍デュナミスを右肩に担いだ。
「はぁ……、わかった。
サポートはしてやるから思い切りいくがいい」
これ以上クラウスを抑えることは無理と判断したアイオンも聖剣アークを鞘から抜いた。
「もうこれ以上我慢させれそうにないしね」
ファウストが半分呆れた声でそう言うと、クラウスは少しだけ笑みを浮かべたのち、真剣な表情に戻るとともに部屋のドアを吹き飛ばしながら突入をした。
「てめぇ! だれだ!!!」
「うるせぇ!!!!」
侵入者に不快感を示した男に向けて、クラウスは右手で聖槍デュナミスの突きを放った。
放たれた突きは槍の先端部がぼやけるほどの高速の突きであり、相手は何も反応できないまま眉間を貫かれていた。
「ほぉ、中々腕の立つやつのようだな」
小柄な男性がさらに奥にあったソファーから立ち上がった。
「俺の名はジン。
【疾風のジン】といえば、聞いたことあるよな?
お前たちは何しに来た?」
「お前がジンか!!!!
お前が攫った二人を助けに来たにきまってるだろ!!!!」
今にもジンに飛び掛かりそうになっているクラウスを抑えながらアイオンが話し始めた。
「クラウス、少し待つんだ。
ジンよ、お前以外は全て無力化させてもらった。
素直に二人の居場所を吐くんだ」
「この程度でもう俺様に勝ったつもりなのか!
まぁ良い、あの二人なら部屋の隅にずっといるじゃないか、気が付かなかったのか?
助けたいならお好きにどうぞ、まだ救いがあると思うならの話だけどな」
アイオンとクラウスがジンに言われた方向を見ようとしたとき、この時までずっと黙っていたファウストが急に叫んだ!!!
「見ちゃダメだ!!!!!」
ファウストが二人の視界をふさぐように立ちふさがった。
「面白かった!」
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