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09話.ファウストの提案

「確かにそれしかないかもしれないが……」


 アイオンはファウストの提案に賛同しつつも、戸惑いを隠せなかった。 


「不安なのはわかるよ?

 でもこのやり方が一番現実的だと思うんだ」


「……」


 ファウストの案は、所謂(いわゆる)おとり作戦と言われるものだ。

3人の中でもっとも見た目が弱そうなファウストが手ぶらのまま、人気(ひとけ)の少ない夜道を出歩くことで自らをおとりにするという案であった。


「いいんじゃね?

 確かにパッと見は弱そうだけどさ、実際は俺たち2人以外にファウストより強い奴とか今までみたことないぜ。

 あのジンとかいう奴、そこそこ強い奴のはずなんだろ?

 でも、あいつよりファウストの方が確実に強いぜ」


城塞都市ラッカードで敵対した冒険者『疾風のジン』、彼は冒険者の中でも中の上に位置する『B級冒険者』であった。

冒険者はF級からA級までランク分けされていて、C級以上が一人前とされていた。

また、A級の上にはS級というものが存在しているという噂はあるものの、実在しているのかは定かでなかった。


「そもそも相手が何人いるかすらわからない以上、出来れば犯人を素早く拘束して情報を聞き出したいところだね。

 そう言ったことにはボクの魔術がピッタリだと思うんだ」


 アイオンは、ジンのアジトに潜入した時にファウストが使った範囲睡眠魔術を思い出していた。


「はぁ……、わかったよ。

 ファウストを信じる、でも無理はしないでくれ……」


「心配しなくて大丈夫、ボクに任せてよ!」


「で、犯人を拘束したあとはどうするんだ??」


「そこはどんな情報が聞き出せたか……次第かな」


 連続殺人事件の犯人捜しの方法に目途が付いた3人は、作戦決行となる夜中までの時間を使って王都の地理を覚えることにした。

人気の少ない夜道を歩いて誘い出す以上、王都の地理を把握できていることが作戦の成功に繋がるからだ。


「さすがは王都……

 これまでにも大きな街はいくつもあったが、比べ物にならないほど広いな」


「俺もそう思うけど、あまりキョロキョロしないほうがいいぜ?

 お上りさん(おのぼりさん)なのがバレて、バカにされるぜ?」


王都の広さに圧倒されていたアイオンを揶揄う(からかう)クラウス。

そんな姿をファウストは微笑ましく見ていた。

ラッカードを出た時はぎこちなくなっていた3人が、ふたたび仲の良い3人に戻れているように感じられたことがファウストにはたまらなく嬉しかった。


「実際にボクたちは お上りさん(おのぼりさん)なんだし、人の目は気にせずに今は楽しく王都観光でもしようよ」


この時、クラウスの表情が一瞬だけ曇った気がしたファウストであったが、次の瞬間にはいつも笑顔であったため、特に気には留めなかった。


 王都探索を始めた3人は、王都が持つある特徴に気がついた。

王都は巨大な円形の外壁に囲まれており、円の中心に荘厳な王城が建っていた。

そして、王城を取り囲むようにして貴族たちの屋敷が建ち並ぶ貴族街がある。

その外側には平民の居住区などがあるが、その両者を分け隔てる内壁があった。


「はぁ、貴族様はさらに壁の中で守られているということか……」


「支配者階級である貴族が平民と区別されているのはおかしいことではないと思うが?」


「支配者階級ねぇ……、そんなに偉いものなのか?

 もしも本当に選ばれた階級の方々なのだとしたら、貴族様こそ女神さまに選ばれなきゃいけないんじゃないのか?」


「クラウス、気持ちはわかるがその辺にしておけ。

 不敬罪で捕まりたいのか?」


 貴族批判を始めたクラウスをアイオンは宥めた(たしなめた)

これから伝承に関する調査を進めていくには、王や貴族たちからの協力が必要不可欠となる。

そのため、貴族たちの心象(しんしょう)を悪くすることは避けなければならなかった。


「そもそも今回の連続殺人事件に関わるのも、王さまや貴族さまの関心が俺たちに向くかもしれないという思惑もあるんだからな」


「……」


アイオンの言葉を聞いたクラウスは、怪訝そうな(けげんそうな)顔で睨みつけていた。


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