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29話.眷属ミノタウロス

「フェリシアのそんな可愛いとこみたら、頑張るしかないよな」


 クラウスはフェリシアの頭を撫でながら満面の笑みでそう返した。

そして、メラゾフィスに向けて歩き出した。


「えっと、メラゾフィスだっけ?

 待たせたな、いつでもいいぜ!」


「さすが人族ですね、いちいち(しゃく)にさわります。

 我らが魔王様の前から消えてもらいます。

 ゆけ、我が眷属ミノタウロスよ!」


 メラゾフィスの隣にいたミノタウロスは、その言葉とともに数歩前進した。

そして、クラウスまであと10歩程度の距離で立ち止まると睨みつけた。


「牛野郎、どうした!

 ビビってそれ以上これないのなら、こっちからいくぞ!」


 クラウスは聖槍デュナミスを片手にミノタウロスの正面から突進した。

ミノタウロスは右手にもっていた大きな斧を振りかぶって、迎え撃つ構えを見せた。


「ばか!!

 正面からは無謀すぎじゃ!!」


 フェリシアの声が響く中、クラウスの突進はさらに速度をあげた。

本来は人族がミノタウロスに正面から突進するなど自殺行為でしかない。


「俺を信じて黙ってろ!!」


 フェリシアに向けたその声をも切り裂くような振り下ろしがクラウスを襲う。

そして、その素早い一振りが直撃するかに見えたその時、クラウスの姿はぼやけ、そして何かが空中を舞っていた。


「■■■■■■!!!」


 人間の言語では形容しがたいミノタウルスの悲鳴が、大気を震わす。


「うるせー、牛野郎!!」


 ミノタウロスの奇声と共にドン!という鈍い音がした。

先ほどまで空中を舞っていたミノタウロスの右腕と斧が落下した音である。


「はぁ……、眷属最強とかいうから気合いれたら、この程度かよ。

 突き一発で右腕が吹き飛んでちゃ話にならないな」


「ほぉ、これはこれは。

 想像以上であるのは認めるしかなさそうですね。

 しかし勝負はまだこれからですよ?」


 右腕を失いうずくまっていたミノタウロスは、全体重を乗せ、頭部を突き出しズシン、ズシンと闘牛の如く進む。

危機迫る迫力のそれは、ミノタウロスの奥の手である。

ただの人間が直撃すれば死は免ないだろう。


 凄まじい殺意と共に迫り来るミノタウルスに怯むことなく、クラウスは上体をひねり聖槍デュナミスを構える。

そして、クラウスにミノタウロスの角が迫る(せまる)


「うりゃぁぁ!」


 掛け声とともに放たれたクラウスの突き。

突きと角がぶつかり、ドスンという音ともにミノタウロスは倒れ込んだ。


「なん……だと……!?

 なぜ我が眷属が倒れている!」


「驚くほどのことはしてねーよ」


「あれに正面から突きをぶつけて貫いた(つらぬいた)じゃと!?

 目の当たりにしたわけじゃが、おまえさんは信じられぬことをしてくれるのぉ」


「武器がいいだけかもだけどな、でも勝ちは勝ちだ。

 メラゾフィスとやら、これで満足ってわけじゃないんだろ?」


 クラウスは聖槍デュナミスをメラゾフィスに向けて言った。


「どうせ自分が負けるまで相手を認めないんだろ??

 こんなメンドクサイ茶番はなしでお前がこいよ、相手してやるよ。

 それともビビってるのか??」


「ば、ばか!!

 あれほど煽るなと言ったじゃろが!!

 メラゾフィスも落ち着くのじゃ!!」


「……我が人族ごときにビビっているだと?

 調子に乗るな!!」


「言葉づかいに余裕がなくなってるぜ?」


「フェリシアさま。

 このモノを生かしておくわけにはいかなくなりました。

 我の名誉のためにもこの人族との決闘をお許しください」


「そのようなこと、認め……」


 フェリシアが認めないと言おうとした時、クラウスの右の太腿にはメラゾフィスが投げたナイフが刺さっていた。


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