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34話.本当の目的

「ようこそ、ここが帝国騎士団の詰所だよ」


 騎士に連れられてきたのは、こじんまりとしているが不思議な感じのする部屋であった。

武器庫とでもいうかのごとく武器や鎧が並べられているかと思えば、その隣にはまるで酒場かのようなバーカウンターがあったりとする場所である。


「ここって初めてくると変な感じがする場所だよね?

 ここは騎士たちが自分の武具の整備をしたり、非番のときに息抜きをしたりと騎士たちの生活の中心になっている場所でもあるんだ」


 クラウスが不思議そうな表情を浮かべていると、騎士は優しくそう教えてくれた。

そして、帝国騎士とはどういうものであるのか、騎士団長がどれだけすごい人なのかを武勇伝も交え(まじえ)ながら説明するのであった。


「あっ、ごめんごめん。

 ついついボクがずっと話しちゃったね。

 何か聞いてみたいことがあるっていう話だったけど、なんだったかな??」


 自分ばかりが話をしていることに気が付いた騎士は、クラウスに改めて尋ねた。

クラウスはどう切り出すべきなのかを悩んだ末、ストレートに聞いてみることにした。


「信じれないかもしれないけど、単刀直入にいいます。

 俺は魔王フェリシアと共に旅するものであり、始祖メラゾフィスより騎士団と後宮の話を聞きました。

 今回はフェリシアが二人の長に会いたいと思っていることを伝えるために来ました。

 フェリシアたちは今この帝都の宿で待っています」


 メラゾフィスの話が嘘であったり、この騎士が話をまったく信じなければ帝城(ていじょう)の中で敵に囲まれる展開になるような話である。

クラウスにとっては一か八かのギャンブルのようなものであった。


「何をいっているんだ、君は。

 ここは帝都であり、帝城の中だよ?」


「魔王フェリシア、ラミアのファルミナ、吸血鬼の始祖メラゾフィス。

 この3人と一緒に旅をしています」


 クラウスは相手の瞳をまっすぐに見つめ、切実な声で言った。


「魔王フェリシアが鬼のバルトさん、妖狐のラースさんに会いたがっているんだ。

 信じてほしい」


 クラウスは信じてもらえるよう深々と頭を下げた。

できる限りゆっくりと丁寧に話してきたクラウスであったが、気が付けばいつもの口調に戻っていた。


 急転直下の展開に動揺を隠せない様子の騎士は、ようやく声を絞り出すようにしていった。


「にわかに信じがたいが、それだけの情報を知っている君が敵であるとは思いにくい……

 だが、このまま団長たちにあわせるわけにもいかない」


「……では、騎士さんを宿まで案内しますよ。

 そこでフェリシアたちと会ってください」


 騎士は黙ってしまった。

クラウスの言葉を嘘だと切り捨てることはできないが、真実だと言い切ることも難しいからだ。


「わかった、今から案内してくれないか?」


 こうしてクラウスは無事に騎士団とフェリシアたちを会わせることに成功した。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


「ということで、こちらが騎士団の人」


 宿に戻ったクラウスはフェリシアたちを騎士に紹介したのだが、騎士はポッカリと口をあけて呆然(ぼうぜん)とした表情で固まってしまった。


「はぁ……、クラウス。

 一般の魔族にフェリシアさまとの謁見などさせたらこうなってしまうのは当然であるぞ」


「えっ!?」


「本来、わらわと謁見できるものは側近である今の4人の長たちくらいじゃからの。

 そんなことより、何故この者をここに連れてきたのじゃ?」


 クラウスは、フェリシアたちと旅をしており、二人の長に会いたがっていることを信じてもらうには、実際に会わせることしか思いつかなかったことを説明した。


「はぁ……、クラウス。

 騎士団の人と会えたのは良いですが、詰めが甘いですね……

 私がきちんと手順を考えるべきでした」


 ファルミナは深いため息をつき言った。


「相変わらず嫌味なやつだな……」


「して、これからどうするつもりなのじゃ?」


 フェリシアの問いに苦笑いを浮かべるクラウス。

そんなやりとりをやれやれと言いたげな表情で聞いていたファルミナ。

そして彼女が一つの案を出した。


「この者に城まで連れて行ってもらいましょう」


「門衛とかにどう説明するんだ?」


「騎士団長の密命(みつめい)で探していた人を見つけたので、連れてきたとでも言えば誰も深く追求できないでしょう」


「さすがファルミナじゃな、良い案じゃ!

 早速それでゆくとしよう」


 未だに呆然としたままの騎士をよそに今後の予定が決まっていくのであった。



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