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閑話03.二人の出会い

 話は少し前にさかのぼる。

クラウスが王国西部の遺跡をアントニー・ヴァロワと共に探索していたころになる。


 遺跡探索の旅はクラウスの心をずっと蝕み(むしばみ)続けていた。

王国各地で行われている人族による人族以外への差別などを目の当たり(まのあたり)にし続けてきたからである。


「なぁ、アントニー。

 人族ってそんなに偉いのか?」


「クラウスよ、どうした?」


「この旅の途中で何度も見てきたよな、人族が他種族を奴隷にしてやりたい放題してきてるのを」


「それがどうした?

 我が王国は人族至上主義の国であるからな、人族が他種族を隷属(れいぞく)させるのは当然のことだぞ」


「そうか……」


 この時のクラウスはとても沈み込んだ表情をしていたが、彼の後方を歩いていたアントニーからは見えることはなかった。

そして、二人は王国の西の果てにある村『サ・イハテノ村』に到着した。


 到着した村は何やら慌ただしかった。

武具を装着したものたちが遠征より帰還したタイミングであったらしい。

誇らしげな表情で凱旋する者たちの後ろには、手足を拘束された状態で半ば引きずられるように連れてこられている者たちが続いた。


「あれは…… なんだ?」


 溢れ出る怒気を隠そうともせずクラウスがアントニーに問い詰めた。

アントニーはクラウスが何故こんなにも怒っているのか理解できずに困惑した表情で答えた。


「おそらく近くに魔族かなにかの集落を発見して、戦利品や奴隷を持ち帰った、といった感じじゃないか?」


 クラウスにはその言葉の意味がわからなかった。わかりたくもなかった。アントニーが無関心に言い放ったその言葉に、クラウスは自分の心の何かが完全に変わってしまったことをはっきりと悟った。


「なんでそんなに怒ってるんだ?」


「はぁ……」


 クラウスは深いため息をつくと、アントニーの元へと歩を進めた。

そして、あと2歩ほどの距離まで近づいた時、クラウスの両手には聖槍(せいそう)デュナミスが顕現しており、アントニーの心臓を貫いていた。


「グハッ……

 く、クラウス、どういう…… こと……」


 アントニーはそれだけを言い残すと息を引き取った。

アントニーの体からデュナミスを抜き取った時、クラウスは鬼の形相をしていた。


「やはり人族など救う価値はない。

 むしろ滅ぶべき存在だ……」


 クラウスは凱旋する隊列の前に飛び出ると、手近な者の首を横なぎにて落とした。

突然の出来事にその場は一瞬の静寂に包まれたのち、大騒ぎとなった。

そんな中、クラウスはデュナミスを地面に突き刺しながら叫んだ。


「静まれ愚民ども!!!

 我が名はクラウス!

 王国より英雄の称号を授かったものだ!」


 クラウスの言葉に場は釘付けとなった。

王国が英雄の称号を与えたほどの者が、今このような暴挙にでているわけが理解できずにいたのである。


「しかし、俺はもう人族を見限ることにした。

 こんなにも愚かで穢れた種族はむしろ滅ぶべきだ!!」


 クラウスは叫ぶとともに、走り回った。

凱旋をしている兵士たちに、それらを見に来て盛り上がっている村の者たちに。

そして、すれ違いざまに次々と首を落とし、心臓を貫き……

気が付けば、この場に残っているのは手足を拘束された者たちのみになっていた。


「おまえがこいつらの代表か?」


 クラウスは一人ひとりの拘束具を破壊しながら、明らかに格の違う雰囲気を放っている一人の女性の元まで歩み寄った。

そして、その女性の拘束具を破壊すると、デュナミスを地面に置いて頭を下げた。


「すまない、俺たち人族がひどいことをした。

 人族を代表して詫びさせてくれ。

 なんならこの槍で俺を刺し殺してくれてもいい」


「面白いやつじゃの。

 頭をあげるが良い」


 クラウスが頭をあげると、紫色の髪をした美少女が笑顔を向けていた。

思わず見惚れ(みとれ)ていると、その少女は楽しそうに笑いながら話し始めた。


「はじめまして、英雄どの?

 わらわはフェリシア。

 こんな扱いをされておるが、魔王をしておるものじゃ」


 こうして、運命の二人は出会ったのであった。



今月からは火曜日に更新(※週1更新になります)!!


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