スキンシップと条件
よきかな
サツキはカイナを引き連れまず最初に「戦神の支度場」へと向かった。
「あれ?サツキって一応短剣2振り持ってるよね?何しにいくの?」
道中そんなふうに聞いてくるカイナに対し、「私は確かに変わったけれど化けたかは分からないからそれを確かめに」と本人と鍛治師の爺さんしか分からないような説明をしつつあしらうとやがて目的地に到着した。
「おーい、お爺さん〜きたよ〜」
扉を開け放ちながらそんなふうに叫ぶサツキ。
そんなサツキの軽い様子にサツキとそのお爺さんの関係を多少読み取ったカイナは少し驚いていた。
(サツキがこんな感じで言っているってことは結構気に入ってるんだろうな)
そんなカイナを放置してサツキは店の中へズカズカと上がり込んでいった。
「おーい、いないの?おじいーさーん」
サツキがそう叫んだ後しばらくして奥から金槌を携えたお爺さんがドタバタと走ってきた。
そしてキレた。
「五月蝿いぞ!!ここは鍛冶場じゃ!子供の遊び場じゃあない!」
そしてその一言…子供の部分にサツキもキレた。
「だから…私は子供じゃない!客だ!!」
双方一歩も譲らない睨み合い、そんな状態の中でもカイナの目にはサツキが笑いを堪えているのが簡単にわかった。
そしてどうやらそれにお爺さんも気づいたようでフンッと鼻を鳴らすと怒気を緩め目を逸らした。
「…一体何の用じゃ」
お爺さんが口火を切った。
「ん?いや、化けたらこいって言ってたのは覚えてるんだけどね」
サツキは一旦そこで区切ると目を逸らしながら言った。
「変わったのはわかるんだけど…化けたっていうのがちょっと…」
そんな彼女は少し恥ずかしげだった。
「…あの武器「白黒」はまともな精神じゃ扱えん。化けるというのは精神的でも良し、肉体的でも良し、その両方でも良し。何らかしらの変化をもって相反する2つの性質を御すことができねばダメなんじゃ。その御し方にも多々あり、喰うもよし、理解するもよし、取り込むもよし、壊すもよし、任せるもよし、真似るもよし、従えるもよしなどとあるわけじゃが…お主は今の段階で扱える者になれるんか?」
脅すように言った後お爺さんは続けた。
「未熟者があれを使えば使用者ごと全てが分離するぞ。それでもいいんか?」
「いや、ノーで」
サツキは即答した。
(まあこれだけ念押しするってことはまだダメなんでしょ)
しっかりとメッセージを受け取ったサツキは代わりに短剣を出した。
「じゃあこれメンテナンスできる?」
そう言いながら差し出された短剣を見たお爺さんの顔が曇った。
「お主はたった数日で獲物をここまでダメにするのか?一体何と戦った?」
そんな問いに対しサツキはあっけらかんと答えた。
「ん?幼竜だよ」
「…そうか」
一言そう言ったお爺さんは短剣を持ったまま奥へと引っ込んでいった。
「え?私の短剣は?」
そこには困惑するサツキとカイナの2人が残されていた。
元の魔物の正体とは…
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次回も本編です。




