できる子カイナとスカイの才能
いつも読んで頂きありがとうございます
(はははははー今度は左腕壊れなかったなー)
サツキはバルドル達のジト目を受け、それから逃げるように別のことを考え始めた。
(やっぱりなんか少しだけ使えるようになった色が違う魔力(?)、これが私には合ってるっぽいな)
それを覆っていた邪魔者を少し消し去ることによって、表層に現れたほんの少しのそれ、その影響でサツキは「魔力砲」をほんの少しの腕の痺れと、倦怠感のみで撃つことに成功した。
サツキは思考を続けつつ、後ろから近づいてくるカイナに声をかけた。
「カイナ、あれ取りなしてくれない?」
「ん?いいよ、パッといってくるね」
なぜサツキが気づいていたのかなど微塵も興味がなく、よって疑問にも思わなかったカイナはバルドル達の方へ歩き出した。
< バルドル、スカイ、ルーニー、ボルダー、カイナ>
「バルドル殿、あれが此度の騒動に一役買ったものであり、私の<鉱域>を破壊したもので相違ないな?」
スカイの棘の混じった質問、確認、にバルドルは少し躊躇いながら答えた。
「スカイ殿の魔法を破壊したのは間違い無いだろう、だが死の黒波を起こしたのかは…まだ分からない」
バルドルとサツキの約束的には死の黒波を収束させてから話し合うということだったため、バルドルはサツキが引き金を引いたとほぼ確信はしているものの、モリノケンジャの話や、本人からの確証がないために、決定づけることができないでいた。
「お姉さまの策を壊し、あのように飄々としているなんて…許せませんわ」
スカイを信仰するルー二の目には、ジト目から逃げるサツキの行動が飄々としているよう感じられたようで怒りを露わにしていた。
「あれ?団長、あれってカイナさんじゃないですか?なんかこっちに来ますけど」
ボルダーの言う通りカイナはサツキに言われて仲を取り成すためこちらに向かってきていた。
「カイナ、サツキといたんだな」
「うん、僕はサツキの怪我に布を巻いてた」
スカイが聞くとカイナは答え、そのまま続けた。
「サツキがね、交戦の意思はないから竜と戦うって」
実際は「取りなしてくれない?」としか言っていないのだが、そこは、良識も常識もあるカイナが内容を汲み取って追加していた。
カイナはできる子であった。
しかし…
「あり得ませんわ。左腕が壊れ、今回の首謀者の疑いもある者が一緒に戦う?冗談はよしたほうがいいかと」
珍しくスカイの意見を聞く前に発言したルーニーははっきりとそれを拒否した。
「ああ、多分違うよ。サツキが言っているのは」
そしてそれをカイナが否定した。
「どう言うことだ?」
「それはね、」
カイナは少しもったいつけて言った。
「サツキにはきっと、協力する気はないんだよ。ただ竜と戦うから自分に攻撃してくるなってことだと思う」
サツキの雰囲気や行動から、出会ったことのある冒険者で類い稀なる実力を持つ1人の生き物のことを思い出し、サツキから似た感じを嗅ぎ取ったカイナは見事に正解を言い当てていた。
「つまり…お前達とは戦わないけど協力もしない。だけど竜は倒すってことか?」
ボルダーが結論を出し締めくくるとバルドルは言った。
「あー、まあ嬢ちゃんらしいっちゃらしいのか」
過去の経験から理解したカイナ、今までの付き合いから理解したバルドル、2人はサツキを見つめた。
そしてその様子から何かを感じたのかスカイは言った。
「ふむ…まあいいだろう。いまは竜で手いっぱいだ、せいぜい利用させてもらおう」
「お姉さまが言うなら従いますわ…」
「拗ねんなって」
カイナはその様子を見届けるとサツキに向かって大きな丸を腕で作った。
<サツキ>
(お!いいっぽいな。じゃあいくか)
カイナからのGoサインを受け取ったサツキは、魔力を巡らせ、魔力(?)を引き出し、それを混ぜ込み、「身体強化」を発動した。
(ん?違和感あるな…なんかここ動きづらい、外よりも)
サツキが感じた違和感の通り、魔法としての<鉱域>はサツキによって解除されたものの、未だ内部にはスカイの魔力を纏った鉱石が大量に存在しており、それによってサツキの「身体強化」が減衰され違和感を生み出していた。
また本来は魔法が解除された時点でそう言った効果は消失するが、スカイの鉱石魔法への才能の影響もあり、また、もとからあるものを使う鉱石魔法だからということもあり、残り続けていた。
(ん〜吹き飛ばしちゃう?これ)
そんな冗談を交えつつサツキは未だ悶える竜の方へ向き直ると、正々堂々なんてなんのその、逃走手段の破壊のため脇目も振らず走り出した。
カイナは日本に来てもやっていけそう
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次回も本編です




